表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想異変録  作者: 凍曇
4章 地霊殿in温泉ツアー
45/151

45:腕相撲

『うわぁお勇儀が相手かぁ……こりゃキツイなぁ』


 萃香は引きつった笑みを浮かべながら中央の台の近くに座る。


『ルールは簡単。私と三回勝負して一回でも私に勝てれたらそっちの勝ちさ。後そっちは3人で1人1回私と勝負してもらうよ』

『相変わらず豪気で助かるよ。そんじゃ、いっちょやるか!』

『おうっ!』


 中央の台に2人は腕を乗せる。

 そして2人はお互い手を掴み合い、そこで静止する。

 ヤマメがチラッと勇儀を見ると勇儀は頷く。

 次に萃香を見ると萃香も勇儀と同じ反応をした。

 ヤマメは声を張り上げて宣言した。


『はっけよい……残った!!』


 ヤマメがそう宣言した瞬間ズン!と地面が揺れる音が響いた。

 鬼同士の力比べ。

 それは想像よりも恐ろしい事ではある。

 古来より鬼は恐怖の象徴として見られてきた。

 昔話などで語られる鬼はどれも悪い化け物として扱われており、一部の作品以外では良い扱いをされてはいない。

 中には日の本の東では鬼を祀っている土地もあるらしく、他の土地では神として信仰されている場合もあるという。

 だがそれでも、鬼の印象と聞かれたら悪、怖いと思う人が多いだろう。

 そしてそれは、鬼がどれぐらい恐怖の対象として捉えられていたか言うまでもないだろう。

 百鬼夜行が良い例である。

 だが鬼は別の側面でも捉えられていた。

 鬼は形がない象徴や、変身能力があるなども諸説あるが今回は割愛させてもらう。

 では別の側面とは?

 どの鬼でも様々な作品ではある共通点がある。

 それは「恐ろしげ」であったり「力強く」や「超人的」であったりする。

 そう、鬼の別の側面、それは力の象徴である。

 その力の象徴である鬼の中でも四天王と謳われた2人であれば尚更別次元の話である。


『なんで床とか台が壊れないんだろう、って思ってるでしょ?』


 ヤマメは霊華にそう言った。

 霊華は頷いてヤマメに問いかける。


『確かに気になるな。普通だったら台どころかここらへん一帯が沈んでもおかしくない力比べだな』

『いやー、一回壊しちゃってるんだよね。んで、そん時に建て直す際に勇儀が台の取り付けと床の補強をしたのよ』

『ちょくちょくこういうのがあるのか?』

『いんや、ほとんどって言っていいほど無いね。そもそもここは旧都、旧地獄なのよ?ここは行くあてもない妖怪達の最後の場所なのよ。だからまず地上の奴らを入れる事はない……はずだったんだけどね』

『はずだった?』

『そ、ちょいと前にこっちの都合で異変を起こしちゃってね。その時にはそこの巫女にとっても世話になったのよ』

『ふぅん。そっから地上の奴らと関係が結び始めたって事か?』

『いやまったく?』

『……』


 霊華は渋い顔をしてヤマメを見る。

 萃香と勇儀はギギギっと筋肉の軋む音を立てながら拮抗しており、周りの客は勇儀を霊夢達は萃香を応援して場は盛り上がっている。


『助けてもらって言うのもなんだけど基本スタンスは変わらないのよ。結局ここが行き止まり(どん詰まり)な事に変わりはないのよ』

『じゃあ何のためにあんな場を設けたんだ?』

『選別みたいなものだと私は思ってる』

『選別ねぇ……』

『ここに来る奴は何も全員敵とは限らないって話よ。それこそ「ここ(旧都)」が最後の希望で来る可能性だって大きいわ』

『……優しいんだな』

『面と向かって言われると恥ずかしいけど……ありがと』


 突如歓声が店内に響き渡った。

 霊華とヤマメは中央の台に注目すると萃香が大の字に倒れて勇儀が台に突っ伏していた。

 周りの反応から確認するにどうやら勇儀が僅差で勝ったらしい。


『くっそー……今回こそは勝てると思ったのになぁ』

『はっはっは……危ない危ない』


 数秒すると2人はケロッとして普通に立っていた。


『いやー、久しぶりに勇儀と遊べて楽しかったよ!』

『また挑戦しに来てもいいんだぜ?』


 次は誰だー?と勇儀は叫ぶ。

 ヤマメは肩をすくめて言った。


『あの鬼さんが負けならこっちの勝ちね』

『それはどうかな?』

『えっ、あの鬼さん以外に勇儀に対抗できる奴なんてここにいるの?』

『ま、見ておけって。地上にはこんな奴もいるんだってとこをさ』


 霊華は立ち上がって手をあげた。


『私がやろう!』


 ヤマメはビックリして思わず霊華を引き止めてしまった。


『ちょちょ、待って!アナタ人間でしょ!?勝てる訳ないじゃない!』

『まぁまぁ、言ったろ?見ておけって』


 霊華はヤマメの手をそっと掴んで自分の腕から引き剥がす。


『お、良いねぇ。アンタからはビンビンと強そうな匂いがしてたんだよ。楽しみにしてるよ』

『そりゃどうも。えっと、勇儀さんだっけ?』

『よせやい、勇儀で良いよ』

『そうか。んじゃ、勇儀は強そうだから手加減無しだ』

『へぇ?私が手加減するならまだしもアンタが手加減する余裕があるって?』

『試してみれば分かるんじゃないか?』

『違いない』


 勇儀は苦笑しながら台の近くに再び座る。

 霊華は笑みを浮かべて台の近くに移動し座る。

 2人で手を掴み合うと勇儀の顔がサッと変わった。

 勇儀は今まで笑っていた表情とは違い真剣な顔つきになっている。

 ヤマメは一度深呼吸すると宣言した。


『はっけよい……残った!!』


 数秒後今まで大きい歓声が店内に響き渡る。

 歓声は止まずそれどころか大きくなる一方だ。

 そしてその歓声の中心にある光景は信じられる人には信じられるし、信じられない人に信じられない光景であった。

 勇儀はひっくり返って仰向けで倒れており霊華はニコニコ笑って勇儀の手を台に押しつけていた。

 つまり霊華の勝利である。


『しゅ、瞬殺かよ……まいったなこりゃ……』


 勇儀は驚いたように呟いた。

今日は豪華3本立てでした!

いかがでしたか?

戦闘以外の争いを書いてみたかったのでこの話を急遽追加してみました!

いやー、やっぱり先代って強いですね!

シリアス入れないとダメな病にかかってますねこれは…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ