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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第二章:出会い

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30.魔石実験

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

「さて、始めようかな。」


私はひと月ほど経ったある日、メルクリウスから買った魔石を地面にずらっと並べた。火の真紅魔石、風の深緑魔石、水の青金魔石、土の金剛魔石の四種類だ。それぞれ、同じような大きさのものをメルクリウスに見繕ってもらった。


そして、温度計と、天秤だ。これはジャンマルコに準備してもらった。私は地べたにぺたんと座り込んで、綺麗に並べたそれらをうっとり眺める。


「何していますの?」

「何してるの?」


すると、スカーレットとパウラがそばに寄って来た。みんな朝食が終わり、各々好きなことをしていたところだった。


「今から、ちょっと実験をね。」

「実験?」

「まぁまぁ、見てて。ちょうど二人にも手伝って欲しいと思ってたんだ。」


そう言って、私は青金魔石を二つ取り上げて、適当な石でそれぞれの重さを測る。


「この二つの青金魔石は、同じ重さね。」

「そうだね。」

「青金魔石は、どんな魔術具があったかしら?」

「水の流れを作ったり、水の温度を下げたりする機能がありますわ。ですから、入浴の時や農業に使われますわ。」

「そう。水を動かす力と、水の温度を下げる力よ。」

わたしは、人差し指をぴんと立てて、ビシィっと言った。

「じゃあ、わかりやすい方から行くわね。水の温度を下げるってどうゆう事かしら。」

「どうゆうこと?」

パウラとスカーレットは、言っている意味がわからない、とでも言うように、ポカンと返事をする。

そこへ、弟子三人の様子に興味を持ったのか、レティシアの背後からルカが現れた。

「熱を奪う、と言うことだろう。」

「そうよ!その通り。ってルカだったの。」

私はなんだ、と思いながら、背後を振り返った。

「何をやっているんだ?」

「実験よ。一緒にしましょう、師匠。」

私は、全然まともに修行をしてくれない師匠に対して、すこし揶揄するように答える。

「いいだろう。」

ルカはパウラの隣に腰を下ろした。


「続けるわね。さっき、ルカが言ったように、温度が下がるっていうのは、熱を奪う力よ。つまり…」

私はそういうと、水の温度を測った後、一つの青金魔石を入れた。すると、青金魔石を中心に水が球体状になろうとする。水面はもこもこと中央が膨らみ、表面張力がぴんとはる。


すると、温度計のメモリがぐんぐん下がっていく。そして、ある一定の温度になるとぴたりと止まった。

そして、私は容器から魔石をコロンと転がす。すると、魔石を中心にしたゼリー状の水がポヨンとスライムみたいに転がり落ちた。さしずめ、シシガミ様のアレだ。そして、しばらくぽよぽよとした形を保っていたが、時間が経つと、バチャとした音で、また土に染み込んでいく。


「温度は下がったみたいだね。」

「これがどうかしましたの?」

「…。」


三人は、私の行動を注視する。そして私は、魔石の重さを測ってみる。

「あ、ちょっと軽くなっているね。」


「やったわ!なんとなくわかってきたわよ。」

「どうゆうことですの?」

「つまりね、熱を奪っているのは魔石で、その熱エネルギーを水が結合する力に変えているんじゃないかしら。」

「結合する力?」

「そう。水同士が引っ張りあう力ね。」


私の世界ではファンデルワールス力と言ったわ、と思う。


「そして、一定の熱を奪い終わって、魔石自身が持っている魔力も使い切ると、その結合力はなくなってしまって、形を保てなくなるんだわ。」


「なるほどな。魔力だけではなく、さしづめ熱力と言ったところか?」

「そう。そして、魔石にこの力があるのならば、その魔石で作られているツァーリにもその特性があるはずなの。」

「ツァーリはたまに交換が必要な人がいらっしゃると言いますわ。それでも一生に一度程度ですけれども。」 

「そうなんだ。やっぱり大きさが変わったりして、手に馴染まなくなったり、するのかもね。」

「俺はすでに二本目だ。十年前くらいか?」

「じゃあ消耗量は魔力量に比例するのかしら。」


「水が冷たくなるんだったら、レティシアも冷たくできるんじゃない?」

「それよ!パウラ、その通りよ!」

私は今日の実験の本題に行き着いて興奮して来た。

「だから、水を操るイメージではなくて、魔力を吸い取るイメージで、…」

私はツァーリの先からどんどん氷になっていくのを見つめる。


「うわぁ、すごいね!」

「これは…。」

「ほぉ…。」


「どう?氷になるのよ!」


私は、どやっとした顔で三人を見上げた。


スカーレットとルカは、魔術の常識を知っているからか、驚きが顔から滲み出ている。


「その昔、カエサルの弟子リヴィエールが氷の魔術師だったと聞いたことがありますが…。まさか…こんな簡単に…?」


「俺も水の魔術は、あまり明るくなかった。魔力効率が悪く、水という媒体がないとどうしようもないという不便な点があり、数が多い割にまともな魔術師がいないと思っていたが、魔力を出すイメージをずっとしていたから本来の力を発揮できていなかったのか?」


ルカは相当ショックだったのか、それから動かない。


「その、水がないと魔術を動かせないって言うのも、なんとかなると思うのよね。」


「ほんとか?」


「うん。でも、お腹すいたから夕飯にしましょう。」


クロエが夕飯ができたと呼びに来た。



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