タバコとフィクション ①医者も解説してくれなかったタバコ毒の性質について
「最近アニメにもタバコの描写が増えたな」
「アリサは嫌煙厨なの?フィクションぐらい、いいじゃない。タバコは大人を描写するのに最適のアイテムよ」
「そのイメージがすでに洗脳されたものなんだぜ。例えばライム、タバコの毒性について知ってるか?」
「毒ぐらい、知ってるわよ。肺がんになるんでしょ。真っ黒な画像を見たけど、あれは脅しね。あんなヘビースモーカーぐらいじゃない」
「やれやれ、その理解ではすっかりイメージ戦略にやられているな」
「はいはい、ヘビースモーカーではなくても病気になるんでしょ?」
「では、今回はタバコ害について解説していくぞ。これから話すのはタバコ研究ですでに判明している古古い情報だが、知らないであろう新しい事実を公表してくぞ。これを読めば、なぜフィクションでも喫煙描写をやってはいけないのか、分かるはずだ」
① ニコチンやアルコールはすぐ出て行ってしまう。
「よく嗜好品(注・現代では嗜癖品と呼ばれる)としてタバコと比較されるのが「酒」だな。しかし、この酒は水で割ったりして飲むことからもご存じのとおり水溶性なんだ」
「それがどうしたの?」
「水に溶けるということは、尿として排出される毒なんだ。だから、分量さえ気を付けてさえいれば嗜好品といえるんだ」
「タバコはどうなの?」
「ニコチンは水溶性なんだ。だから本来は分量さえ、ってのが「今までの話」だったんだ。しかし、研究によって次第に毒性が分かるようになってきた。」
「毒性?」
「タバコはニコチンという毒以外に、7000種類の化学物質が存在するんだ。それらが「味」を作り出してるんだが、それぞれに毒性が違う。さらに、人体に特に有害であると指摘されている物質だけでも250種類以上、その中で発がん性を含む物は70種類以上、指摘されてるんだ」
「それくらい知ってるわよ。たった70種類じゃない。身の回りには毒が何種類もあるのよ?気にしすぎ」
「ところがだ」
① しかし排出されない毒もある。それがタバコ毒。
「アルコールやニコチンは水溶性のため、すぐに分解され排出される。だが、タバコ毒はほとんどが脂溶性のため、一度吸収されてしまうと排出されずに細胞に溶け込んでしまうんだ」
「ええ?!嘘でしょ!?そんなの嫌よ?」
「それらを排出しようとするならば、汚染された細胞が入れ替わるのを待つしかない。だから禁煙して回復するまで長い時間がかかるのだが」
「なんだ、ちゃんと排出されるじゃないの」
「それでもごく一部の細胞の入れ替わりを待つことしかできないんだ。それに、それが脳や心筋のような細胞が全くと言っていいほど入れ替わらない場所なら一切排出されないことになってしまう」
「ええ!?一生排出されないの!?」
「そうだ。そもそもなぜ排出されると思ったのか。それは細胞にくっついた油性サインペンの汚れを汗や尿という水で洗い落そうとするようなものなんだぜ」
「聞いてないわよ!」
「言ってないからな、タバコ研究についてメディアが説明したことはないんだぜ。つまり、フィクション描写はこういった研究を押し隠すのには役に立っているわけだ」
② 吸い込んで数秒で取り込まれてしまう毒
「そして、これらの毒は煙を吸うか吸わないかに関係なく、煙にさらされると10秒もたたないうちに目や鼻、肺を通じて血管に流れ込むんだ」
「10秒って……それに吸わなくても吸収されるってどういう事よ!
「そうだな。これは矛盾してるようにも感じるが、紙に水滴をたらせばどうなるか考えればいい。どうなる?」
「濡れてしまうわね」
「そうだ。紙は何をしようとも濡れてしまう。血管も同じだ。接触すれば侵入する、ごく自然な物理現象なんだ。タバコ毒も同じように、体に吸収される。特にPM2,5以下の極小粒子は肺を介さずとも直接血管に取り込まれるんだ。その後は説明した通り、あらゆる細胞に溶け込む。厄介なことに目や鼻から取り込まれたタバコ毒は、排出されない脳に蓄積しやすいんだぜ」
「オー、脳!」
3 毒を取り込まずにニコチンだけを吸いたい!
「怖くなってきたわ。毒を吸わずにニコチンだけを吸う方法ってあるのかしら」
「ある。ニコチンパッチだ。これも呼吸をせずに肌に触れるだけでニコチンを吸収する方法だな。そもそも喫煙にまったくメリットがないので禁煙するのが最も体にはいいのだが、それが出来ないのならば毒を吸わずニコチンを吸収するために禁煙外来に通うことが嗜好にとってもいいということだな」
④ まとめ
「タバコの毒は取り込んでしまったら必ずしも排出されるわけではないというのは、知らない人が多かったのではないかな?」
「ニコチンを吸ってるつもりが、毒を吸ってたわけね」
「そうだな。毒は蓄積するが、欲しいニコチンは持続せずすぐに排出されるというのは何とも皮肉だな。まるで喫煙者をもてあそんでるように見えるぜ」
(追記)おまけ ヤニ猫放送規制問題について
最終章で取り上げるつもりでしたが、最近ヤニ猫が海外で規制され始めていると聞いて、先にここでなぜ海外と日本でフィクションの差が違うのか、いろいろ待たずにここで持論を述べたいと思います。実は、これステマと大きく関係しています。
「ヤニ猫では汚い描写しているからステマになっていない」と評価する人もいますが、それは理由になっていないと思っています。
例えば、いじめ。ひと昔流行ったのが「いじめってダサい」という表現、ありましたよね。しかし、この表現に違和感を感じた人が多いのではないでしょうか。そもそもいじめは犯罪ではないのか、と。ご指摘の通りです。しかし、なぜか「ダサい」と表現してしまう、それは日本人から長い間「いじめは犯罪」という思考が抜け落ちてしまっていたからではないでしょうか。
では、タバコについてはどうでしょうか。「汚い」と「毒物」という表現には相当開きがあると思いませんか?人によっては「タバコが毒物?飛躍しすぎでは?」と思うかもしれませんね。それはステマの影響を受けているからではないですか?日本には「いじめがダサい」と同じように「タバコは汚い」と、なにか受け入れられてしまう、そんな土壌がある。それは日本人から「タバコが毒物」という思考が抜けているから、といえるのではないでしょうか。
個人的感想ですが、ヤニ猫、面白いですね。タバコの汚い部分のリアリティを書いたのはあの作品だけでしょう。しかし、それでもステマといわれてしまうのはそのような理由だと思います。




