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幻想異変録  作者: 凍曇
7章 幻想郷
77/151

77:"八雲"再始動

-地霊殿-


『やあ。さとり』

『その声は八雲さんですか……』

『まだ目は治ってなかったんだな』

『……』


 客間にてさとりはソファーにちょこんと座っていた。

 それに向かい合うように八雲もソファーに座る。


『お久しぶりですね。数十年ぶり(・・・・・)ですか』

『……そうだな。私としても早く会いたかったんだが動けなくてな』

『紫さんが会いたがってましたよ?口には出していませんでしたが』


 八雲はそれを聞いてため息をつく。


『私としてはあまり会いたくないのが本音だな』

『でしょうね。けど嫌いではないんでしょうに』

『茶化すなよ。確かに私にとって一番大事な友ではあったが……あの彼女じゃない(・・・・・・・・)

『……?紫さんは紫さんでしょう?』

『間違ってはいないが私からしたら間違いだな』

『そうですか。私には難しくてよく分かりませんよ』


 しばらく2人とも無言で場には静寂が訪れた。

 その静寂を最初に破ったのは八雲だった。


『もう目は治らないのか?』

『……やっぱり気になりますか』

『最初は驚いたよ。サードアイはなんとか機能しているようだが両目に包帯を巻いてるなんてな』

『仕方ありませんよ。彼等に非があった訳ではありません』

『嫌われ者は大変だな』

『……慣れてますから』


 さとりは包帯を軽く触りながら言葉を続ける。


『それで先程の回答ですが……どうやらもう目は治ってるみたいなんです』

『じゃあなんでまだ包帯を巻いてるんだ?』

『心の……問題なんでしょうね。目を開けられないんですよ?どうしても』

『……トラウマが原因だな』


 さとりは寂しそうに笑う。


『皮肉な話ですよね。心を読む妖怪が心にやられるなんて』

『お前は少し優しすぎだよ。お陰で私は助かっているが』

『……現在の状況は?』

『さて、実の所私もつい先程動けるようになった身でね』

『では私が分かる範囲での情報を』

『助かる』


 さとりの話が終わり、数回言葉を交わすと八雲は立ち上がりさとりに別れの言葉を言った。


『協力感謝する。後は私も動ける範囲で動いてみるとするよ』

『お気をつけて。外は勢力争いでめちゃくちゃですから』


 私はそう簡単には負けんよ、と言いながら八雲はさとりに手を振りスキマに潜り込む。

 八雲の体が全て入るとそれに合わせてスキマは閉じられた。




-地上-


(……おかしい。さっきから見えない糸で攻撃してるはずなのに、まるで見えてるかのように(・・・・・・・・・)ことごとく攻撃が躱されているっ!!!)


 アリスは右手を一条に向けて斜め上へと振るう。

 対する一条は体を捻りながら奇妙な動きをしつつ移動している。


(まただ……!!やはり彼は糸が見えている!このままじゃラチがあかないわね……)


 一条は焦っていた。

 アリスの指先から見える糸をなんとか回避しているがいつか限界はくる。

 一条自体に戦闘能力はあまりなく、一般人とほぼ変わりはない。

 何か能力を使える訳でもない。

 対抗出来る武器を、特技を持っている訳でもない。

 ただ一般人よりも少し体力があるのと"眼"があるぐらいである。


(魔法を使えればなんとかなるかもしれないけど……)


 パチュリーの言葉を思い出す。


(ノーレッジさんが眠ってるこの状況で使うのはただの自殺だ……!制御権はノーレッジさんにある以上やはり魔法以外の手を使うしかない……!)


 一条はオカルトボールの存在を思い浮かべるがすぐに別の案を考え始める。


(アレはあくまで都市伝説を具現化するだけで実際に攻撃性はない……。それに……恐らくアレは能力者に対して有効なものだろう。俺にはあまり意味がない)


『せっかく引き剥がしたんですから早く助けに来てくださいよ……2人とも。早くしないと俺の限界がきてしまう……』


 そう呟きながらアリスの攻撃を回避するのに専念しながら逃走を続ける一条であった。

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