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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第二章:出会い

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24.スカーレット・ガルシア

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

とうとう登場。ツンツンしつつも、一本筋が通ったスカーレットです。

「わたくし、お祖父様の顔を立ててここへ来たまでですの。あなたの弟子になるつもりは、なくってよ。」

お茶をひと口飲んで、ピンと伸びた姿勢を崩さずに、優雅にティーカップを置くと、スカーレットはツンとした態度で言い放った。

応接室の中央のソファにスカーレットが座り、対面にはジャンマルコと、そのジャンマルコにたたき起こされて不機嫌そうなルカが座っている。私とクロエは、なんとなく部屋の隅に置かれている猫足のテーブルに腰掛け、様子を見守った。私の弟子入りの時に、女将さんたちが座っていた場所だ。


「奇遇だな。俺もこれ以上、弟子をとる気はない。顔を立てて来たのなら、目的は達成されたな。とっとと帰れ。」

スカーレットもスカーレットだが、ルカの毒舌も負けてはいない。二人とも傲岸不遜、唯我独尊を地でいくタイプなんだとろう。


「まぁ、すでに弟子がいらっしゃるの?お祖父様が言うには、性格が悪すぎて弟子が来ない、という呆れた人物だと聞いたのですけれど…。」

そういって、スカーレットはちらりとこちらを見た。ルカのその人物評は間違っていないが、その問題児師匠に弟子入りした奇特な人物とのレッテルが張られていそうで、ちょっと不本意に感じた。一触即発のルカとスカーレットのやり取りを見ていたジャンマルコは、すかさず立ち上がって、こちらをくるりと振り返った。


「そうだ、スカーレットちゃんにも紹介するよ、最近弟子に来たレティシアちゃんと、その侍女クロエちゃんだ。スカーレットちゃんも同じ女性がいると心強いと思う。」

「弟子になるとは言っていませんわ。」

「弟子にするとは言っていない。」

私とクロエはジャンマルコからの突然の紹介を受けて、ぺこっと軽く頭を下げたが、顔を上げると同時にジャンマルコは二人から同時に否定をされた。私とクロエは、頭を下げた先の視線の行き場がなく、お互いに顔を見合わせる。


スカーレットが、目の前の紅茶を一口のみ、カップを置きながら、話を続ける。

「お祖父様がわたくしを推薦した理由の一つに、弟子をとらないあなたを心配してたというのもありますのよ。弟子がいるなんて、お祖父様によい手土産ができましたわ。なおさら、わたくしを弟子にする必要はございませんわね。」

そういってスカーレットは、優雅に立ち上がって扉の方へ向かった。


それを見たジャンマルコが慌てて立ち上がり、叫ぶ。

「ちょっと待ったー!!」

突然の大声に、その場にいた全員がジャンマルコの方を見た。


「手紙をちゃんとよんだか?ルカ。俺は、ガルシアのじいさんに殺されたくない。」

注目されたジャンマルコは、おほん、と咳ばらいをした後、静かにソファに座り直し、神妙な表情をしてルカに向き合った。

「スカーレットちゃんの性格も、ルカの反応も、手紙に書いてあった通りだ!この展開をじいさんはお見通しだよ。その上で、ルカがスカーレットちゃんを弟子にしなければ、なぜかじいさんが『俺に』怒鳴り込みにくるんだとさ!」

ジャンマルコは、肘を膝につけて頭を抱えた。どこかで見た光景だな、と思いながら、ジャンマルコの苦労人ぶりに同情してしまう。


「お前が殺されるだけだろう。俺には関係ない。」

「スカーレットちゃん、手紙に書いてあったがサラマンダーのことで悩んでいるんじゃないか?」

ジャンマルコは、にべもなく相棒を生贄にささげようとするルカを無視して、スカーレットへ向き直った。


「サラマンダー?」


私は、ファンタジー作品でよく耳にする幻獣の名前に、思わず聞き返してしまった。

スカーレットは、何を割り込んできているの?と言いたげにくいっと眉をあげてこちらを睨んできた。

私の疑問にはルカが答えてくれた。


「サラマンダーは魔獣というより精霊に近い生物だ。ガルシア領の火山から産まれたとか、初代王カエサルの弟子の一人が使役していたとかいう伝説があるが、今のところわかっているのはガルシア家が代々、サラマンダーに特に懐かれているという事だけだ。」

最近のルカは師匠としての自覚がようやく出て来たのか、多少なりともまともに解説をしてくれる。

組合の説明会で、「めんどくさい」と一蹴していたルカからは想像できない成長ぶりだ。


「そのサラマンダーの事で悩んでるって手紙には書いてあったぞ。」

ジャンマルコはルカが少し興味を持ってくれたかと期待をしながら、話を続ける。

スカーレットは、少し唇を噛んだが、すぐに気を取り直してパチンと指を鳴らした。

すると、机の上にきらきらと光が集まってきた。その光がだんだんと凝集していく様を経て、大きめの赤いトカゲが二足歩行の状態で現れた。小さいドラゴンと言った方が正確だろうか。背中には蝙蝠のそれのような翼が生えている。人間の膝下くらいのサイズ感だが、鱗や角は小さいながらもしっかりと鋭利で硬いものがついてそうな感じだ。


サラマンダーは机の上に完全に表れたあと、「きゅう?」と鳴いて首をかしげてスカーレットを見た。


読んでくださって本当にありがとうございます。

いつもPVとブックマークが励みです。

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