表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第五章:ガルシア領

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/71

59.ガルシアの結界石

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

私たちはガルシア領に到着した。


「おかえりなさいませ、スカーレットお嬢様。」

ガルシア領の山のふもとには、スカーレットの自宅である、ガルシア伯爵の城がある。重厚で荘厳な入り口が開くと、メイドさんがずらーっと並んで迎えてくれた。


「支度をしたらみんなに街を案内するから、いつもの準備はいらないわ。荷物を運んでちょうだい。」

「かしこまりました。スカーレットお嬢様。」

「ルーカス、お客様を部屋に案内して差し上げて。」

「承知しました。皆様、こちらへどうぞ。」

ルーカスは、ガルシア家の執事で、私たちをそれぞれの部屋に案内してくれた。パウラはまだ小さいということで、クロエと同じ部屋になったようだ。


その時、何やら地響きが聞こえた。

「スカーーーーーーーーレットオオオオオ!!」

ドドドドと言うような効果音で、老兵のような風貌の人が階段を降りて?飛んできた。ギルバート・ガルシア。スカーレットのお祖父さんだ。

ドシンという音がして、床が揺れた。


「お祖父様、ただいま戻りましたわ。」

「ああ、元気にしていたか?ルカにしごかれてはいないだろうな?」

「じじい。迷惑しているのは俺だ。」

ルカがすかさずツッコミを入れた。

「なんだと?!こんなかわいくて、素直な孫をか?!」

ルカの頭の上にげんこつが落ちた。ルカが床にめり込んでいる。

「うわぁ、爺さん…相変わらずやりすぎだ…。」

「おう!ジャンマルコ!元気だっか!?相変わらず辛気臭い前髪だな!」

「やめてくれー。」

お祖父様はくしゃくしゃと頭をかき乱すが、ジャンマルコの鉄壁の前髪は崩れない。


「フゥ、久しぶりだな、カナリアは楽しいか?」

「キュルキュルー」

お祖父様の登場に、どこからともなく現れたフゥがコロコロと転がっている。フゥの感情表現はわかりやすい。


お祖父様は一通り昔馴染みに声をかけると、こちらに向き直る。

「ガルシア領へようこそ。スカーレットの友人たちかな?」

「はじめまして、レティシアと申します。」

「パウラです。」

「レティシアお嬢様のメイドのクロエです。」

私たちは次々とお祖父様にお辞儀をする。

「おやおや…失礼。ご令嬢がたみな、べっぴんぞろいだ。」

と言って私たちをまじまじと見つめた。


お祖父様との挨拶が終われば、ルーカスさんにそれぞれの部屋まで案内をしてもらう。

スカーレットの豪華なイメージから、ヴィクトリア時代のような派手な家具や建築様式を想像したが、城は質素で、剛健だ。


私たちは部屋で荷物の整理をし、軽装に着替えると、玄関に集合した。そして、「街を案内しましょうか?」というスカーレットの申し出に私たちは快く承諾した。

クロエは家でお手伝いに残る。


ガルシアの街は、鍛治職人と温泉の街だった。


「あれがウルカヌス山ですわ。我が領地でも魔石の採掘をしており、火の魔石が採掘されますわ。結界石を見に行きますこと?」

スカーレットが城の背後にそびえ立つ大きな火山を指差しながら、そう提案する。

「ああ、そうだな。見に行きたい。」

珍しくルカが積極的にそれに同意したので、私たちはぞろぞろと山登りをすることになった。


「結界石ってなに?」

わたしは道中スカーレットに疑問をぶつける。

「ご存じなくて?公国は結界で守られているのですわ。鉱山の発見とともに巨大な魔石を奉納し、防衛にも使用したというのが始まりと言われています。こちらですわ。」

スカーレットが指を刺した先には、私の身長と同じくらいあろうかという、巨大な魔石があった。きちんと土台に設置されており、煌々と鈍く燃えるように光っている。


「これが…結界石。」

結界石を初めて見る私とパウラは、あまりの美しさにふぅと息をのむ。

「ええ。ガルシア家は、この結界石を守るようにもいわれていますわ。公国の国境の要です。」

「初めてガルシアのものをみたが、いい魔石だ。」

「2年前に、良質な魔石が発掘されまして、これであと30年は結界を維持できますわ。」


「イエールにもこんなに大きな結界石があるの?」

「あぁ、イエールの結界石は風の魔石だ。もう少ししたら定期確認の時期だから、お前達にやってみせるつもりだった。」

「じゃあどこかに、これくらい大きな土の魔石もある?」

パウラがワクワクした顔でルカに質問する。

「いや…どうだろうか。土の魔石と水の魔石は、見た事がない。」

「ええーー!残念…。」

「私も残念…。」

水の魔石の結界石がないと聞いて、パウラとともに落ち込んだ。

「こんな大きな魔石見たかったね。」

「そうね… 。でも、なぜ風と火だけなのかしらね。魔石の性質としては確かに似ているけれど…。ここから先は結界の外って事ね?」

「そうだな。レティシアの言いたい事はわかる。結界を行き来できなくなるのか、という質問だな?」

「そうなのよ。わたしはあっちに行けないってこと?」

「いや、簡易結界と一緒だ。外からの侵入は阻むが、内から外に出る分には問題ない。だから気をつけろ。出ると入れないぞ。」

「…気をつけなきゃ。でも…例えば魔獣は行き来できるの?」

「魔獣も同様だ。だが、魔獣も結界があるとなんとなくわかるらしい。うっかり出る事はあるかもしれないが、積極的に出る魔獣は少ない。」

「魔獣達は公国以外、つまり結界の外でも生きていけるのね。」

「ああ、人間と一緒さ。たが、これも人間と一緒で、公国内でしか魔術を使えない。」

「そうなの?!なんで?!」


これは、衝撃の事実だ。

もし万が一お嫁に行ってしまったら、自衛できないではないか。


「原因は不明だ。」

にべもなく言うルカに対して、

これは、なんとしても解明しなければならない…、と思う。


「戻りましょう。お祖父様が秘伝書をご準備なさっているはずですわ。」

スカーレットはそう言ってきた道を戻った


ぜひ感想や評価、ブックマークをお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ