101:収穫
『そもそもさぁ何でこの城狙ったの?』
『うーん、一回見たかったのよ。小人族の末裔っていうの』
『針妙丸?なんでまた』
『道具の為に反乱起こしたってのは結構私達の界隈じゃ有名でさ、人でもなく妖怪の為でもなく道具の為に立ち上がるなんてどんなやつなんだろ、ってさ』
『なるほどね〜』
天子とアリッサが2人で談笑しているのをサクヤは離れたとこで一条の様子を確認しながら見ていた。
(なんか全体的に緊張感ないなぁ……。こんなんだと私が来た意味がないような……)
『うっ……』
一条が苦しそうに呻き目を覚ます。
『あら、やっと目を覚ましたのね』
『私気絶してたのね……』
『頭ぶつけたから仕方ないと思うけどね』
(気絶しても本人が出てくる様子なしか……。ちょっと話してみたいと思ってたから残念……、ん?)
『ちょっと、目の焦点合ってないけど大丈夫?』
『う、いや……なんか意識が朦朧と……』
(……雰囲気?何かが変わってきてる……。これはチャンスあるかも)
サクヤはバレないように一条の鳩尾に拳を叩き込む。
『うぐっ……』
一条はまた意識を失う……はずが逆に目を覚ましたように目を見開く。
『……!?こ、ここは!?』
『ちょっと大丈夫?まだ頭痛むの?』
『え?……誰ですか?』
(……ビンゴ。本人が出てきたわね)
『おーい!一条目を覚ましたの?』
『あ、天子さーん!今起きました……って、え?なんでいるんです?そいつ……』
一条は訝しむように天子の近くで座ってるアリッサに視線を向ける。
この反応も当然だろう。
起きたら突然知らない人が近くにおり、知り合いの近くには自分を殺しかけた張本人が座っているのだ。
まず混乱するだろう。
『あら、よく見たら貴方殺したはずなのによく生きてるわね』
『……あの鎧武者を操ってた張本人ですか』
一条とアリッサの視線がぶつかり段々と空気が重くなってくる。
だがそれを突き破るように、
『はぁ!?殺した!?一条、あんたそんな危ない目にあってたの!?』
天子が大声で叫んだ。
ズンズンと早足で一条の下まで近づくと一条の体を揺さぶる。
『体は!?大丈夫なの!?』
『だだだ大丈夫ですから揺さぶるのやめてくださいぃぃい』
『……ならいいけど。本当に大丈夫なのね?』
『ええ、大丈夫です』
そう言って一条が立ち上がった瞬間、サクヤと一条は目にも留まらぬ速さで移動し、とある人物に武器で牽制する。
一条はグングニルと呼ばれる槍を、サクヤは鋭いナイフを。
(……この子、それにこの槍……)
『誰ですか?隠れてるつもりだったんでしょうが視えてますよ』
『……これは驚きました。まさか隠れてたのがバレてるとは』
その人物はパーンと呼ばれるフードの男だった。
パーンは両手を挙げながらアリッサに話しかける。
『いつまで遊んでるんですか。妹さんも回収したので早く帰還してください』
『はいはい。もう少し遅く来ても良かったのに』
『無茶言わないでくださいよ……。私だってこれでも結構ピンチって事忘れてませんか?』
アリッサは盛大に溜息をつくと指パッチンをする。
すると近くにいた鎧武者が突然崩れてバラバラになる。
『ま、タイムオーバーって事で。この城にかけておいた魔法は解除しておいたから安心しなさいな』
『あら、周りが逃がそうとしても私が逃すと思うかしら?』
『……だってよ?この銀髪はこう言ってるけど』
『アホな事言ってないでくださいよ。どうせもう脱出してるんだからその幻影魔法を解いてください』
アリッサは舌を出すと手を振る。
『バレたか。んじゃ、バーイ』
そう言うとアリッサはまるでそこにいなかったかの様に存在が消失する。
『……この人どうします?』
『あー、その前にちょっといいですか?私特別な体でしてとある物を定期的に摂取しないと体が崩壊してしまうんですよ』
『また唐突ね』
『それで申し訳ないんですが懐に黒い丸薬があるんでそれを飲ませてくれませんかね……?』
一条とサクヤは怪しがって動こうとしなかったが天子だけはパーンの懐をあさる。
『これかしら?』
『ちょっと、明らかに怪しすぎるでしょ。なんで当たり前のようにこいつの言葉を鵜呑みにしてるのよ』
『どうせ私達がやんなくなたってこいつが勝手にやるわよ。遅かれ早かれこうなるんだから先に飲ませたらどうなるかの結果だけ知っておいた方が良いでしょ』
そう言って天子は丸薬をパーンの口の中に放り込む。
するとパーンの体が突如その場から消失した。
『……これで全て終わったわね』
『結局、無駄足……と思ったけど思わぬ収穫だったわ。ふふ……』
こうしてラストゲームも終了し一条達は戦いを終えた。




