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幻想異変録  作者: 凍曇
3章 争奪戦
32/151

32:サンジェルマン

『雪が降ってないだけマシだけどやっぱり冷えるわね〜』

『ねぇ霊夢さん…その亀なんで浮いてるの?』

『昔結構世話になってた亀でね〜。何で浮くのかは私も分からないわ』

『ふーん…それじゃあまず何します?』

『そうね〜何処かで休みながら聞き込みをするのは?』

『お、良いですね。それじゃあ茶屋を探しましょっか』


 茶屋を探しに大通りを歩いているとすぐに店は見つかった。

 どうやら団子を売りにしているらしく店の前には団子のメニューが書かれた看板が置かれている。


『ここにしましょ。丁度席も空いてるみたいだし』

『結構繁盛してる店なんですね』


 そう言いながら二人は中には入らず外にあるベンチに座る。

 席に着くと店長であろう女性に団子とお茶を注文し、まったりしながら外を眺めていた。

 外にあるベンチは二つあり、片方は他の客が座っていた。

 そこに座っているのは里の住人と…あれは僧だろうか?

 笠を被っており錫杖を持っている。


(…異常はないわね。紫達の話だと変なやつらが今回の異変に関わっているかもしれない…って言ってたし一応そこも頭の片隅に置いておこうかしら)


 団子がくると菫子と霊夢はそれはモグモグ食べながら客に話しかける。


『ねぇねぇ最近人里で幽霊とかに取り憑かれるみたいな噂を聞いたんだけど誰か知ってる?』


 その質問に最初に答えたのは里の人だった。


『ああ、最近流行ってるね。知り合いから聞いたんだけど長屋のとこの男が突然人が変わったように怒り始めたりとか色々あったみたいだよ』

『ふーん…あなたは何か知らない?』


 霊夢は僧にも聞くと答えてくれた。


『最近の子供は好奇心旺盛じゃのう。残念ながら我は知らんよ』

『あら、てっきり里の人かと思ったけど』

『見ての通り僧じゃからな我はただの旅人よ。仕事柄妖怪とかの退治もした事はあるぞ』

『あら、結構やるのね』

『そりゃどうも。あ、我もお主に質問があるんじゃが銀色の髪で二本の刀を帯刀してる女を見ておらんか?』

『銀髪で刀持ってるやつ…?いや、見てないけど』


 一瞬霊夢はとある庭師の事を思い出したが今は関係ないと思いその事は口に出さなかった。

 それ以前に、彼女はたしか霊夢と一緒で小さくなったはずだ。

 霊夢の答えに僧はガッカリしながら何かを喋ろうとした時に悲鳴が店内から聞こえてきた。

 バッと店内の方は振り向くとそこには客の男が包丁を店長の首元に当てていた。


『動いたらこいつを殺すぞ!』

『あいつ…!』


 客の男は何か意味の分からない言葉をわめき散らしている。

 店長が人質にとられているために誰もその場から動けない。

 二人を除けばだが。


『ちょっとアンタ!何やってるの!』

『あ?なんだガキか』


 あっち行ってな、と言うと男は霊夢の事を無視する。

 その態度に霊夢は無言になり札を懐から取り出す。

 そしてその札を男に向けて投げつける。

 札はピタッと男の衣類に貼りつく。


『あ?おい、ガキてめー何や…』


 男が霊夢に言葉を言い切る前に霊夢は言った。


『ガキ呼ばわりしてるんじゃないわよ!!』


 そして小さく霊夢が何か呟くと男が突然電流を浴びたみたいにビクンと震える。

 そして男は泡を吹いて倒れてしまった。

 店長は腰を抜かしてしまったのかぺたりとそこに座り込む。

 菫子は急いで店長の元に駆け寄り大丈夫ですか?と看病をする。


『す、すいません。腰を抜かしてしまって…』

『いえいえ、怪我がなくて良かったです』


 この男をどうしよかと霊夢が思い悩んでいると外から錫杖が突然飛んできた。

 その錫杖は霊夢の前を通り過ぎる。


『危ないわね!何するの!』


 思わず外に向かって吠える霊夢だったが瞬時に思い出す。

 あの錫杖はたしか僧が手に持っていたやつではなかったか…?

 霊夢の予想通り僧が店内に入ってくる。

 しかし少し様子がおかしい。


『危ないのはそっちじゃ!急いでそこから出てこい!!』

『はぁ?何言って…』

『霊夢さん!後ろ!』


 菫子の叫び声を聞いて霊夢が後ろを振り向くと客の一人が吹っ飛ばされた。

 菫子の能力でどうやら吹き飛ばされたらしい。

 次に菫子の方は振り向くと店長が包丁を持ったまま倒れている。

 近くに錫杖があるところを見るにどうやら錫杖で腹を叩かれて気絶したらしい。

 そして気づいた。

 店内の様子がおかしい事にだ。

 客の皆がそれぞれ殺気を放っている。

 僧は走って店内に入ると錫杖を回収し霊夢の服の首根っこを掴んで外に出る。

 思わず霊夢はグエッと変な声を出してしまう。

 僧に続いて菫子も走って一緒に外に出る。


『チッ、囲まれたか』

『ねぇ!さっきから話についていけないんだけど!』


 霊夢は叫ぶと僧は霊夢の衣服の首根っこを掴んだまま今の状況を説明する。


『よくは分からんが里の人達が操られているようじゃな…』


 僧に言われて霊夢は改めて周りを観察するとたしかに里の人達に囲まれている。

 しかも全員が薄気味悪い笑顔を浮かべている。

 その時周りの里の人達が一斉に喋り出した。


『初めまして』

『手荒い真似をしてすみませんね』

『ですが』

『我々も目的の遂行のため邪魔者は排除させていただきます』


 一人一人が言葉を繋げていって喋っている。

 そんな状況に霊夢と菫子は薄気味悪さを感じていた。


『あなた達は一体誰よ!名前を名乗りなさい!』


 霊夢が叫ぶと周りの人達は口を揃えてこう言った。


『私達の名前はサンジェルマン。以後お見知り置きを』

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