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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第四章:魔術師大会

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50.魔術師大会二回戦

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

「勝っちゃったね」

「そうね。エリーさんのチームは勝ったのかしら。」

私はあたりを見渡す。


すると、向こうのほうで歓声が聞こえて来た。

どうやらあっちのほうでエリーの弟子達が勝ったらしい。


「ふん、あちらも勝ちましたのね、安心しましたわ。」

スカーレットは、遠くをみて不敵に笑う。


私たちが他のチームの迷路を壊してしまったので、私たちの周囲のチームは敗退していた。憎々しげにこちらを見てくる。


「わたくしたちより先に脱出できなかったのが悪いのですわ。」

スカーレットはにべもない。


「あの迷路、私たちみたいに脱出する以外に方法があったのかしら?」


すると、後ろから声がかかる。

「土を凍らせたらよかったんじゃないか?レティシアならできただろ。」

ルカが、言った。なるほどと思う。

「だが、よくやったぞ。」

と褒めた。ルカも結婚がかかっているのだから、心中穏やかではないだろう。満面の笑みのルカは逆に怖い。


2回戦は、魔獣退治だ。

各チームが火属性の魔獣グラシュティンを相手に戦うのだ。戦う場所は二つあり、またしてもエリーチームとはブロックが分かれた。


グラシュティンは、馬の頭に黒くてうねった角が生えている魔獣だ。黒いユニコーンといった風貌で、空に向かっていななく度に、炎を吐く。


一番の攻撃は、角の先に大きな炎の球ができて、それが向かってくることだ。


そして、近づくと、角を振り回してくる。


「グラシュティンを倒した速さを競うのね。」

「そのようね。」

「さっきより楽そうなのに、二回戦なの?」


私たちはカナリアというど田舎で、修行としてほぼ毎週魔獣退治をしているのだ。少なくとも王都を拠点にしている魔術師には負けたくはない。


「じゃあ、いつもみたいに、いこう!」


パウラがグラシュティンのダミーを作る。

ナワバリ意識の高いグラシュティンは驚いて、ダミーに突進してくる。


その足元に、水のトラップもどきを仕掛ける。水たまりをふむと、鞭状の水が球状に飛び出し、身体が水に覆われる。


最後はスカーレットご炎球をぶつける。


相手に攻撃の隙を与えない、連携プレーだ。

好戦的な魔獣はだいたいこれにハマるが、範囲を広げた群れバージョンもある。


「やったわ!」


私たちはグラシュティンが丸こげになっているのを見ながら、周囲を見渡すと、見習い魔術師も観客席にいる正魔術師たちもポカンとしている。

組合長やジャンマルコはニヤニヤしている。

観客席から立ち上がって叫んでいる人がいるが、おそらくエリー嬢だろう。何かが噴出している。


「よくやったぞ。」

私たちが観客席に着いた途端、ルカが言う。ルカは、何が噴出しているエリー嬢を見て、くっくっと不敵に笑っている。


「次は何?」

私は隣に座るルカに声をかける。

「レイオーンだ。」

レイオーンは、グラシュティンと対をなす魔獣で、水属性の馬型魔獣だ。


レイオーンはグラシュティンほど好戦的ではない。どちらかと言うと、慎重で、逃げ足の早い魔獣だ。

よく捕まえて来たな、と感心する。


「私たち、あっちじゃなくてよかったわね。」

「レイオーンに振り回されるのはこりごりですわ。」

「ぼくも…。」

私たちは、それぞれがレイオーンにやられたことを思い出してげんなりした。


「さぁ、二回戦二組目の開始よー!」

ゴンザレスの二組目開戦の宣言が青空に響く。

私たちは次の決勝戦まで優雅に観客席から見ているが、三人全員が観客席に座った途端、周囲からざわめきが聞こえる。

「あれはルカか…?ジャンマルコがいるよな…?」

「ルカの弟子…?」

「ルカが弟子をとったのか…?」

「さっきの化け物みたいな速さの見習いはルカだからか…」

何やら、やはりルカの異端ぶりが私たちに伝染しているような気がする。


「そういえば、ワインを持って来ていましたわよね?」

スカーレットがキョロキョロと辺りを見渡す。

「もう飲むの?」

「一口くらい良いのではなくて?喉が渇きましたわ。」

「わかったわ…。エリーチームの試合が終わったら一緒に行きましょう。私も、売上が気になっているところだから。」

サトゥルナリア祭ではウケたが、異国情緒が強いフランツでのウケはどうか、気になっていたところだ。ワインを置いている出店はここからは見えないが、観客席でちらほらとワインを片手に干渉している人を見ると、売れているのでは?と思っている。


「あれ?一人足りないよ?」

パウラが段上に登るエリーチームを見ながら疑問を口にする

「フラビオさんがいないわね?」

女性三人が目立ちすぎて存在感が薄いフラビオがいない事に、周囲は気がついてない。

「それは失格じゃないのか?」

「人数が減るから不利になるんじゃない?」

「足手まといだったらその限りではないだろう。ゴンザレスに抗議してくる。賭けなんてなしだ、なし。」

そう言ってルカが立ち上がる。


その間にもレイオーンとエリーチーム三人の戦いは進んでいく。エリーの弟子たちは、それぞれ火の魔術師が2人と、水の魔術師で、フラビオは確か説明会の時は緑の杖をもらっていたから、風の魔術師のはずだ。ニール、カエラ、ルシアの3人が戦っている。


ニール嬢がレイオーンに向かって火属性の攻撃をしかけた。

「レイオーンの防御力ってすごーく高いのよね。」

私が攻撃を見ながら半眼で呟くと、攻撃がキャンセルされた。


次にルシア嬢が水属性攻撃をしかける。

「同じ水属性ですと、特にほとんど攻撃が通らず、吸収されますのよね。」

スカーレットがジャンマルコの作った軽食を頬張りながら呆れて言うと、案の定レイオーンの防護壁に吸収される。


「野生のレイオーンだったら、ここで逃げられてるよね。どうするのかな、エリーさんチーム。」

パウラが敵チームを心配するように、首を傾げる。


レイオーンは積極的に攻撃を仕掛けてこないぶん、カウンターも難しいのだ。慎重だから罠もあまり有効じゃないし、一度警戒モードになるとお手上げ感が強い。


「あら。力押しに転じたわ。」

エリーの弟子三人はレイオーンから等距離に離れ、同時にツァーリを向ける。一斉に攻撃を仕掛けるようだ。


轟轟と炎や水がツァーリの先端に立ち上がり、魔力を鞭のようにしならせる。一直線にレイオーンへと向かい、水球のバリアの周りをくるくるとかこむ。そのまま締め付けるように攻撃を続ける。レイオーンの悲鳴が聞こえている。


「おかえりなさい。」

試合も佳境を迎えるという時、ゴンザレスへの抗議が終わったルカが戻って来た。なんだかげっそりしているので、無効試合の願いは叶わなかったのだろう。


隣にドカッと乱暴に座ると、ため息と共に結果を報告する。「フラビオが消えたらしい。」

「消えた?」

「屋台で何かを買ってくると言ってから戻ってない、と。」

「逃げたんじゃないこと?」

「それも考えられるが、他の見習いたちも何人かいなくなっているようだ。」

「え?!誘拐?」

「その可能性も考えられる、と。組合長の指示で何人か捜索に人を割いている。」

「大会は中止にならないの?」

「犯人の意図がわからない以上、下手に動くとよくない。」

「と言うことは、賭けも続行なのね?」

「エリーが折れなかったからな。」

「あ、そう。」

ルカは盛大にため息をつき、私は少しもやもやした。


(なんでこんな大事件なのに、結婚とか賭けとかそんなこと許せるのかしら。ルカもいつもは傲岸不遜のくせに、エリーさんの事になると弱腰よね。なんなのかしら。)


ルカは私のイライラには気が付かず、

「お前たち、一人になるなよ。念のため。」

と注意を促した。


そうこうしているうちに、エリーチームが、レイオーンに押し勝っていた。




レティシアはちょっとイライラ。ルカはたぶん気づいてます。

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