39:菫子の悩み
『んじゃ、ちょいと妖夢を回収してくるから後は頼んだぞー』
『我は動けんから頼むー』
八雲は僧に注意された後どうやって能力を駆使したのか分からないのだがめくれた地面、壊れた家などを修復した。
八雲曰く管理者として修繕も担当しているらしく治すのは朝飯前とのこと。
『あの、1つ聞いていいですか?』
『ん?あ、そういえば質問に答える約束じゃったな』
『取り付けたのは霊夢さんですけどね。あの、あなたは何年生きてますか?』
『……ほう?どうしてまた』
『いえ、あなたが口から炎を出したりしたじゃないですか?』
『ん?おお確かにやったがそれが?』
『私とある尸解仙の方を知ってるんですが彼女も火を使ってたりしたのでもしかしたら仙人の類なのかなって』
『幻想郷にも尸解仙がおるんか』
『ええ、これは私の知り合いから聞いたんですが仙人になればまず寿命の概念がなくなるとかなんとか。あなた完全に人間離れしてるからもしかしたら仙人なんじゃないですか?』
菫子の言葉を聞いていた僧は目をパチクリさせていたがやがて表情は朗らかな笑みへと変わる。
『はっはっは!なるほどのぅ。うむ、詳しくは覚えておらんがもう何千年も生きとるよ』
『そ、そんなに!凄いんですね……』
『いんやー?長く生きてたところで良いことなんてほとんどないぞ?生きるのが苦しくなるだけじゃよ』
『……もしも一生死ねない体になったらどう思います?』
『最初は喜ぶかもしれんな』
僧は当たり前のように言う。
菫子は黙って僧の話を聞く。
『じゃが、何年もすればそれは退屈に変わりそして苦痛に変わりいつしか生きてる意味すら見失うじゃろうな。そしてまず周りと交わろうとはしなくなるじゃろう。繋がりを持てば苦しくなるからな。まず救われることはないじゃろう』
『救うことは……無理ですか』
『ふむ?そうじゃのう……。救われるとしたらかけがえのない繋がりを持って何かをもらうことじゃな』
『もらう……?』
『それは言葉だったり、思い出だったり、理解だったり……ま、人それぞれじゃろうな。お主が誰のことを思ってるのかは聞かんが救いたいと思うのであれば生半可な気持ちじゃ逆に相手を傷つけるだけじゃぞ。そこのところだけよく考えるんじゃな』
菫子は頷くと僧はニカッと笑う。
『ま、そこまで思っとるんじゃったら大丈夫じゃよ。ちゃんと助けてやるんじゃぞ?』
その時遠くから少しくぐもった女性の声が聞こえてきた。
『おーい、帰ったぞー』
『お、やっと帰ってきたみたいじゃな』
そこには八雲と魂魄が一緒に歩いていた。
魂魄は僧の傷を見るとギョッとして僧に向かって走ってきた。
『ちょ、怪我してるじゃないですか!』
『うむ、ちょいとやらかしてな。そっちはどうじゃった?』
『えっと、八雲さんが助けてくれて里の人達は傷つけずに済みました』
『ん?私が?』
『え?いや、だって里の人達が操られてるからって能力で皆を正気に戻してあげたじゃないですか』
『いやいや、私はこっちに来た時は沙霧の所だったからそっちには行ってないぞ?』
魂魄と八雲は話が噛み合ってない事に気付き眉をひそめる。
菫子は話についていけずただただ話を聞いているだけだった。
『じゃあ私を助けてくれたのは八雲さんじゃない……?』
-里の外-
パーンは誰かに担がれている事に気づく。
パーンがゆっくり目を覚ますと数分前にパーンを瞬殺した女性がいた。
『……!?』
『お、目が覚めたか……って暴れるな暴れるな、私だ私』
そう言うと女性の形がゆっくりと崩れていき、いつのまにか金色の髪の女性になっていた。
それを見るとパーンはホッと一安心する。
『トールでしたか。びっくりしました……』
『変装解くの面倒でそのままだったからな〜すまんすまん』
『というかあなたも来てたんですか?リーダーなのに』
『ま、今回は私のミスでウズメを危険な目に合わせてしまったからな。迂闊だったよまさか攫われるなんて、そんなに大事ならまず前線に行かせるなって話になるけどな』
『けど神様退治なんてウズメ以外に適任がいないのもまた事実ですしね』
『そうなんだよなぁ……。本当に幻想郷って怖い所だよ』
パーンは左肩に担がれていて、チラリと右を見るとウズメも担がれていた。
『ウズメも無事でしたか……』
『本当にギリギリだったよ。霧が突然出てくるわサンジェルマンは剣士一人に殺されそうになるわ……。ま、途中でお前を回収できたのは奇跡に近いな』
『逃げれて良かった……。あ、そういえばサンジェルマンは?』
『里の人達の頭の中』
『え?じゃあまだ戦ってるんですか?』
『いや、ちょっと色々あってやられたふりをしてもらったのよ。ま、その話は後にしてさっさっと帰りましょ』
『そうですね……。まぁ動けないから担がれるしかないんですけどね』




