66:秘封倶楽部、初の大仕事
『幻想郷……!?』
一条はその言葉に驚きを覚える。
思わず一条は自分の周りに浮いているパチュリーを見る。
パチュリーも驚いたような表情で菫子を見ている。
(ノーレッジさん……。幻想郷って……)
『ええ、私の住んでいた場所だわ……。やっぱり帰る方法があったんだわ……!』
『……』
菫子はバッグからあるノートを取り出して一条に手渡す。
一条はそれを受け取り適当にパラパラっとめくり目を通す。
『……すごいですね!こんなにも幻想郷への情報が!』
『あなた……幻想郷に興味はないかしら?』
『とっても気になりますね……!こんな場所があったなんて……!』
一条は興奮したように次々と目を通していく。
その様子に菫子はクスリと笑う。
『楽しそうね』
『もちろんですよ!俺の知らない世界がまだあるなんて……!』
『どう?私と一緒に幻想郷へ行く気はないかしら?』
『それは……秘封倶楽部の初仕事って事ですね?』
『ま、そうなるわね。あなたが入ってきたから最初の大仕事よ』
-夕方・一階教室-
『驚いたわ……。一条って思ったよりも頭が良かったのね』
菫子は一条とのミーティングを終えた後、一条の事が気になり担任から一条の資料を借りてきたのだ。
個人情報になる部分の資料は流石に借りれなかったが成績表などは借りれた。
成績なども個人情報になると思うがそこは担任が緩いせいもあって何故か借りれたのだ。
『……』
菫子が見ている資料には期末テストなどの結果が載っていた。
その悲惨な成績に菫子は見てしまった事に微かに罪悪感を覚えたがそれを振り払うように目を通す。
そこにはある共通点があった。
国語の教科だけ全て百点満点と書いてあった。
『ふーん……。国語力だけ異常に高いのね彼。通りで頭の回転が早いわけだ』
-同時刻・歩道-
『本当にいいの?私がふっかけたとはいえ幻想郷にあなたも行くの?』
『ええ、まあ。ノーレッジさんには嘘がつけないので正直に言っちゃうんですけど俺ドキドキしてます』
『へぇ?』
一条は嬉しそうにパチュリーと会話を交わす。
『人間より上位の存在がいて、それを証明する場所がある。本当に嬉しいですよ』
『どうして?人間より上位の存在がいて嬉しいの?』
『……そうじゃなきゃやってられないじゃないですか。人間なんて』
『……ふぅん』
パチュリーは少し難しそうな表情をするがすぐにいつも通りの無表情に戻る。
『けど幻想郷には妖怪がいるわよ?ただの人間がいたら餌しか見られないと思うけど』
『俺にはオカルトがあるので大丈夫ですよ〜』
『オカルト?』
『そうです。研究しているうちに分かったんですけどある物質があると都市伝説が具現化するっていう現象があるみたいなんです』
『事象の具現化……?それはまた大層な魔法道具だこと』
『マジックアイテム?それについては分からないですけど名前はちゃんとあるんですよ』
『なんていう名前なの?』
『オカルトボールです』
その道具の名前はとある少女がとある場所で異変を起こした際に使用したとある道具とまったく同じ名前だった。




