52:その目に映るのは
『それで?こんな時間に呼び出しってことは緊急事態かい?』
『ええ、そうよ』
勇儀はソファーに腰掛けてうなだれたような格好をしている。
そして、さとりとこいしは勇儀の正面のソファーに座っている。
まるで大人と子供が会話しているようにしか見えないだろう。
だが話している内容はそんなほのぼのした想像とはかけ離れていた。
『多分……色んな人や妖怪が死ぬわ』
『地上で何か起きている事はお燐から聞いた。一体何が起きたんだ?』
『分からないわ……。けどあの人の言う通りだったら地上は一度滅ぶわ』
その言葉に勇儀は目を見開く。
本当にそんな事が可能なのか、と表情で読みとれるぐらい顔に勇儀の感情が出ていた。
対してさとりは両目に包帯を巻いているため、どんな表情なのかは口元からしか読みとれない。
それでも勇儀は理解した。
こいつは真剣に言っている、と。
こいしはずっとニコニコ笑っているだけで表情を全然変えない。
こいつ事態の重さを把握してないだろ、と勇儀が思ってるとさとりが口元をふくらませる。
『すまん。で、話を戻すが私を呼んだ理由はなんだ?私を地霊殿のやつが呼んだって知られたらまたお前が……』
『そんな些細な事はどうでも良いんです』
『そんな些細な事って……!けどお前それで目を……!』
『勇儀さん』
さとりが口調を強めて勇儀の名前を呼ぶ。
『な、なんだよ』
『ずるい言い方をするから許してください』
『……?』
『勇儀さんが私について責任を感じているのならどうか私のお願いを聞いてください』
その言葉に勇儀は大きく溜息をつく。
『はぁぁ……。本当にずるい言い方だな……。けど、うん。了解だ。私は無条件でお前の味方だからな』
『ありがとうございます。ではお願いと言うのは———』
-旧都と地上に繋がる穴を繋ぐ橋-
『ふわぁぁ……。今日も平和ねぇ』
パルスィは欠伸をしながら橋の欄干に腰掛けていると旧都からものすごい勢いで走ってくる姿を目の端に捉えた。
霊華である。
『ん?あれって確か観光だったかでこっち来てた人?おーい!そんな急いでどうしたのー?』
パルスィは大声で呼びかけるが霊華は相当焦ってるらしくパルスィに気づかず通っていく。
『あれま。よっぽど急いでいたのね』
パルスィは少々気になり欄干から降りて霊華の行動を見ていると霊華は上の穴めがけて空中を踏んで走っていた。
『……!?』
パルスィは目を丸くしてしまう。
やがて穴まで到達し霊華の姿は見えなくなった。
『人間やる気を出せば何でも出来るって言葉……。あながち嘘じゃないわね。妬ましいこと』
パルスィはそう言いながら鼻歌を歌いながらまた欄干に腰掛ける。
今日も何だか楽しそうなパルスィであった。
-地上-
霊華は急いで穴から急上昇すると地上に出る。
そして霊華が目にしたものは。
『おいおいおい……。洒落になんないぞこれは……』
頭が8つある巨大な蛇が暴れている姿だった。
これにてこの章は終了です
物語はある意味大詰めですね
次章で1つの物語が停止します




