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幻想異変録  作者: 凍曇
6章 秘封倶楽部
67/151

67:消失点

 ……ここはどこだろう。

 目の前には椅子に座って偉そうな態度の子供がいた。

 紅い瞳、スカイブルーに近い髪色、時折見える鋭い八重歯。

 目の前の子供はこちらに向かって実に楽しそうに笑っている。

 何かを喋っているようだが何も聞こえない。

 ただ音のない映像を見せられているような気分だ。

 何も分からない映像。

 なのに目の前の子供を見ていると心が締め付けられるようなこの虚無感はなんだろう。

 この子は———





『……また夢か』


 一条は大きなため息をつく。

 周りが暗いことに気づくと布団の近くに置いてあるスマートフォンを手に取り時間を確認する。


『何それ?』

『あびゃ!!』


 突然横から声が聞こえてきて一条は思わず飛び起きる。

 その反応にパチュリーも驚いたようでびっくりしたような表情でこちらを見ている。


『な、なによ。そんな反応しないでよ、私まで驚くじゃない』

『い、いや……すいません……』

『どれだけ驚いてたのよ……あなたとリンクしてるんだからこっちまで心臓バクバクするじゃないの……』

『真っ暗な中で突然自分以外の声がしたらびっくりするじゃないですか……』


 一条はそう言いながら軽く背伸びすると上にパーカーを羽織る。


『時間まで少しあるけど……ま、いっか』

『実験開始ね』




-正午・一階教室-


『消失点?』


 菫子は持参してきた弁当のおかずを食べながら喋る。

 対する一条は購買で買ってきたパンを食べながら菫子と会話する。


『そうです。決まった時間に、決まった場所で、決まった方向へ行くとモノが消失するっていう話なんですけど』

『詳しく』

『はい、とある場所に狭い通路があるんですよ。

その通路に決まった時間に通ると通ったもの全てが消失するっていう事があるそうなんです』

『なにそれ、そんな恐ろしいスポットなんてあったの?』


 菫子は一旦箸を止めて一条に興味深げに聞く。


『それがあるみたいですから世の中怖いですよね〜』


 一条は食べ終わったパンの袋をゴミ箱に目掛けて投げるが外してしまう。

 一条はそれを拾って今度こそゴミ箱に袋を入れる。


『どうせ今日は金曜日だし今夜にでもその消失点とやらに行ってみない?』

『了解です。それじゃ後でメールしておきますので夜に集合しませんか?』

『ん、分かった。そっちは次の授業何?』

『……数学です』


 菫子はあはは、と呆れ気味に笑う。


『あの先生めんどくさいからね。頑張って〜』




-現在・菫子宅-


『さて、そろそろ時間ね』


 普段の菫子の制服とは違い私服の上にルーン文字が裏地に刻まれたマントを着用し、白い手袋を装着する。


『この服着るのも久しぶりね……』


 こうして深夜1時半、菫子と一条&パチュリーが消失点が発生するというスポットへ移動を始めた。

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