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幻想異変録  作者: 凍曇
1章 謎の異変
10/151

10:お馬鹿な月の頭脳

 竹林での争い。

 レミリアショック(笑)。

 様々な出来事が起きた長い夜は終わりを迎え、朝がやってきた。



-永遠亭-


 しんしんと雪はまだ降り続けておりとても静かな朝だった。

 そんな朝に輝夜は珍しく早起きした。

 普段の輝夜は朝はずっと寝ており、起きるのは決まって昼なのだがとにかく輝夜は起きた。

 そして布団からもぞもぞと出たら室内は冷えていて輝夜は身震いをする。


『寒いわね……これだから冬は嫌なのよ』


 ハックション! とくしゃみをしながら居間へ向かう輝夜。

 襖をガラッと開けるとそこにはこたつに入っている永琳の背中があった。


『あら、永琳おはよう』

『……』

 輝夜が挨拶するが返事がない。

 寝ているのかな? と思い永琳に近づいたら寝息がスヤスヤと聞こえる。

 その時廊下からドタバタと足音が聞こえてきた。


『姫様! 師匠! 大変です! 大変……ひゃあ!』


 廊下からバターン!と大きい音が響き渡る。


『……うどんげ大丈夫?』

『な、なんとか……』


 襖が開き出てきたのは寝間着姿のうどんげだった。

 そしてうどんげの手元には兎が抱えられてた。


『て、てゐが! 兎に! 兎になってるんです!』

『はぁ?』


 つい素っ頓狂な声を出してしまった輝夜。


『朝起きたら隣に寝てたはずのてゐが兎になってたんですっ!!』

『いや、二回言わなくても分かるわよ。え? 何? 本当にてゐなの? 只の兎じゃなくて?』

『いや、私も最初はそう思ったんですけど首につけてるこの首飾りはどうみても…』


 うどんげが抱えている兎の首には人参を模った首飾りがかけられていた。


『む……確かにこの首飾りをしているって事はてゐ…よね……』


 うぬぬ…と輝夜が唸っていると輝夜の後ろから子供のような高い声で。


『朝っぱらからうるさいわね! 少しは静かにしなさい!』

『ひゃい! しゅみません! 師匠!』


 突然叱られて噛みながら謝るうどんげ。

 しかし直後にある事に気付く。


『し、師匠!? なんで小さくなってるんですか!?』

『まんま永琳が子供の頃にそっくりなのよ〜。小さい永琳可愛いでしょ?』


 さらっとこの状況が当たり前でしょ?みたいな事を言う輝夜。

 ちなみに永琳の方が遥かに輝夜よりも年上なのだが永琳の小さい頃の写真が実は倉庫にあるらしく、輝夜は永琳の小さい頃の姿を知っていたのだ。


『あ、そっかうどんげは昨日薬売りに行ってて帰って来たらすぐに寝たから分かんないか』


 朗らかに笑っている輝夜とは対照に小さくなった永琳は頰をぷくーと膨らませている。


『え? じゃあ昨日何かあったんですか?』

『いやーそれがね? 昨日紫から結構前に貰ったマンガを永琳が読んでいてねそしたら最後のページに紙が挟まっていてね…』


 輝夜は笑いを堪えながら紙切れをうどんげに渡す。

 そこにはこう書かれた。


〈流石の永琳でもこの作品にある薬は作れないでしょ? ちなみにこの作品は外の作品だから外の技術は月の技術より越えてるのかしらね?(笑)〉


 (笑)とわざわざ書いてるあたり、悪意たっぷりだ。

 どう見ても挑発しているようにしか見えない。


『その紙を読んだ永琳がブチギレてね……ぷくく……そ、それで本当に作ってそれを飲んだら小さくなったのよ!』


 我慢出来なくなったのか輝夜は床に倒れて足をバタバタしながら爆笑している。


『……仕方ないでしょ技術者の腕を舐められたのだから』

『は、はあ……。あ! もしかしててゐがこうゆう風になったのも師匠のせいですか!?』

『モルモットになってもらったわ』

『あははは!』


 輝夜はまだ爆笑している。

 笑い過ぎたのか腹を抱えてぷるぷる笑っている。


『え、でもその作った薬って体を小さくする薬じゃないんですか? あと、姫様笑い過ぎです』

『んー厳密には体を退化させる薬ね。いわゆる若返りの薬みたいな?』

『そもそもよくそんなの作れましたね…』

『私に不可能はないわ!』


 ドヤ顔で堂々と言い切る永琳。

 しかしそこで輝夜が笑いを堪えながら言う。


『で、でも元に戻れる薬作れて……ふふ……作れてないでしょ……』

『し、仕方なかったんですー! あの本を読む限り解毒薬みたいのも作られてなかったみたいだしどっこいどっこいなんですー!』


 一生懸命に言い訳をする永琳。


『ちなみにどんな本を読んでいたんですか? 外の漫画って言っていましたが……』

『は、はい……これ……』

『これが噂の本ですか……あと本当に笑い過ぎです姫様』


 輝夜から渡された本にはボロボロになって表紙が分かりづらいが青い服を着て眼鏡をかけた少年が描かれている。

 しかも読むとその少年やたら『バーロー』って言っている。

 外の世界にしか分からない言語なのだろうか?


『うーん……ていうかこの本を読む限り薬の作り方載ってないのによく作れましたね師匠』

『月の頭脳の二つ名は伊達じゃないわ!』


 またもドヤ顔で言ってくる永琳。

 よっぽど馬鹿にされたのが悔しかったんだろうな、とうどんげは思った。

 その時ベルがチリリンとなった。

 誰かがこの永遠亭に訪ねてきた合図だ。


『朝早くから訪ねてくるなんて珍しいわね、うどんげちょっと対応してきて』

『分かりました!』


 てゐを抱えたまま玄関に向かううどんげ。 

 ガラッとドアを横に開けるとそこには亀に乗った小さい巫女服を着た少女とどこかで見たことのある服装をした少女がうどんげの顔を見るがいなや。


『『永琳を呼んでちょうだい! 今すぐ!!』』


 と、早朝から大声で叫んだ。

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