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幻想異変録  作者: 凍曇
3章 争奪戦
37/151

37:"八雲"

 霊夢達は次々とパーン達を倒していく。

 そして僧は思いっきり息を吸い込むと口から吐き出す。

 ただし、口から出たのは息ではなく火であった。

 僧の火炎放射がパーン達を焼く。


『火吹き芸なんてあの尸解仙みたいな真似をするわね!』

『喋ってる余裕があったらとにかく相手の数を減らせ!一向に減る様子がないぞ!』


 それどころかどんどん数が増えていき少しずつだが数に押され始めている霊夢達だったが、そこで霊夢が叫ぶ。


『ちょっとアンタ達急いで私の近くに集まって!作戦があるわ!』


 その言葉に急いで集まる僧と菫子。

 集まったのを確認すると霊夢は手を合わせ霊力を一気に放出する。


(この体でどこまでいけるか……!けどやる価値はあるわ!)


『夢想封印!』


 霊夢が叫ぶと放出された霊力は形を持ち始めて虹色に輝き始める。


『え?夢想封印?我が知ってる夢想封印と違うじゃけど?』


 何気なく呟いた僧の言葉に霊夢は反応したがすぐに無視をした。

 何故なら今はそれよりも霊力を保つ方が最重要だったからだ。

 不安定な形を持った霊力は周りにどんどん着弾してはそのまま次の標的に襲いかかる。

 少しずつだがまた霊夢達が押し返し始めていたが霊夢の顔色はかなり悪い。

 息が荒く尋常ではない汗をかいている。


(予想は……してたけど……やっぱり霊力の上限が大幅に小さくなってる……!)


 パーン達は少しずつ減らされていきながら考えていた。


(あの子供……!間違いない!最重要指定人物の博麗霊夢……!ここに来て出会えるとは好機!)


 パーン達は夢想封印をあえて食らって弾幕の隙間を作る。

 その隙間を縫うようにパーンの1人が角の生えた獣人になり爪で霊夢を襲う。


『……っ!』


 だが僧が錫杖で受け止める。

 しかしパーンの攻撃はそれでは終わらず回し蹴りで僧を蹴り飛ばす。


『ぐ……ぬっ……!!』


 回し蹴りをもろに受けて横に吹き飛ぶ僧だったが菫子が受け止める。


『だ、大丈夫ですか!?』

『す、すまぬ……』


 菫子は僧の体が暖かい事に気付いた。

 体が暖かい。

 それ自体は普通のはずだ。

 けど違う。

 何か暖かい液体が(・・・・・・)漏れているような(・・・・・・・・)


『ちょ、血が出てるじゃないですか!』

『ぐ……やっぱりあの女の拳は効くのぉ……』

『え?大丈夫なんですか……?』

『ああ、いや傷が開いただけじゃ……それよりあの娘を守らなくては……!』


 その言葉に菫子はハッとなり、霊夢の方へ向くと夢想封印は消えており、霊夢は膝をついて肩を上下させている。

 そこにはパーンが3人ナイフを持って霊夢の事を刺そうとしている瞬間だった。

 菫子は急いで念力でパーンを一人吹き飛ばし、吹き飛んだパーンをもう一人のパーンに当てて二人を無力化する。

 だけど間に合わない。

 まだ一人、残っている。


『霊夢さ……!』

『くそ……!間に合わな……!』


 パーンがナイフを振り下ろそうとした時それ(・・)は起きた。

 突如空間が割れて空間の割れ目から足が飛び出てきてパーンを蹴り飛ばす。

 それを菫子は見ていた。

 菫子はその空間の割れ目に見覚えがあった。

 とある異変(・・・・・・)を起こした際にそれを見たはずだ。

 菫子に幻想郷の恐ろしさを叩き込んだあの妖怪が使っていた……。


『紫さんのスキマ……?』


 だけど出て来たのは菫子の予想を裏切る人物だった。

 どう見ても紫ではない。

 黒髪の長髪に、どこかで見覚えのある服装の上に紫が着用している前掛けに鬼の面をつけた女性がスキマから出てきた。

 僧はその女性に手を振る。


『すまんの、寝ているところ起こして……』

『いやいや、こっちこそ悪いな。まさか眠ってしまうとは……』


 菫子は恐る恐る鬼の面をつけた女性に声をかける。


『あ、あの……』

『ん?誰だい?』

『あ、私は菫子です。失礼ですがあなたのお名前は……?』

『いいのいいの、そんな畏まらなくなって。別にとって食おうって訳じゃないないんだから』

『は、はぁ……』


 なんというか思ったよりも気さくな人だな……と菫子は拍子抜けしながら思った。

 そして鬼の面の女性は気付いたようにあ、と声をあげる。


『おっと、名前をまだ言ってなかったな。初めまして、私の名前は』


 告げれらた名前は菫子のよく知る名前であった。


『"八雲"だ。よろしくな』

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