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幻想異変録  作者: 凍曇
9章 雪山にて
106/151

106:一条の変化

『……ここが妖怪の山か』


 天候は荒れて猛吹雪の中一条はポツリと言葉を零した。






 時は遡ること2時間。

 一条と天子は戦っていた。


『そらそらそら!避けてばっかりじゃ一方的に負けるわよ!』

『なら、30%……!』


 一条は天子の繰り出す突きをスレスレで回避すると体を滑らすように傾けて回し蹴りを放つ。

 だが天子も即座に反応して回し蹴りを片手の甲でガードしようと動いていた。

 実際ガードは間に合った。

 だが、


『うおっ……!』


 天子は一条の回し蹴りの勢いに負けて吹き飛んでしまう。

 天子は即座に体制を立て直し着陸する。

 そして天子は魅魔を見る。


『合格だ。約束通り天子から一本取ったしな』

『よしっ!』

『回避力だけはすごいけど武術はイマイチね。そこら辺は何かでカバーしないとマズイわよ』

『それも策があります……って言っても二人の協力が必要不可欠ですが』


 一条が何故天子と戦闘していたかと言うと、一条はサクヤの手紙を読み一人で行くと言いだしたので魅魔がある条件を出したのだ。


———行きたければ天子と手合わせをして一本取れ、話はそれからだ。


 魅魔の言葉通り天子と手合わせをして見事に一本を取ったため魅魔から合格をもらったという訳である。

 魅魔は天子に席を外すように言って小さい部屋に一条と二人きりで対談する。


『……色々と手に入れたようだな』

『彼女達と話し合う時間は十分ありましたから。と言っても殆どが俺の慰めみたいなもんでしたけどね』

『良いことだよ、それは。「理解者」がお前にはいるんだ。大切にしろよ』

『魅魔さんは言えば伝わると思うんですが彼女の記憶と俺の記憶が統合されました』


 魅魔は少し目を細める。

 一条はその魅魔の目を見据えながら言葉を続ける。


『それに伴い自分の感情や記憶が曖昧になってましたね。どれが誰の記憶が判別がつかないんですよ。時折ブレるかと』

『元々不安定だったのが益々不安定になってきたなお前。だが不安定な理由はアイツを受け入れたからじゃなくお前の性格が原因だ。分かってるな』

『……まぁ』

『お前は聡い。だがガキに分不相応な知識まで身に付いているのが問題だ。自分を客観的に見れる奴はそうそういないがお前の場合はそれが異質だ』


 一条はその言葉に目を逸らす。

 魅魔は少々剣呑な雰囲気で一条の異質な部分を指摘していく。


『自分を偽るなよ、一条。お前が元から不安定なのはそういった無駄な知識から社会に適合するために自分の性格まで歪めちまったからだ。そういうのは普段大人になってから考えるべき事だ、ガキがそこまで考える必要はねぇんだ』

『……まぁ事情が事情なので。俺の場合は一人で生き抜く知恵が必要だったんです。その為の知識です』

『"俺"ねぇ。……ま、いいさ。お前の人生だ、とやかく言うつもりはないさ。だが覚えておけ、お前が今のスタンスでこの幻想郷にいると……必ず悪い方向に傾く。それまでにちゃんと"自身"を確立しておくんだな』




-輝針城・天守閣-


『言われたものを揃えてきたぞ』

『私も持ってきたわよー』


 針妙丸は天子の肩に乗っかり魅魔に呼びかけていた。

 天子は色々な形をした杖を抱えて持ってきていた。


『これぐらいあれば大丈夫だろう。全部私がお前の言われた通り加工しておく』

『ありがとうございます。後は前に話した通り魅魔さんと天子さんの力を借りますね』

『ああ、まさにお前ならではの戦い方だな。私は賛成だ』

『私も少し不安だけど賛成よ。一条の言う通りなら確かにこれが最善策だしね』






 そして現在に戻る。

 現在の一条の姿は夢美からもらった服の上に魅魔に作ってもらったフードつきのローブを着ている。

 そして注目すべき点は一条が背負ってる大量の杖だ。

 その数は13本。

 どういう理屈なのか分からないが一条の周りには紫色の水晶も浮いている。


『さぁ、始めましょうか』

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