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幻想異変録  作者: 凍曇
9章 雪山にて
110/151

110:力の秘密

『ふむ、お主の話と全然違くないか?』

『……あの目……あの動き……どこかで……』

『あの吸血鬼にそっくりじゃの』

『……?』


(……やはり一度小さくなると記憶の上書きをされるのかのう。こいつの記憶ではあの吸血鬼の母親としての姿しかないのだろうな)


 幻想天狗が考えたことはつまるところ一度小さくなった者達に当てはまる現象である。

 小さくなったことで記憶も同様その年齢までの記憶しかなくなる。

 いわば記憶喪失みたいなものである。

 その為、そのまま成長しても記憶が戻るわけではないのだ。


 だが、永琳を除く赤い雪による幼児化はある特徴があった。

 それは肉体が成長しない事である。

 今は亡き霊夢や現在進行形で実はまだ小さい紫などは影響が薄かったため記憶だけは保持していたがそれでも肉体は成長しない。

 一部を除いては(・・・・・・・)


『さて、少し我が手合わせをしてみようかの』

『貴女も行くの?』

『見た限り彼奴らではあの人間には敵わんよ。ま、今すぐ行かんよ、見たい試合もあるしの』

『試合?』

『お主の話だとその侵入者も良い"眼"を持っておるそうじゃないか』


 サクヤはその言葉に少々曖昧に頷く。


『まぁ、その能力をみたり聞いた訳じゃないから確信は持てないけど違和感を感じたのは確かよ』

『ふむ、なら椛とどういう戦いをするのかちょっと見てみたいんじゃよ』

『あの白狼天狗?あの紅い槍で吹き飛ばされてなかった?』

『吹き飛ばされただけでダメージはさほど受けてはおらんよ。とっさに盾でガードしておった』

『ふーん、それで今のところどう?私の推薦するあの子は』


 戦闘の映像が流れている古いブラウン管テレビを見ながら幻想天狗は思った事を正直に話す。


『分からん』

『分からんって……』

『いやだってさっきからあいつの行動がまるで人が変わったような(・・・・・・・・・)感じで行動が全然読めん』

『あー、そういうことね……』


 サクヤは伝え忘れていた情報を思い出す。

 それは一条の多重人格についてである。


『あの子多重人格なのよ。しかも他の人格と交代できるみたい』

『……なるほど。そういうことか』

『しかも人格によっては戦闘力が全然変わるわ』

『……それでよく中身が耐えられるな。そこまでのレベルだと精神に異常をきたしてもおかしくないんじゃが……』


 そう言いながらブラウン管テレビの画面を見つめていると、遂に一条が半分程の天狗達を倒していた。

 そこから少し離れたところから椛が雪の中から出てくる。

 それを見て幻想天狗は嬉しそうに笑う。


『お、出てきたのう』

『ちなみにその白狼天狗ってどれくらい強いのかしら?白狼天狗は見廻りとか雑用をしてるって聞いてるけど』

『天狗の種類なんぞ勝手に増えたから分からんよ。いつの間にあんなに天狗の種類が増えたんじゃ……』

『その話は前にも聞いたわ。私が今聞きたいのは彼女は強いのかどうかって事よ』


 幻想天狗は椅子におっかかりながら答える。


『ここにいる天狗の中では我の次に強いぞ』

『……大天狗は?』

『ここの大天狗は態度がでかいだけで使い物にならんよ。それに比べてあの椛は幻想郷が一度崩壊してから強くなったの。お前と一緒じゃ』

『……』






『あ、危なかった……。盾でとっさにガードしなきゃ爆風をモロにくらうとこだった……』


 椛は壊れてた盾を捨てて武器の欠損がないかを確認する。

 特に問題がない事を確認すると、現在の状況を確認する。


『……ほぼ全滅か』






『一条のやつ本当に1人で倒してるわね……』

『おや、やはり多少は不安だったか?』

『正直ここまでとは思ってなかったわ。というか疲れてる風に見えるけど大丈夫?』

『魔力供給を私1人で行ってるからな……。ずっと吸われ続けてるんだ。そりゃ多少は疲れるさ』

『けどあの杖は最初から魔力を込めておいてマジックアイテムにしておいたんでしょ?それ以外にどこに魔力を割いてるのよ』


 そう、一条が使用していた杖は魅魔が作った特製マジックアイテムだったのだ。

 魔力を込めればその杖に応じて一属性の魔法が発動するようになっている。

 いわば有限の魔法である。

 もし魔力が切れても再度魔力を込めておけばまた使えるようになる便利なマジックアイテムなのだ。


『外はあの吹雪だぞ?死なないように熱魔法を常に使って凍死しないようにしてんの』

『ああ、そういう……』

『まぁけど私達の出番がなくて良かったな。一条の体で動くのは流石に少々抵抗があるからな。生身の体とか動かし慣れてないし』

『大丈夫よ。私と接続(・・)しているからあの子の体は天人のそれと一緒よ。そのためにアレも貸しているんだし。桃を食べさせたのは流石にやり過ぎたと思ってるけど』

『私達の特性を自身に引き継ぐ"接続"か……。あいつじゃなきゃ容量オーバーだったな』

『そうね。あ、なんか強そうな天狗が出てきたわよ』






『……さて、ようやく一条の体に馴染んできたな。手足が長いっていいなぁ。羨ましい』


 一条が首をコキリと鳴らしながら周りを見渡す。


(やっぱり私じゃ"眼"は使えないか。私自身の能力も発動は出来なかった。運命は操れなくてもグングニルとかの物質創造能力が使えたのは幸いだったな)


『早めに終わらせないとな。一条と他の皆にも負担はあまりかけたくない』

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