84:不憫なアリス2
『……なるほど。どうやら魅魔さんにはかなりお世話になったみたいですね』
『ん?記憶がないのか?』
『や、申し訳ないんですけどまったくと言っていいほど覚えてないんですよね。よっぽど疲れてたんだと思います』
(これで私の考えはビンゴだな。ま、覚えてないなら無理に言う必要もないか)
『それで?お前さんはどうしてこの神社に来たんだ?』
『いえ、別にこれといった理由はないんですが……ただ逃げてたらいつのまにかここにたどり着いたとしか……』
『ふぅん?ま、いいさ。封印を解いてもらった礼にお前さんの事を警護でもしてやろう』
魅魔はそう言った。
『え?いいんですか?というか封印解いたんですか?』
『お前が倉庫に入った時にドアを壊したろ』
『あ』
『あのドアは封印装置にもなっててな、普段は錠前でガッチリ封印されてるんだが……ま、誰もまともに管理してなかったからボロボロになってたんだろ』
一条はため息をつくと思わず思った事を口走ってしまった。
『幻想郷って話に聞いてたよりも怖いですね』
『まぁ妖怪の巣窟だからな。一応それでも多少は平和だぞ?』
『当たり前のように人を殺そうとするような奴がゴロゴロいるんですけど……』
『妖怪の食料って人間だからな。そのための抑止力として博麗の巫女がいるはずなんだが……』
その時襖が勢いよく開けられた。
そこから入って来たのは際どい巫女服を着たアリスである。
『ちょっともうちょっと大きいサイズないの?ピチピチなんだけ……』
アリスと一条の目が合ってしまった。
『何見てんのよっ!!』
『不可抗力ですっ!!』
アリスは魔法よろしく殺人チョップを一条に向かって振り下ろし一条は転がってそれを回避する。
躱されたアリスはついに膝をついて両手で顔を覆う。
『もうなんなのよぅ……。なんなの?私そういう役回りなの……?』
『諦めな……お前はそういう役なんだよきっと……』
『元凶が何言ってるのかしら!?この口か!この口がそんな事言ってるのかしら!?』
アリスは魅魔の口を両手の人差し指で横に引っ張る。
『ほい、ほんはほほふふとははふはふほ』
『はぁ!?一度ならず2度までもする気かしら!?』
『ははひはへは。ほふほはへひはははひほひひへひふへほふへふ』
『ななな、なんて事を私にしてるのかしら!?』
(なんであの人魅魔さんの言葉理解出来てるんだろ……)
『ひっひはーふ』
『え、ちょ、まっ』
魅魔が指パッチンするとアリスが着ていた巫女服が一瞬にして弾け飛んだ。
余すとこなく全て弾け飛んだ。
一条はあまり出来事にただただ目を丸くするだけである。
ああ、人間って驚くと何もできないんだなぁ、と場違いな事を思ってしまう一条。
『ま、あなた……!ほん……!もぉぉぉぉ!!!』
『ふははは!!言葉になってないぞガキ!』
アリスはドタドタと部屋から走って出て行った。
魅魔はからかいにアリスの後を追いかけて行った。
1人部屋に残された一条は布団に再度入ると毛布を首元まで引っ張り寝る体制に入る。
『見なかった事にしよう。うん、これは夢だ』




