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幻想異変録  作者: 凍曇
2章 天狗の山
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28:此糸の始動

『いきなり引きずりこむことはないじゃろ…心臓に悪いわ!』


 幻想天狗は目の前にいる9本の尾を生やした女性に言う。


『やや、これは申し訳ありません。えーっと…』

『ん?ああ、我のことは幻想天狗とでも呼んでくれれば構わんぞ』

『やっと名前をお決めになったんですね幻想天狗様』

『動く際に名前も必要じゃったしな。というかこれの場合は名前じゃなくて記号みたいなものじゃけどな』

『はぁ…。たしか天狗は住む山の地名からとってそれを名前にするんでしたっけ?』

『その通りじゃ。元々あの変な結界が出来る前からあの山に住んでおったわけじゃしな』


 9本の尾を生やした女性は幻想天狗の方を見るとキョトンとした顔をしている。

 厳密には幻想天狗ではなく幻想天狗の腕で抱えられている緑髪の子供の事だ。


『誰ですか?』

『守谷神社の娘』

『…はい?』

『いや、だから守谷神社の娘だってば』


 何余計な事してるの?みたいな顔で9本の尾を生やした女性は幻想天狗を見つめている。


『引きずり込んだのはそっちじゃろーが!』

『いえ、私は何余計な事してるんだろうだなんて…』

『そんな事一言も言ってませんー!てか自分で言ってるやん!』

『はっはっは、お戯れを』

『よーし、喧嘩か?喧嘩売ってるんじゃな?』


 幻想天狗が引きつった笑顔で立ち上がる。

 そこに幻想天狗をたしなめる声がどこからともなく聞こえてきた。


『落ち着け落ち着け、お前ら仲がいいのは構わないがここでうるさくしないでくれよ』


 声の主は空間が割れて開いた裂け目から出てくる。

 般若の面を被っており忍びが使用してそうな服装の上に前掛けがある女性だ。

 姿を確認すると女性は会釈する。


『お帰りなさいませ首尾はいかがでしたか?ご主人様』

『上々というとこかな』

『おう、そっちは上手くいったそうじゃの』

『ああ、すまないな。面倒な役押し付けてしまって』


 ご主人様と呼ばれた女性は般若の面を右上にずらす。

 そこから覗いたのは綺麗な顔立ちだが目の隈が目立つ顔であった。


『それで捕らえられたのか?』

『1匹だけだがな、ほれ』


 幻想天狗の足元に空間が割れて気絶している女性が放り出される。

 女性には目立った外傷はないがひどく疲弊した様子で気絶している。


『名前は?』

『分からないが間違いなく組織の一人だ。こいつには色々と役立ってもらわないとな』

『って事はそろそろ本格的に我らも動くのか?』

『…そうだな。藍、私は少し寝るからお客さんを別室に寝かせておいてくれ。沙霧は私と一緒に来てくれ』

『了解しました。それではお先に失礼します』


 藍と呼ばれた9本の尾を生やした女性はどこかへ行ってしまった。


『その名前で呼ばれると気恥ずかしいんじゃが…』

『別にいいだろ、そのかわりお前も私の事は何とでも呼んでくれて構わないよ』

『まぁいいか。それじゃあ我もようやっと自由に動けるって訳じゃな』

『ああ《此糸》はこれより本格的に活動を始める。もう運命という歯車にに我々は介入した。出来る限りの異物となって歯車を狂わせようじゃないか!』

『やっぱりお主はどこか壊れておるの。じゃが我はお主のそういう所が好きじゃよ』


 幻想天狗はカカッと笑うと嬉しそうに言う。


『よろしく、"八雲"』

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