第6話 『雷帝』の生まれ変わり
本日の更新遅くなってしまい、すみません!!
そして毎日短めですみません!今度はもうちょっと原稿やお仕事もきちんと忙しすぎないようにしたい……
アリアは皇帝の言葉に驚きを隠せない。
「レオンが……『雷帝』の生まれ変わり……」
しかし、彼女とは対照的にレオンは事前に予想がついていたようで神妙な面持ちをしている。
(レオンは動じていない。知っていたの? それとも気づいていた……?)
アリアの疑問に答えるように、皇帝とレオンが言葉を交わす。
「ほお、驚かないのか。レオン」
「ええ、薄々自分で感じておりましたので」
レオンは実に淡々と話している。
「『雷帝』の証である金色の髪に、左右で違う色の瞳。それに伝説の大太刀を持てたのが、何よりの証拠だ」
「伝説の大太刀を持てたのですか!?」
アリアの驚きの言葉に、皇帝は深く頷く。
彼女がゆっくりレオンに視線を向けると、彼は何も言わず目を伏せている。
(大太刀は今まで歴代の皇帝が誰も持つことができなかった、『雷帝』の愛刀……。それを持てたなんて……本当にレオンは『雷帝』の生まれ変わりなの?)
「アリア、愚息のために動いてもらってばかりですまないが、取引をしてもらえぬか?」
「それはもちろんでございます。『無の聖女』……私の力についても知りたく存じます」
『雷帝』の伝承に加えて、『無の聖女』についてもまだわかっていないことが多い。
(『無の聖女』というのは皇帝陛下がつけた名称。我が国では一度も力を吸収する聖女は生まれていない。でも……)
「初代『泉の聖女』について、可能な限り調べてまいります」
「ああ、そうだな。頼む」
アリアは皇帝に頭を下げた後、レオンに尋ねる。
「レオン、ついてきてほしい場所があるのだけど、可能かしら?」
彼女が頼み事をすると、レオンはなんとも嫌そうな顔でアリアを見た。
そして、大きなため息を吐くと、いじけたように口を尖らせて言う。
「その顔、ろくなこと考えてねえだろ」
「あら、バレた?」
「バレバレだっつーの!」
彼の不機嫌な様子を見て、アリアはくすりと笑った。
「相変わらず仲が良くて何よりだな」
「これが『仲が良く』見えてるのなら、医者にかかったほうがいいんじゃないですかね?」
皇帝に向かってなんて口の利き方だろうか。
アリアはそのように眺めながらも、心の中で思う。
(悲しいかな。でも、これが通常運転なのよね……)
この国のトップである権威ある二人の会話はいつもこうである。
あくまで式典や国民の見えないところで、という話ではあるが。
「で、何日かかる?」
「あら、まだどこに行くかも言ってないわよ。もしかしたら、うちの領地までかもしれないじゃない?」
「お前がついてこいなんていうってことは、相当遠いだろうが。日帰りコースなわけねえ」
レオンの予想にアリアは満足そうに笑った。
皇帝は彼女がどこに行こうとしているのか見当がついているようで、同じくにやりと笑っている。
「たくっ、お前ら揃って同じように、にやつきやがって」
「ふん、羨ましいか。愚息よ!」
「うらやましいわけねえだろうが!」
レオンはそう捨て台詞を吐き、どこに行くかも聞かぬまま退室してしまった。
「あらまあ、短気ですこと」
「すまんなあ、アリア。公務や宮殿のことは任せておけ。そなたが帰るまでには部屋も一室用意しておこう」
「ありがとうございます、陛下」
アリアはドレスの裾を持って丁寧にお辞儀して、部屋を後にしようとした。
そんな彼女に、皇帝が声をかける。
「アリア、あやつによろしくな」
「ええ、森の主様には陛下が元気にしていると伝えておきますわ」
彼女は笑って退室すると、馬車に向かっていく。
(二年ぶりかしらね、「彼」に会うのは)
アリアは「彼」のいる方角を見て、微笑んだ。
いつもいつも読んでくださり、ありがとうございます!
感想もいただき、恐縮でございます。
ファンタジー要素多めのお話が好きなので、『雷帝』や伝説の大太刀とか書いててすごく楽しいです!
レオンの口の悪さが悪すぎてないか心配です……
ご不快な思いさせてしまってたら、すみません。
毎回、速攻でリアクションつくのが嬉しくてたまりません。
本当に感謝です。。。