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第7話 女優になれたかもしれない?演技力とは

 二人は目を合わせない。

 馬車の窓からの景色をそれぞれに眺めている。

 しかし、同じ窓からではない。

 左右逆の窓から互いに顔を背けるようにして見ていた。


(なんだかんだ私の分の身支度も宮使えの侍女にお願いしてくれてたのよね……)


 現在、アリアは実家に帰るのが難しい。

 妹の断罪に手を貸したとのことで、アリアは両親からひどく恨まれている。


(自業自得なのだけど……)


 なんとかアリアも救いたいと願ったことはあった。

 しかし、コリンナの傲慢さが消えることはいつまで経ってもなかったのだ

 それゆえに、アリアは妹に罰を与えることにした。


 そんな状況下で実家に帰りづらいアリアのために、レオンは侍女に命じてアリアの旅支度を整えていたのだ。


(まあ、こういうとこが憎めないというか、なんというか)


 アリアはふふっと窓の外に向かって、笑ってしまった。

 しかし、それを聞いていたレオンが勢いよく彼女のほうに顔を向けると、顔を歪めて言う。


「うわ、気持ちわりぃ」

「なにが、気持ち悪いよ! ちょっと笑っただけでしょ!」

「それが気持ちわりぃっていうんだよ」

「ひどーい!」


 さほど傷ついてはいないのだが、彼にダメージを与えるために大袈裟に反応して見せる。


「うぐっ!」


 だが、それが思いのほか効いたようで、レオンは胸を痛めたと言わんばかりに苦しそうな声を出した。


(あら、意外と効いたわね)


 それから面白がってアリアは何度もレオンにわざとらしく訴えかける。


「ああ~心が傷ついて、もう『雷帝』のこと、調べられな~い。ああ~『無の聖女』についてのことも知りたかったのに……。それに……」


 そこまで行った瞬間、レオンが突然アリアの背もたれに手をついて顔を近づけた。


「え……」


 あまりに突然の展開で、アリアも驚いてレオンから目を離せない。

 よく見ると見目麗しい王子様で、眩しい。


(急に、なに……?)


「アリア……」


 真剣な面持ちでレオンはアリアの顔に自らの顔を近づけていく。

 それはやがて吐息をも重なるほどに近く、アリアの心臓はドクンを大きく跳ねた。


「レオン……なに……?」


 思わずアリアは目をつぶってしまう。

 すると、彼女の耳にレオンの笑い声が聞こえてくる。


(え……?)


 驚きながらゆっくりと目を開けると、レオンは無邪気な顔をして笑っていた。

 その瞬間、自分が彼に「からかわれた」と悟る。


「なっ! からかったわね!?」

「だって、お前も俺のことからかっただろうが。傷ついたなんて嘘つきやがって」


(あ、バレてたんだ……)


 レオンは自分の席に座り直すと、大きなため息をつく。


「その演技力で騙されるか」

「なっ! これでも昔、女優にスカウトされたことがあるのよ!?」

「それはそのスカウトマンの目が節穴だったんだな」

「そんなことないわよ!」



 そんな会話をしている内に、目的地である森の入り口にたどり着いた。


「さ、着いたわよ」

「ん? ここか? こんな近くならお前一人でも来れたんじゃないか?」

「いいえ、あなたと一緒に来たかったのよ」


 そう言って森の奥深くに向かって、アリアは歩き始めた。


「あなたと一緒って……んな殺し文句さらっというなっつーの」


 そんな彼の言葉は、アリアには届いていなかった。


(森の主様、お元気かしら?)


 しばらく歩いて森の最深部に着くと、大きな白い狼がいた。


「久しぶりではないか、アリア」

「ご無沙汰しております。森の主様」


 大きな狼はその青い瞳で彼らを見据えていた。

今日も遅くなってしまい、お待たせしました!!!!!

馬車でのいちゃいちゃがメインになってしまいましたが、

森の主様登場になります!

大きなふさふさの狼様です!!


ぜひ応援よろしくお願いいたします!

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