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幻想異変録  作者: 凍曇
8章 孤城落日
102/151

102:束の間の休息

『本当にありがとう。正邪も救ってその上この城まで救ってくれて本当に感謝する』


 針妙丸は座布団の上で土下座をした。


『なに、困った時はお互い様でしょ?』

『久しぶりだね、天人様。天人様まで来てくれてとても嬉しいよ』

『私も会えて嬉しいわ』


 次にサクヤの方へ体を向ける針妙丸。


『貴女にもご迷惑をおかけしたそうで。申し訳ない』

『いいのよ。私もそこの天人様と同じ意見よ。困った時はお互い様よ』

『本当に……私は恵まれているな。良き友を持てて鼻が高いよ』


 天子とサクヤはその言葉に大きな笑みを浮かべる。


『それで、一条達の様子はどうなのかしら?』


 サクヤは思いついたように言う。

 この場にいないのは魅魔、正邪、一条の3人である。

 針妙丸は軽く頷くと説明してくれた。


『正邪の怪我は酷かったが命に関わるものじゃないらしい。魅魔とかいう幽霊が今は治療を施してる。彼女が言うには2日3日もあれば怪我自体は完治するだろうが骨は自然治癒に任せる分、治りが遅くなるそうだ』

『なるほど。それで一条は?』


 サクヤの言葉に針妙丸は少し言葉を詰まらせる。


『ちょいと言いづらいんだが……。あの人間自身も怪我を負ってはいたが傷自体は治ってるんだ。何故かね』

『それのどこが言いづらいのかしら?別段不思議な事ではないと思うけど……。ただ傷の治りが早いという話でしょう?』

『問題は外ではなく中身なんだ。どうやら一度死にかけたみたいでな。その恐怖がまだ残ってて……』


(……死にかけたもんじゃないわ。私が見たときあの子は確実に死んでいた。心臓が抉られていたのも確認している。けど、あの回復力はもはや吸血鬼のそれと同レベル……)


『死にかけたぐらいで何よ。一条ならきっと大丈夫だわ』

『だと良いんだが……』


 サクヤは天子の言葉に溜息をついた。


『周りがどうこう言おうと勝手だけどね。私から言わせたら一条の反応が一番正しいわ』

『……』

『あの子はまだ子供よ。しかも戦い慣れもしていない、何かしらの能力は持ってるんだろうけどそれすらも上手く使いこなせてない。どう見たって普通の人間よ』


 天子は黙ってサクヤの話に耳を傾けていた。


『そんな子供がこんな場所まで来て戦った挙句に死にそうになったのよ?幻想郷にいると忘れがちかもしれないけどね、死は一番恐ろしいものなのよ』

『私には死なんて概念ないから全然実感湧かないわ』

『でしょうね。だからこそ知っておくべきなのよ。人間はひどく脆いって事をね』




-輝針城・寝室-


『よう、大丈夫か?』

『……魅魔さん』


 一条は布団に横たわりながら魅魔へ頭を向ける。

 魅魔は胡座をかいて一条の横に座る。


『無茶するなって言ってたんだがな』

『はは、申し訳ないです。まさかいきなり大将と当たるとは思ってなかったもので』

『体の調子は?』

『特に異常はないです』


 魅魔は頬杖をつくと溜息をつく。


『気づいてんだろ?お前の体について』

『……』

『どういう訳か、お前の体に吸血鬼の特徴が見受けられる。これがどういう意味を指してるかお前なら分かるだろ』

『……レミリアさんですね。恐らく彼女は吸血鬼だったんでしょう』

『幸い吸血鬼の弱点までは付与されてないみたいだからまだ良かったな』

『ですね』


 一条は弱々しく微笑む。

 魅魔は手を一条の顔に添えると目を閉じさせる。


『寝てろ。しばらくは安全だから安心しとけ』

『……ですね、お休みなさい』


 魅魔は立ち上がると襖を開けてそして閉じた。

 部屋には一条だけがいる。

 一条は毛布を掴むと自分の頭まで被せる。


『ひ……だ、大丈夫……。大丈夫だ。まだ俺は……』


 一条の震えた声だけが布団の中で静かに響いた。

これにてこの章は終了です!

今回はとても長かったですね〜

次章の内容はどうしましょうかね…

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