79:散り散り、バラバラ
アリスは自分の体が揺らされている事に気づく。
『う……』
呻き声を漏らしながらゆっくりと目を開ける。
目の前には移動している地面、横にはぼやけてよく見えないが男が必死そうな顔をしている。
この状況から考えるにどうやら自分は誰かにおぶられて走っているという事だろうとアリスは思った。
しかし上手く頭が働かない。
意識が途切れ途切れのせいで男が何かを叫んでいるようだが聞き取りづらい。
『な……おっ……くるか……!?あ……えない……!?』
そしてまたアリスは意識を落とす。
次にアリスが目を覚めた時は床に寝かされていた。
まだ意識が朦朧とするがどうやらここはどこかの木造建築の家だという事くらいは理解出来た。
時が経つにつれて段々と意識を覚醒させていくアリス。
すると周りの状況も詳しく分かってきた。
ふと脇腹に激痛が走る。
『あ……ぐっ……!』
アリスは自分の脇腹を見ると布が巻いてあった。
そこでアリスはナイフが刺さってない事に気づく。
辺りを見回すとそれは探し物はすぐに見つかった。
刃の部分だけ黒く変色したナイフが落ちていたのだ。
『これ……』
刺された事を再度思い出し、自分の脇腹巻かれてある布を見る。
アリスは布を恐る恐る外すとそこには普通の肌があった。
切り傷のような跡が残っているがこれなら自然治癒でも勝手に消えるだろう。
問題は誰がここまで運んで治療してくれたか、という事だ。
よく見るとアリスがさっきまで横たわっていた床の付近にアリスの血とは別にまだ一部変色しきってない血が床に染み付いていた。
『ここは……』
ズドン!!と少し遠い場所から大きな音が聞こえてきた。
何かが落ちたような音だ。
アリスは自分に治癒魔法をかけておくと音のする方へ向かうため家から出る。
だがアリスは出た瞬間にここは家ではないという事に気づく。
厳密には家であるが、別の側面も併せ持ったとある建物だった。
『嘘……』
アリスのいる場所から少し離れた草原。
そこに魔理沙はいた。
『おー、怖い怖い。人に向かっていきなり攻撃してくるなんてどうかしてるよ』
ワンピースの女性はニコニコしながら魔理沙に言う。
『その攻撃を軽くいなしたアンタに言われたくないね』
『ま、最初に驚かせようと後ろから大声だしたからおあいこって事にしない?』
(……さて、どうするか。アリスは見つからない、目の前には得体の知れない女。ここはもう潮時か……?)
『はっはーん。おねーさんは君の事見たことあるぞ。霧雨魔理沙だね?』
『やっぱ殺すか』
瞬間眩いほどの閃光がワンピースの女性に降り注いだ。
その衝撃で大気がビリビリと震える。
その時反響する声が聞こえてきた。
まるで狭い部屋に音が反響するように、魔理沙の周りからワンピースの女性の声が響いてきたのだ。
『躊躇なく攻撃してくるとはやっぱり怖いねぇ。おねーさんは死にたくないんで逃げるとするわ』
『……』
『魔理沙ちゃんの名前だけ知ってておねーさんの名前だけ知らないのは不公平だと思うから置き土産に教えてあげよーう』
『アンタにちゃん付けされる理由がないんだが。気色悪い』
『代わりにおねーさんの事も好きな風に呼んでいいからさ〜。おねーさんの名前は「マルティアス・スミア」だよ。また今度会おうね〜』
そう言うと周りから聞こえてきてた声がパタリと止んだ。
魔理沙は舌打ちすると箒に跨りアリスを探しに移動を再開した。
今回登場したワンピースの女性、マルティアス・スミアは『お馬鹿なチルノの小説/紅夜阿灸』さんからいただいたオリキャラです!
ありがとうございます!




