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幻想異変録  作者: 凍曇
5章 幻想郷の終わり
57/151

57:結末〜紅魔館〜

『……お前は、誰……だ?』


 レミリアは力なく目の前の僧のような女性に問いかける。


『名前なんぞはどうでもいいじゃろ。我はお前の味方、それだけ理解しておればよい』

『味方……か、ハハッ……助かるよ……』


 レミリアは苦しそうに尻餅をついたみたいに地面に座り込む。

 レミリアにはもう立つ体力も残ってはいなかった。

 女性はチラリとレミリアを見ると早苗の方へ視線を戻す。


『……邪魔をしないでください』

『あー、ん?お主は誰だ(・・・・・)?』

『東風谷早苗だ……。山の、巫女だよ……』


 何も知らないのかと思いレミリアは教えるが女性は首を振る。


『いや、それは知っておるんじゃ。その上で聞いておる。お主は誰だ(・・・・・)?』

『だから、そこの死にかけないの言った通りですよ。私は東風谷早苗です』


 早苗は少し表情を歪めながら女性に言い放つ。

 しかし女性はまた首を振る。


『嘘じゃな。東風谷早苗は子供になっておるのにどうしてお主は普通の体を保っておるのかの?』

『……』


 早苗は無言になると黒い影のような蛇が一匹女性に向かって突撃してくる。


『おっと危ない』


 あろうことか女性は蛇の頭を手で掴み握りつぶす。

 その行動に早苗は無表情になり次々と蛇を生み出し襲わせるが女性は涼しい顔で回避しながら次々と蛇を握りつぶしていく。


『さて、お主の正体が気になるとこじゃが……。邪魔じゃ、往ね』


 女性は錫杖で地面を軽く叩く。

 しゃん、と音が小さく響く。

 すると地面から巨大な骨の手がドス黒い瘴気を放ちながら出てきた。

 その手は早苗を捕らえる。


『これは……!?』


 巨大な骨の手は早苗を握りつぶした。

 パキュン、と硬いものが折れたような何かが弾けたような水っぽい音が響く。

 レミリアはそれをただただ静観するしかなかった。

 手は早苗を握りつぶしたまま瘴気と共に消失する。


『おい、無事か?』

『無事……とは言い難いが、ありがとう。私の大切なものを守れた……』

『……お主、もしかして……』

『気に、しないでほしい……。どうやらあの、蛇に噛まれたの、が問題だったらしい……』


 レミリア力なく喋る。

 女性はレミリアを抱えると囁くように言う。


『何か願いはあるか?』

『そ、うだな……。バラの……庭園の中心に』

『バラってあの赤い花か。それで?どうすればいいのじゃ?』

『図書館に続く階段が……ゴホゴホッ!!』


 女性は悲しそうな顔をしながら下駄で地面をトン、と軽く踏みしめると周りの土が勝手に移動し始めて階段が現れる。

 女性は階段を降りていく。


『はぁはぁ……。凄いな、妖術の類、か、何かか?』

『我は仙人じゃからなぁ。これぐらいは朝飯前じゃよ』

『む、それは……いかんな。いいのか、妖怪、が瀕死、だぞ?』

『……もう喋るな。長くは保たんぞ』


 レミリアは浅く息をしながら弱々しい笑みを浮かべる。

 女性が階段を降りきるとそこには巨大な本棚が並べられた図書室へと到着した。

 女性が足を踏み入れたのと同時に子供二人が駆け寄ってきた。


『ママー!』

『知らない人がママと一緒にいる!』

『その、声は……咲夜、美鈴……』

『ママー。おててが無くなってるけど大丈夫なの?』


 咲夜は心配そうにレミリアに話しかけるとパチュリーが走って駆け寄ってきた。


『レミィ!!』

『パチェか……』

『この子を頼む。我はもう行かないといけないのでな。後でここに我の知り合いが来るからそいつの話を聞いてやってほしい』


 女性はパチュリーにレミリアを渡すと来た道を引き返す。

 

『さて、時間がない手短に済まそうか』

『……!』


 パチュリーの背後にいつのまにか上半身だけがぶら下がっている八雲が出てきた。


『だ、誰!』

『さっきのやつの知り合いだよ〜。というか本当に時間がないんだ。もう少ししたらそいつ死ぬぞ』

『……助かる方法は』

『ない。手遅れだ。だからその前に話をしたい』


 パチュリーは今にも泣きそうな表情をする。

 パチュリーに抱き抱えられていたレミリアが弱々しく反応する。

 八雲はレミリアに耳打ちをする。

 その内容はパチュリーにも聞こえていたがパチュリーは何も言わない。

 レミリアが手で制していたからだ。

 八雲が話し終わるとレミリアを軽く頷いた。

 八雲はぶら下がったままスキマに戻っていき姿を消した。

 

『聞こえ、ゴホッ!……てたろ。後は頼むよ……。この、体は、咲夜に……』

『分かった……。分かったから……!』

『……泣くなよ。なぁ……』

『———ッ!!レミィ……!』


 レミリアはパチュリーの腕の中で眠るように息を引き取った。

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