49:地霊殿に訪れる客
『お姉ちゃん、調子はどう?』
『ええ、こいしのおかげでとっても調子が良いわ』
『えへへ〜』
カラカラと車輪の回る音が館内に響く。
音の正体は車椅子である。
車椅子を押しているのは帽子を被っており、ニコニコと笑っている緑髪の女の子である。
特徴的なのは目を瞑ったように見える丸い物体が浮いていることである。
車椅子に座っているのは両目を包帯でぐるぐる巻きにしており、車椅子を押している子供と会話している桃色の髪の女の子である。
こちらの特徴は目を開いてるように見える丸い物体が浮いていることである。
車椅子を押している女の子と顔が似ており、姉妹であると一目で分かるであろう。
車椅子に座っている女の子の名前は古明地さとり。
この館、地霊殿の主である。
車椅子を押している女の子の名前は古明地こいし。
地霊殿の主、さとりの妹である。
『今日はお姉ちゃんにお客さんが来てるんだよ〜』
『そうみたいね。動物達が騒いでいるわ』
『客間でお燐が対応してるみたいだから今向かってるけど大丈夫だった?』
『大丈夫よ。ありがとうねこいし』
『えへへ〜』
こいしは車椅子を押して客間へと向かう。
そして客間へと続く扉を開けて車椅子を入場させる。
『おや、これは驚いた……』
『初めまして、私は地霊殿の主の……』
『"古明地さとり"だろ』
『……!あなた私の名前を……』
『知っていたが、まさか怪我をしているとは思ってなかったぞ』
『……これは』
言い淀むさとりに猫耳を生やした赤毛を二束の三つ編みにしている女性が会話に割り込む。
『そんな事は今はいいでしょう。早く本題に入ってください』
『その通りだ。今はそんな事を気にしている場合じゃない。では、本題に入らせてもらうが……まずお前らは地上の状況についてリアルタイムで知ることは可能か?』
『藪から棒に……ですね。私はあなたの事も知らないのにあなたの話を聞けと?』
『そうだ。私の事を知らなくていい。信じる必要もない。ただ、話を聞いてくれればそれで良い』
さとりは困惑しつつも冷静に対処する。
『なぜ?あまりにも身勝手過ぎませんか?あなたの言ってることはしっちゃかめっちゃっかだ』
『……ふう。お前のその反応は当たり前だ。ならばてっとり早くいこう。私の心を読んでみてくれ』
『……いいでしょう』
さとりはそう言うとさとりの周りに浮いていた物体の目にも見える部分、第3の目と呼ばれるサードアイがクワッと開かれる。
数秒静寂が訪れる。
その静寂を最初に破ったのはこいしだった。
『ダメだよお姉ちゃん。それじゃあ何も見えないじゃん』
『……こいしには分かるの?』
『だってお姉ちゃんの妹だもん。見えないのはお姉ちゃんが無意識に見るのを拒否しているから。私が手伝ってあげる』
『おい、あんま覗くとお前の体に毒だぞー』
こいしはさとりの肩をポンと触るとさとりの頭に色んな情景が心の声が入ってきた。




