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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第二章:出会い

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29.のほほん修行

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

弟子が三人に増えた、と聞いたルカはジロリとパウラを一瞥し、「もはやどうでもいい」というような顔をしてパウラの弟子入りをすんなり受け入れた。

あのルカをやけくそにさせるた女性たちは、この三人以外見たことがない。

おっと、組合長を女性に組させるかは、この場合おいておこう。


ただ、あの規格外のルカが弟子入りを認めるほどには、その三人も十分に規格外だった。三人がきてからニ週間はたった。

俺は、あの三人の修業風景をたまに見るが、何かが普通じゃない。


「ねぇ、スカーレット。火の魔術ってどんなことができるの?」

「ツァーリから炎を出して、操るのです。こうです。」


そういってスカーレットちゃんは、ツァーリの先端を自分の頭上に掲げ、2メートルはあろうかという火柱を出していた。

俺が今まで組合で見た火の魔術師の中に、あんなに轟轟と音が出そうなほど炎を出すことはできなかった。顔の大きさくらいの火の玉数個がせいぜいだ。

そう、ガルシア翁を除いて。さすがにガルシアの血筋だ、と思わせるほど強烈な魔術だが、本人は、そのじいさんからしか魔術を教わっていないから、それが普通だと思っている。むしろ、まだまだだと自責するほどだ。そしてスカーレットちゃんの魔術やルカの魔術しか見たことのないというレティシアちゃんの基準が、どんどん上がっていっているような気がする。


「ツァーリから離すことできる?」

「できますが、すぐに消えてしまいますわ。」

「他の物を燃やすことはできる?」

「できますわ。」


そういって、顔の大きさくらいの丸い火の玉を作り出し、ぶんっと投げる。

火の玉は、草原に落ちて、そのあたりの枯れ草をぱちぱちと燃やした。

すかさず、レティシアちゃんがツァーリで水をかけて沈火させる。俺はカナリアがいつか火の海になるんじゃないかとひやひやする。


「スカーレット、その炎って熱いの?」

今度は二人の傍で座っていたパウラが、スカーレットを見上げて聞いた。

「熱いですわよ?ツァーリも先の方は熱を帯びますわね。」

「スカーレット、炎を操っている時、熱いんだね~」

「慣れですわ。」

レティシアちゃんとパウラちゃんは、あはーと笑っている。二人とも、そこは笑うところじゃないし、スカーレットちゃんも慣れなんて、そんな我慢すればよいのです、みたいな根性論をスカーレットちゃんが言い出すとは思わなかった。以外に脳筋スタイルなのかもしれない。いや、ガルシアのじいさんが脳筋だから、そのせいかもしれない。


「レティシアは何ができるの?」

今度はパウラちゃんがレティシアちゃんに質問していた。

「私、まだわからないのよね。水の魔術師に出会ったことがなくて。」

「水を操るのですわ。」

「それはわかっているわよ。」

そういってレティシアちゃんは口をとがらせながら、いつも常備している水桶にツァーリの先端を入れて、水球を作り出した。

最初こそ、カップの紅茶だったが、それがシノイがすっぽり入るほどの水球になり、それを維持できる時間も長くなっていっていた。

レティシアちゃんがここにきてから数ヶ月ほどだ。それに、ルカの指導はほとんどない。それにも関わらずあれだけ順調に成長しているのは、正直すごいと思う。センスの塊なんだろう。


「こうやってなげたらね。スカーレットの火球みたいにツァーリから離れるんだけど、確かにすぐに消えちゃうというか、形を維持できないね。」

スカーレットちゃんは、水球を同じように草原になげると、ばしゃっと水が降った。

なるほど、こーゆーことを繰り返しているから、草原が焼け野原になってたんだな、と理解する。


「ツァーリから離れるからではなくて?」

「でも、パウラのゴーレムは、ツァーリから離れても問題ないのよ。」

「そうですわね!」「たしかに」

パウラちゃんとスカーレットちゃんが、はっとした顔でうなずく。

「今まで他の属性の魔術など考えたことがありませんでしたわ。」

「それに僕、ツァーリがなくてもリッキーを作りだせるんだ。」

「そうよね。それも不思議だわ。」


三人は草原に座りながらうーんと考えている。確かに言われてみれば、レティシアちゃんの疑問はもっともだ。

普通の魔術師はスカーレットちゃんのようにほかの属性にあまり興味がなく、そんな疑問はあまり浮かばない。いったい彼女の頭の中はどうなっているんだ。

俺は三人にお茶を持っていこうと準備をし始める。天気のいい日だから、三人が円になって草原に座っている姿にピクニックを想像してしまう。今日の昼ごはんはみんなで外で食べようかと、クロエちゃんと後で相談してみよう。


「ルカに聞いてみようかしら?」

「あのぼんくら師匠はいつ来るのかしら?」

「今日は来ないんじゃない?なんかふてくされていたもんね。」

「それってぼくのせい?」

「たぶんそうでしょうけれど、気にすることなくてよ、パウラ。」

「そうだよ。弟子が増えてちょっとヤケになっているだけだろうから、気にしなくていいわ。」


先輩二人は、うんうんとうなずきながらパウラをフォローする。

共通の敵は女性の結束力を強くしているぞ、と俺は相棒を少し不憫に思った。


そして、三人ともやっぱりルカの容姿に興味がない。

レティシアちゃんはもちろんのこと、スカーレットちゃんは真面目なせいで魔術の研鑽にしか興味がなく、パウラちゃんは純粋すぎて、ルカのことを「きれいな顔だね」くらいに思っている。きっとレティシアちゃんについて来たのも「きれいだね」くらいの気持ちなんだろう。


俺は、このにぎやかでバカバカしい生活が長く続けばいいな、と思う。

俺は塔の掃除をしてくれているクロエちゃんに、昼ご飯は外でたべよう、と声をかけた。

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