83:平和な朝
門で寝ている少女がいた。
少女は目を覚ますとこちらを見て驚く。
焦ったように何かを言っているようだが何も聞こえない。
最後には諦めたように笑みまで浮かべている。
とっても明るい少女だ。
また、何も聞こえない———
『……あれ?』
一条は布団に寝かされていた。
(あれ?俺倉庫で寝なかったっけ?あ、くそぅ布団が暖かいぞ……)
一条は布団の魔力に引き込まれる前に脱出しようと布団から起き上がるが一条は起き上がれなかった。
『あ、あれ?体が思うように動かない?』
『おう、起きたか』
一条の頭の上から声が聞こえてきたので頑張って真上を向くと足のない女性がいた。
『ぎゃー!!幽霊!』
『そこに驚くのか……』
『ああ、そうか……やっぱり俺は死んでしまったんだな……。あーあ、無茶しすぎちゃったかなぁ』
『おーい?』
『くそぅ……死ぬ前になんか美味しい食べ物とか食べてみたかったな……。幽霊になっても味覚って残ってるのかな?』
『おーい?もしもしー?』
一条は諦めたようにため息をつくと寝返りをしようとして呻き声をあげる。
寝返りは諦めて毛布を首元まで引っ張り再度寝る体制に移る一条。
『あ、不思議……布団の魔力で幽霊なのに眠気が……』
『……』
魅魔は無言で杖の先端に三日月の尖っている部分で一条の顔をチクチクする。
『あ、痛い痛い!動かない事をいい事に何て事するんですか!』
『眠気覚ましにはなっただろう?』
『え、ええ……。後もうチクチクしないでください』
魅魔はニヤニヤと笑いながら一条に質問する。
『それで?体の調子はどうだい?』
『別段変わらないと思いますが……ただ体があまり動かせないんですけど』
『そればっかりはしゃーない。お前の中身は結構酷くてな、治るまでに時間はどうしてもかかる』
『あと、えっと……今更なんですけど……どちら様ですか?』
-地霊殿-
『おはよう、さとり』
『あら霊華さんおはようございます。相変わらずお早いんですね』
『癖でな。早起きして体を動かさないと落ち着かないんだ。そういうさとりこそ結構早起きなんじゃないのか?』
霊華の言葉にさとりは苦笑しつつも話を続ける。
『動物達の朝ごはんがありますからね』
『なるほど。あ、そういえばさっきお燐がお前のこと探してたから後で会いに行ってやれよ』
『お燐が?分かりました。では失礼します』
さとりが車椅子のタイヤを回して移動し、姿が見えなくなると霊華は思わず思ったことを口に出した。
『あいつ目が見えないのによく壁にぶつからないよな……』




