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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第四章:魔術師大会

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52.さらわれたレティシア

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

「いて…。」


私は、真っ暗な視界の中目覚めた。

目覚めたと同時に頭にズキズキとした痛みが走る。

痛みの場所を探ろうと手を伸ばすが、何かに引っかかっているのか、腕が動かない。


「ここはどこかしら…?」


しばらくすると目が慣れてきた。

どうやら、私は倉庫のようなところの角に転がされているらしい。周囲には土がついた斧や鋤が雑多に置かれているが、手入れされている様子はない。農作業をしていた倉庫なんだろう。


腕を上げようとするが、後ろ手に縛られていて、動かない。さらわれたと自覚したのはその時だ。


「そういえば、襲われたんだったわ…。」


犯人は見ていない。


(見習い魔術師はこいつらにさらわれたんだわ。問題なのは見習い魔術師だから攫われたのか、公女だったから攫われたのか…。)


「いずれにせよ、うかつだったわ、逃げ出せるかしら。」


私は腕をもぞもぞとさせる。どうやら紐や縄ではなく、両腕に金属の腕輪がはめられており、それが繋がっているようだ。


(奴隷のようね…。)


腰を捻って、腕輪を確認すると、捕らえる用にしては豪華で、中心に石が入っているのがわかる。暗くてよくわからないが、オニキスのような黒い宝石だ。


(うーん、これだけがっしりと金属なら、どうにもできないな…。)

レティシアは、腕が自由になることを諦めた。幸い、足の方は縄で軽く縛られている程度であった。床や口を使い、足は自由になった。


「よし!これで逃げられるわ!あとは、扉を壊せるかしら…。」


意識を集中する。まずは、しっかりと鍵がかかっている扉に向かって大量の水をなげた。バスタブに張るお湯の量は約200kg、プールに張る水の量は約360トンだ。水は意外にも物量がある。


しかし、いくら集中しても、魔力が湧かない。

「あれ?魔術が使えない。なんで?」


レティシアは、より集中し、身体の中の魔力の流れを確認すると同時に、腰を捻って腕輪を確認すると、宝石の中にグルグルと何かが渦巻いている。


「ああ…をこれに魔力が吸われているのね…。こんな魔道具もあるの?魔術が使えても、自分の身は守れないのね…。」


私は、公国や帝国が本気で私を探しにきたら、太刀打ちできないかもしれないという恐怖が押し寄せる。


「もっと修行したら、強くなれるかしら…。」


捕まった時点で夕方だったので、とっくに日が暮れているはずだ。きっと皆心配しているし、探しているだろう。ともかく、今の状況を脱しなければいけない。


「せめて、何か、合図を送れればいいんだけどな。あ、そうだ。試してみる価値はあるわね。」


私は、足元が地面だと言う事に気がついた。そして、自由になった足で、ダンスを踊る。サトゥルナリア祭でみんなが踊っていたイエール伝統のダンスだ。マイムマイムのように、独特なステップでありつつ、一度覚えてしまえば単純な繰り返しで踊りやすい。

そう、きっと、パウラが見つけてくれる。


そう信じて30分は踊りつづけただろうか。時間感覚がわからない。


「見つけてぇ〜パウラ…。」


その時、鍵がかけられていたドアがバーンとすごい音がして壊れた。


「お嬢様?!無事ですか?!」


土煙の中から現れたのはクロエだった。それはもう暗闇でもわかるほどの顔面蒼白だ。


「無事、無事だよ、クロエ。ありがとう。どうしてここがわかったの?」

「パウラ様です。パウラ様がリッキーを派遣してくださり、祭りの足音がする、と教えてくださいました。」

「思ったとおりだったわ〜!」


我ながら名案だったことに、ガッツポーズをしてしまう。


「お嬢様、他にお怪我はありませんか?」


クロエは縄で縛られた痕が残る足首を素早く手当しながら身体をチェックしてくれる。


「うん、この手錠以外は…これ、魔力を吸われるみたいなの。壊れそうにないし、どうしようかしら。」

「だから、魔術が使えなかったのですね。それは魔術具のようですのね、ルカ様に見ていただきましょう。」

「ルカもいるのね?」

「ええ、パウラ様は入口のところに、その他の皆さまは犯人を追っております。」

「私を連れ去った人はわかってるのね。」

「ええ…。まずはここを出ましょう。」


倉庫を出たら、だだっ広い野原が広がっていた。眼下にはチラチラと街の明かりが見える。どうやら、そうとうな町外れの丘の上にいたようだ。


倉庫から少し離れた先には、これも倉庫といっても遜色ない家が建っていた。


その時、轟音がしたかと思うと、メリメリメリと家が土台から剥がれようとしている。家の周囲に竜巻が巻き起こり、そのまま、家ごと空へ飛んだ。


(オズの魔法使い…)


有名な童話の冒頭シーンを思い出すような情景だ。


「師匠の竜巻だね。」


入口を見張っていたパウラが、私が無事だとわかって足元に抱きついてきた。お手柄のパウラに感謝を述べ、抱きしめあって再会を喜んだ。


吹っ飛んでいった家は、地響きをたてて、地面に落ちた。もともと家があった場所にいってみると、ノビている男が二人、そして、ルカとジャンマルコとスカーレットが仁王立ちで揃っていた。

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