29:静かに幕は閉じる
霊華と紫は現在人里を歩いていた。
早苗達が行方不明になった後小さくなった天狗達を匿っていた天狗達は無事だったのを紫達は発見したのだが天狗の話から射命丸文が行方不明になる事が判明した。
その後捜索しようかと霊華が提案したのだがそれは紫が却下した。
紫の推測によれば恐らく文も早苗と同様神隠し(皆がそう言うのでそう呼ぶようにした)にあったのではないかとの事だった。
やる事もないので帰ろうと思い、人里を通りがかると見る者にとって衝撃的な看板が霊華の足を止めていた。
『野菜が…半額だと…!?』
-博麗神社-
『ねぇ萃香』
『なんだい?』
『出番全然無いわよね?』
『悲しいこと言うねぇ…てかそれは霊夢がまったく動かないからでしょ』
『だってやる事ないんだもん』
『…』
萃香は呆れたようにため息をつくと悪魔、いや鬼の提案をする。
『じゃあうちの食料底をついたからなんとかして』
『…は?』
『いや、だから食料が底をついたんだってば空っぽだよ?』
萃香のその言葉を聞くと遠い目をしてコタツにもぞもぞと動いて横になる。
『そっかぁ…じゃあ寝よう』
『おーい?なんでその結論にたどり着けるの?』
『ここが違うのよ、ここが』
ドヤ顔で霊夢は言うが萃香は冷ややかな目で見つめ言葉を返す。
『別の意味でね。変人と天才は紙一重って言うけど霊夢の場合は変人に偏ってるから』
『言ってはならない事を言ってしまったなっ!!この鬼め!!』
こうして意味のない争いが幕を開けた。
『で、お前ら何やってんの?』
霊華が様々な野菜を抱えながら言う。
霊華の目の前にある光景は萃香が札でぐるぐる巻きにされて倒れておりその上に霊夢が乗っかっている状態である。
『この子は天才の犠牲になったのよ…』
『ふーん…』
『ちょっと何やってるの霊夢、早く萃香を解放しなさい』
『へいへい』
霊夢は自分で貼り付けた札を手でぺりぺり剥がしながら紫に話しかける。
『そういえば萃香が言ってたんだけど食料が底をついたってさ』
『知ってたわよ?』
『え?そうなの?』
霊夢の反応を見て霊華はカラコロと笑いながら野菜を居間に置く。
『そいつからは既に聞いていたんだよ。それでなんとかしないとなーって紫と話をしてたんだ』
『え、ちょっとちょっと私何も聞いてないけど?』
『だってお前寝てたもん』
霊夢は助けを求めるような目で見るが紫は顔をそらす。
『まぁまぁ、今日は野菜が安く仕入れられたし鍋にしようか』
『やったー!』
霊夢の喜んでいる姿を見て紫は疑問に思った事を二人に聞いてみた。
『あなた達って…食料とか尽きた時どうしてたのかしら?』
『『木の皮とか食べてた』』
霊夢と霊華が二人してシンクロして同じ答えを紫に返してきた。
紫は若干引きながらこう思うのであった。
(アホだ…二人してアホだ…)
その時ガラガラと戸が開かれる音が聞こえた。
『ひゃー、ただいまー』
『雪だー!ただいまー!』
『お、彼女達も帰ってきたな』
『あ、皆帰ってきてたのね。こんなに野菜がいっぱいあるけどこれは一体…』
『おう!今日は鍋だ!』
こうして今回の事件の幕は静かに閉じた。
霊華と紫はまだ苦いものがあったがグッと堪えた。
今はゆっくりと休もう。
そう思い鍋の準備を進める二人。
これからどうなるのだろうと頭の片隅で思いながら。




