1
悲しい…胸が押し潰されそうになる
声なんて出なくて涙が止まらない
ここはどこなの?もう帰れないの?家族のみんなにも友達とも会えないの?
布団に寝ていたはずなの気がついたらここにいた、無人島と言われても納得できるまんまアマゾンみたいなところ
太陽が沈んできて暗くなってきても動く気力もない、あたしは砂浜に寝転んで絶望感に包まれていた
嘆いていたいけど空を飛んでる鳥?みたいなのは「くるなーくるなー」と何からか逃げてる様子で、浜辺を歩いてるヤドカリみたいな生き物は波が打ち寄せる度に「いっーてなぁ」と愚痴をこぼしている
シリアスになれますか?
少しずつ気分が復調してきたのであたしはそのまま目を閉じてこれからのことを考えてみる
着ているのは薄ピンクのワンピース型のパジャマ、これはひとめぼれで買ったセクシーで可愛いと話題にもなったパジャマ
持ち物なんて何にもない、寝てたからね…
どれくらいそうしていたのか分からないけれど食べ物の区別もつかないと食べようがないし海水は飲めないし、考えても解決策が浮かばないからとりあえず浜辺に沿って歩いてみようと思う
もしかしたらこんなアマゾンでも誰が住んでる可能性もあるし、動かないと始まらない
立ち上がって砂を叩いてたら背後からガサガサ荒っぽい音が近づいてきた
「何なの?」
警戒して見ていると遠目から3人の男が歩いてきていた
こんなに視力良かったっけって思いつつ相手の出方を待つことにした
向こうの男達もあたしに気づいたようで警戒するようにヒソヒソと話してるようだった
なんとなく見ていると3人の中の1人が背中を押されてあたしに向かって歩いてきた
2メートルくらい離れたところで立ち止まり何やらモジモジしてる
「ーーーー」
何かを喋ってるけど通じない…
言語翻訳くらい付けとけよ!
すると動きが止まったと思ったらそのまま後方の男ふたりの元へ
次は違う男の人、この人も身なりはボロボロで髭が伸びきってだいぶ不潔だ
たださっきの人もこの人も外国の人みたいに髪の毛の色も目の色も日本人とはかけ離れている
やっぱりここは日本じゃないんだ
「ーー,,,,ーーーー」
「こんにちは、あなたたちは?」
これは本当にめんどくさい、言葉が通じないなんてもどかしくてたまらない
待ちぼうけしてると3人の結論が出たようでジェスチャーでご飯を食べる仕草で行き先を指した
ご飯あげるからおいでって?
本当は知らない人にもお菓子をあげようって言われても付いていったらダメだけどここは有りがたく行かせてもらいます
10分くらい歩いているとスカートから見えてる足が、袖から見える腕が小さくあちこち傷ついている、痛いはずだ…道なんてないもん、草や木の葉っぱが歩きづらくて仕方ない
腕を振り上げないと草が顔にかかるし、木の枝がくねくね曲がってるからかがんだり避けたり
日本の道路がいかに整備されていたか…当たり前過ぎて気づかなかったよ
小休憩してる時だった、魔法としか思えないライトであたしが明かりに照らされたらあちこちから滲んでる血を見て男たちはとても驚愕した後あたふたして落ち込んでた
決してあたしに触れようとはしなかったけれど血が出た所を目線で追ってパジャマで隠れてる所以外は顔も含めてで、3人とも顔がマジに怖かった
「ーーーー・ーー!(まさか防御の結界をしてないなんて…子供でもできるのになぜ?!)」
「ーーーー〜!(痛々しい…俺がもっと気付いていればこんなことに…!)」
3人ともかすり傷のひとつもないしね、あたしはにこりと笑ってこんなの大丈夫ですよーってアピールした
それにしても魔法って本当にあるんだね、あたしも使いたいなぁ…
その後はあたしに防御の魔法をかけてくれて傷が増えることはなかった