20:電光石火の戦い
早苗は一呼吸つくとゆっくりとした足取りで外に出る。
(文さんの言う通りだった…文さんは今あっちで動いている…なら私の役目はここでやつと対峙し…勝つ!)
-博麗神社-
『はぇぇえ…力が抜けるぅ…コタツ…』
『なんていうだらしない声をあげてるのよ』
霊夢はコタツに本格的に虜になり始めている。
それを見た紫はため息をつく。
『それじゃあ私はちょっと霊華と出かけてくるから留守番頼んだわよ?』
『むぁ〜い』
『なんつーやる気のない声よ…』
紫が再度またため息をつくと台所からエプロン姿の萃香が出てくる。
萃香は紫と霊華を見ると話しかける。
『お、どっか行くのか?』
『ちょっと欲しいものがあってね山に行くのよ』
『へ〜。じゃあ留守番は私と霊夢でしておくから安心しときなよ』
『お願いね。霊夢はもうだらけすぎてるから…』
『そういえばあの子供達は?』
子供達…。
つまり萃香が言っているのは菫子と妹紅の事である。
『えーっと、たしか永遠亭に行ってるはずだけど』
『ふーん…じゃあもう少ししたら帰ってくるかな』
『その時はお願いね』
『へーい。んじゃ、行ってらっさーい』
-守谷神社-
『よーし、準備はいいかい?早苗、諏訪子』
『もちろん!そっちこそ大丈夫?神奈子』
『ええ!私はいつでも準備OKです!神奈子様!』
風が吹いた。
神奈子は少し目を細めて笑みを浮かべている。
いつのまにか目の前には笠をかぶり錫杖をもった長髪の女性らしき人物が立っている。
白い髪をなびかせながら笠を取る。
『全員でお迎えとは中々豪勢じゃのう』
『あなたが…新しく来た天狗ですか…』
『うん?新しく…ああそういう事か。その通りじゃ我こそが幻想天狗であるぞ』
『幻想天狗…あなたの目的は何ですか?』
早苗はキッと幻想天狗を睨みつける。
しかし幻想天狗は涼しい顔でやり過ごしている。
『さて、なんじゃろうなぁ?』
『幻想天狗、あなたの行動を異変とみなし異変解決のため退治します!!』
早苗がそう叫ぶと同時に幻想天狗の足元から柱が突き上げてきて幻想天狗を空中に吹き飛ばした。
『先手必勝!諏訪子!』
『了解!祟り神「赤口さま」!』
諏訪子はパン!と両手を合わせると足元から巨大な蛇が4匹足元から突然姿を現し幻想天狗に躍りかかる。
『小癪な!』
体勢を崩しながらも錫杖を巨大な蛇の頭をめがけて振り下ろす。
錫杖に触れた瞬間蛇の頭が弾け飛ぶ。
しかし幻想天狗は1匹にしか対応できず横から突っ込んできた蛇に咥えられ勢いよく柱に激突される。
ズズン!と重い音が響く。
『…やった?』
諏訪子は両手を合わせた状態を維持し柱を睨みつけながら言う。
その時蛇が頭から尻尾の先まで真っ二つに割れた。
『うっそ…!?』
割れた蛇の身体はバランスを失い片方ずつ横に倒れる。
めり込んだ柱から太刀を携えた幻想天狗が出てくる。
その姿を確認した残りの2匹の蛇が幻想天狗に牙を向け突撃するが幻想天狗が太刀で横薙ぎすると蛇の頭が切り落とされる。
頭部を失った2匹の蛇を失速しそのまま倒れこむ。
『いやぁ中々やるのぅ。じゃが蛇とは少々相性が悪かったの』
『あの刀…よっぽどの名刀だね…まさか赤口さまがやられるなんて』
『こいつは蛇切丸といっての。大蛇を切ったとされる逸話を持つ神刀じゃな』
刀の峰で肩をトントンと叩きながら幻想天狗は言う。
いつのまにか錫杖は幻想天狗の手元から消えており代わりに先ほどまで錫杖を掴んでいた手には今、蛇切丸が握られている。
早苗はあまりの戦いの速さに呆然と見ていたが相手の殺気を感じ、思った。
もう戦いの火蓋は切って落とされたのだと。




