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幻想異変録  作者: 凍曇
1章 謎の異変
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14:クリスマス! 中編

『誤算だったわ…』


 紫が人里の酒屋の前でうろうろしている。

 数分前酒を買おうとしたのだが酒屋のおっちゃんにガキに酒は売れねぇ。と拒否されたのである。


『ぐぬぬ…一旦誰か呼べば…』


 しかしよく考えると今神社には大人がいないような気がする。

 ちなみに萃香は年齢的にもありだが見た目からして里にはこれないので論外である。

 これからどうしようかと思案している紫の背後から声をかけられた。


『子供が酒屋の前で何をしているんだい?』


 なんだとこの野郎と思い振り返ると思わず息を呑んだ。

 そこに立っていたのは赤を基調としたゆったりとした服の上に白衣を着た女性だった。

 見た目はただの医者に見えるが紫はその女性を知っていた。


『れ、霊華…』

『ん?なんで私の名前を…』


 紫が霊華と呼ぶ女性が紫をジロジロと見る。

 

『私よ私!八雲紫よ!』

『紫…?あれぇ…こんなに小さかったかな?』

『事情があって小さくなったの!というか貴方今までどこにいたのよ!』


 語気を強めて紫が霊華を問い詰める。


『え?いや人里に普通にいたけど』

『はぁ?』

『まぁまぁその話はまた今度にしよう。というかここで何してるんだ?』


 紫は納得のいってない顔だったが諦めるとため息をついて酒屋でのやりとりを伝えた。


『ふーん…つまりあれか宴をするから酒が欲しいと』


 うんうん。と紫は頷いている。


『そして酒屋に来たのは良いけどちっこいから(笑)相手にされなかったと』


 紫がむっとした顔をすると霊華は笑いながら紫の頭をポンポンと叩く。


『ま、そういう事なら私が手伝ってやろう』


 紫が何かを言う前に酒屋に近づいて酒屋のおっちゃんに話しかける。


『すいませーんお酒が欲しいんですけど』

『お!先生らっしゃい!珍しいね酒を買いに来るなんて』

『知り合いが宴会をするみたいだからそれで酒でも持っててやろうかと思いまして』

『そいつは良いですねぇ、どれくらい買います?』

『樽でひとつ下さい』

『あいよ!重いですけど気をつけて下さいね先生』


 霊華はお代を払うと片手でひょいと樽を抱え歩く。


『酒も買ったし神社に行こうか』

『…相変わらずの馬鹿力ね』

『馬鹿って言うな馬鹿って』



-博麗神社-


『それでクリスマスってのは具体的にどんなの準備すれば良いんだい?』

『クリスマスツリーがあれば見栄えが良くなると思うんですよね〜』

『クリスマスツリー…なんか美味しそうな名前だねぇ』


 萃香が腕を組みながら言う。

 妹紅には想像がつかないのか先程から唸っている。

 ちなみに霊夢はコタツでぬくぬく暖まりうとうとしている。


『お姉ちゃんお姉ちゃんまったくどんなのか分からない』

『んーっと、小さい木にいろんな飾りを付けたりする木のことをクリスマスツリーって呼ぶの』

『流石外の人間だけあって詳しいなぁ』


 萃香は感心したように言う。

 

『毎年外の世界では行われている行事ですからね嫌でも分かりますよ』


 苦笑しながら答える。

 しかしここである問題がある。

 それは…


『クリスマスツリーって絶対幻想郷にありませんよね…』


 クリスマスツリーは幻想入りするほど忘れられている物ではないため幻想郷にはない可能性が高いのである。


『クリスマスツリーねぇ…外の世界だと店とかで売ってたりしないのかい?』

『いや、売ってたりするんですけどホームセンターとか…あ』

『お姉ちゃんどうしたの?』

『香霖堂になら売ってるかも…』


 菫子はコタツで眠りかけている霊夢に話しかける。


『霊夢さん私ちょっと香霖堂まで行って来ますから留守番お願いしますよ』

『うあーい』


 霊夢は気の抜けた返事を返すとコタツの中に潜り込んでしまう。


『じゃあちょっと私行ってきますので』

『外は寒いから気をつけてな〜』

『私も行く!』

『じゃあ一緒に行こうか』

『うん!』


 菫子は妹紅と手を繋いで香霖堂を訪ねに行った。


『さーて暇になったし私も一眠りするかな』


 萃香はコタツに入り横になるとしばらくして静かな寝息を立て始めた。



数時間後


 外はもう日が沈もうとしており暗くなってきている。

 紫が霊華と一緒に神社に到着した頃にはすっかり夜になっていた、居間に行くと河童に作らせた電球が点いており萃香と霊夢はコタツで寝ていた。

 そして大きい木が部屋の隅に置かれており菫子がキラキラした飾り物を妹紅と一緒に飾っていた。


『あ、お帰りなさい思ったよりも遅かったで…』


 菫子が紫に気づき振り返ったら知らない人がいてつい言葉を止めてしまった。


『え、えっとどちら様ですか?』

『始めまして私の事はえーっと先生とでも呼んでくれ!』

『何言ってるのよ本名をそのまま伝えれば良いじゃない』


 紫が呆れたように言う。


『この子は霊華という名前で博麗神社の先代巫女よ』

『はぁ…ええ!?先代!?』

『ま、そういう事よ里で偶然会ったのよ。ところでこの木は何かしら?』


 紫より背の大きい木が大きい植木鉢に入っている。


『これはクリスマスツリーですよ』

『クリスマスツリー?それってあのライトアップとかするあれかしら?』

『はい。香霖堂に行って拝借してきました。今は飾り付けの最中ですけどね』


 紫と霊華はクリスマスツリーを見て感嘆の声をあげている。


『そういえばお酒は買ってこれたんですか?』

『ええバッチリよ!霊華が樽を持ってくれたからね!』

『あれ?でもその樽はどこにあるんですか?』

『玄関に置いてあるわよ』

『ねぇねぇお姉ちゃん』


 妹紅が菫子の裾を引っ張る。


『ん?どうしたの?』

『この大きな星で最後なんだけどどこに付けるの?』

『あーこれはね一番上に付けるのよちょっと貸して』


 妹紅から星の飾り物を受け取ると念力で操り木の頂点に取り付ける。


『さ、これで準備完了かな』


 作業が終わった安堵からか欠伸が出てしまう。


『それじゃもう遅いし寝ましょう』

『そうですね…それじゃお先に失礼しますお休みなさい』

『ええ、お休み』


 菫子は寝室に妹紅と一緒に向かって行った。


『さて、私はどうしようかな』

『あなたも今日は泊まっていきなさいよ私の寝室で良ければ一緒に寝れるわよ』

『もう夜も遅いし言葉に甘えさせてもらおうかな』


 紫はテーブルの上に乗って紐を引っ張り電球の明かりを消した。


『それじゃ寝ましょう』

『そうだな』


 2人は寝室に向かいしばらくして神社は静かになった。

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