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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第四章:魔術師大会

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48.魔術師大会の開幕

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

「え?!エリー嬢と鉢合わせたのか?」

宿に帰ると、全ての準備を終えてジャンマルコとクロエが待っていてくれた。


「ええ、それで、明日はルカの結婚を賭けて、戦う事になったわ…。」

「いったいどうゆう経緯でそうなった…?」

ジャンマルコは私から事情を聞いて愕然としている。クロエは、驚きはしたものの、エリー嬢と会ったことがないため、そこまで殺伐とした危機感は抱いていない。問題はジャンマルコだ。


「やばいやばい。エリー嬢は歴代のルカの弟子の中でも、一番ひどかったんだ。当時は期待の新人で、もちろんその噂に違わぬ実力の持ち主だったんだけど、一緒に過ごすうちに、ルカと自分は結ばれる運命だとか言い出して…。」

「あぁ。確かにそんな感じだったわ。」

私はほんの数分しかエリー嬢と絡まなかったが、どんな人物かと聞かれたら、そのように答えるだろう。

「変わってないのか…。」

ジャンマルコは、長い前髪の下に手を入れて、天を仰いだ。


「それで、皆が負けたらルカがエリー嬢と結婚すると。」

「そうよ。」

「ルカは了承した…ってことだよな?」

「売り言葉に買い言葉って感じだったけれど…ね。」

「冷静さは欠いていたと。俺、ルカのとこに行ってくるよ。」


ジャンマルコはそう言ってルカのところへ向かった。ルカとスカーレットは、宿に戻ってくるまで一言も口を聞かず、そのまま部屋に行ってしまったのだ。


「勝っても負けてもお嬢様に不利益は無いのでしょうか?」

クロエは、私の心配をしてくれる。

「そうねぇ…。ルカがすぐ結婚となると新しい師匠を探さないといけなくなるくらいかしら?それより、クロエ。私、大変なことに気がついてしまったわ。というより、気が付かなかったのが、おかしな程よ…迂闊だった。」

「お嬢様、私も実は頭の片隅にはありました。いらっしゃらないだろうと思っていたのですが、その様子ですと、いらっしゃったのですか?」

「そう、オズワルドが。」


そうなのだ。宮廷魔術師のオズワルドだ。いてもおかしくはない。王城に仕える魔術師といえど、職業組合には所属しているだろう。なぜもっと早く気がつかなかったのか。


「オズワルド様は、非常にお忙しい方のため、魔術師組合の方へはほとんど出向かれないと聞いていました。」

「そうよね。私もあのかっちりとしたセットの後ろ姿を見た瞬間、なるべく目立たないよう頑張ってたのだけれど、想像以上に目立ってしまったわ…。」

「お嬢様…どうしましょう…。オズワルド様に見つかれば、必ずお城に連れ戻されます。」

「それだけじゃすまないかもしれないわ。」

私とクロエは最悪のシナリオを想定する。私はともかく、クロエには何かしらの処分があるはずだ。それが解雇程度であれば良いが、最悪の場合…。そして、私もきっと婚約式までいい待遇を受けられるはずはないだろう。


私は意を決した。

「クロエ、私に良い考えがあるわ。一旦それで凌ぎましょう。」

「…?」


――


その日はゴンザレスの開幕宣言から始まった。


「さぁ!やってきたわよぉ♡一年に一度の魔術師の祭典!魔術大会ーーーーー!優勝賞品は10万レル!」


フランツは快晴で、会場にはたくさんの人々がごった返していた。火属性の魔術師が開幕で花火をちらし、屋台や出店が立ち並ぶ。持ってこいと言われたワインの出店は、ジャンマルコの馴染みの魔術師が店番をしてくれるようで、どこかで売っているはずだ。


受付でトーナメント表をもらって、試合内容を確認する。どうやら、優勝をするためには3回の何かしらを突破しないといけないようだ。しかも、トーナメント表としてもらったものは、どちらかというとチームリフトになっており、一回戦と二回戦は、上位何チームかが次の試合に進めるという勝ち抜け形式だ。


「決勝まで残れるかしら。」

私は、強豪そうなチーム名のリストを見て呟く。私たちのチーム名はいつのまにかというか案の定というか、カナリアだ。

「そんなことよりレティシア、本当にその髪でいいの?」

私がトーナメント表を見ながら呟くと、パウラが心配そうに見上げてくる。


そう、私は長くてボリュームのあった髪を、バッサリ切ったのだ。首がとても軽い。クロエが切ったのだが、手が震え、切った後には泣かれた。スカーレットには朝から貴族女性がなんたるかをこんこんと説かれ、ルカとジャンマルコは、何も言わなかったが、空いた口は塞がっていなかった。


そして、極め付けはメガネをかけている。


レティシアのトレードマークである金髪のボリュームある髪と、青い瞳を隠せば、なんとかなると思ったのだ。オズワルドだって、記憶に残るほど私と会ってはいないはずだ。


「大丈夫よ、パウラ。さぁ、いきましょう。スカーレットは試合に燃えてるけど、パウラは大丈夫?」

スカーレットは、昨日の怒りが収まる気配はなく、大会会場に着くと、周囲を射て殺しそうなオーラで佇んでいる。

そりゃ、フゥを使役しようと頑張って修行してきた結果、自分のしらないところで侮蔑的な噂を流されたらたまったもんじゃないだろう。


「うん、僕、さっき聞いちゃったんだけど、優勝賞金が10万レルなんだって。」

「そうらしいわね。お金に困ってるの?パウラ。」

「ううん。イエールの孤児院の皆が、教会の冬は寒いって言ってたんだ。だから、暖炉を買おうと思って。」

「そっか、それはいい考えね。」


私たちは初戦の集合門に向かった。


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