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カナリアの弟子〜1年後の婚約式が嫌なので逃げ出します〜  作者: 佐藤純
第二章:出会い

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22.俺の楽しみ

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

俺はジャンマルコ。

そんな前髪で見えているのか、とよく突っ込まれるが、ちゃんと見えている。


カナリアでルカと一緒に暮らしている。俺自身は魔術師ではないが、特例でなぜか魔術師組合に所属していて、カナリアの雑務だったり、炊事洗濯なんかをしている。自分の世話をするついでに、相棒の世話をしているが、最近では、相棒の世話がメインになりつつありそうだが、気がつかないふりをしている。


ある日、組合長からの呼び出しを散々無視した結果、とうとう「カナリアをチリも残さずぶち壊しに行くぞ」という脅しのような手紙が届き、ルカはしぶしぶ王都に出かけて行った。

王都で過ごした日々はルカにとってそんなにいい思い出はないはずだ。これはまた荒れて帰ってくるぞ、と思って覚悟していたが、なんと珍しく上機嫌で帰ってきたのだ。


「弟子ぃ?」


組合長からの呼び出しの理由を聞くと、弟子をとれ、との事らしい。数年前から弟子を取れと言われ続けて、弟子を取った時期もあったが、ルカとは壊滅的に合わないか、もしくはルカに恋慕して修行にならずに追い出されるかのどちらかだった。

組合長はもう諦めたかと思ったが、そうではなかったようだ。


「でも、なんでそんなご機嫌なんだ?」

「ご機嫌に見えるのか?」


ご機嫌と言われた瞬間、眉間に皺がより、いつもの不機嫌な表情に戻る。天邪鬼もここまで拗らせるとかわいいものだ。


「それで?弟子のあてはあるのかい?」

俺は、絶対にない、と思いながら聞いた。またルカに合う弟子を一緒に探すはめになるのかと、半ば絶望する。

「もう見つけた。」

「えええ?!どうゆうことだ?!」

「ちょうどゴンザレスが見習いに説明してたんだ。そこにいい奴がいた。」

「おいおいおい、その行動力をなんで今まで発揮出来なかったんだよ。」


そうすれば、絶対脈のない恋愛相談なんて、長々と聞かなかったのに!というセリフをぐっと飲み込む。


「今週のどこかで来るはずだから、準備をしておいてくれ。」

「はいはい。」

ルカはジャンマルコの嫌味にはまったく反応せずに、決まったことだけを告げて自室に引っ込んでいった。


ーーー


ジャンマルコは数日前のルカとのそんなやりとりを思い出しながら、いざ目の前に現れた弟子をみて驚愕した。


とても美しい、適齢期の女性だったんだから、そりゃ驚くってもんだ。あの女嫌いで有名なルカが、だ。

ルカの女嫌いは、少し行き過ぎているところもあるが、そばで見てきた身からすると、同情する余地があると思う。あんなに綺麗な顔してる上に、魔術の腕も抜きん出てるとあれば、年頃の女性が放っておかないのだ。


(女性に対して過剰な警戒をする、あのルカが…)


最初は弟子だというその女性を、半信半疑で招き入れたが、ここ数日でルカがなんで彼女を弟子にしようと思ったのかが、だんだん理解できてきた。


まず、ルカの顔面に興味がないのだ。なんなら、自分の容姿に対してもだ。自分を美しいと認識はしているようだが、その容姿がどんな影響をもたらすかというのを理解していない節がある。良くも悪くも、外見で人を判断しないのだ。言うのは簡単だが、これが意外に難しいのに、レティシアちゃんはそれを自然とやってしまう。


かつ、あの独特の魔術センス!ルカは魔術はセンスだと、昔から言っていたから、レティシアちゃんもきっとセンスがあるんだろう。「ルカは何語を話しているんだ?」と言われ続けて、魔術の言語化を半ば放棄しているルカと対等に話せる人種は、本当にごくわずかなのだ。レティシアちゃんが永久機関を導き出した時のルカの笑みは忘れられない。あのルカが女性に対して笑っている姿を何年振りかに見て、俺は顎が外れそうになった。


ルカは自分では絶対に気がついていないが、レティシアちゃんを相当気に入っている。なんだかんだ衝突することは多いが、レティシアちゃんとクロエちゃんがきてから、俺は本当に助かっているのだ。


「マールが来てるぞ。」

その日は魔石商人であるマールが、カナリアに寄ってくれていた日だった。俺はマールからいくつか外国の日用品を手に入れると、ルカにも声をかけた。


窓からのぞくと、マールは今、レティシアちゃんと話しているようだ。マールはルカと違って人懐こくて優しいから、レティシアちゃんもすぐ打ち解けるだろう。


ルカも「あぁ。欲しい魔術具がいくつか…」と言いながら窓を覗く。すると、マールが突然レティシアちゃんの前に跪き、指輪を渡しているではないか。あれは、結婚の申し込みをするときの儀式だ。


「おいおい、どうゆう事だ?」


レティシアちゃんに一目惚れしたのだろうか。ただ、あんな真剣なマールの顔を、俺はみたことがなかった。


「何をしているんだ、あいつは。」


そういうと、ルカはふわっと風を操り、窓から二人のところ。飛んでいった。そして、あれよあれよという間にレティシアちゃんの腕をとり、抱き上げたかと思うとカナリアの2階に消えて行った。


「ほぉお〜これは、いいものが見れたな。」

俺は年甲斐もなくにやにやしてしまった。


レティシアを部屋に送り届けて一階に降りてきたルカに、俺はどうだったか聞いた。


「修行もせずに浮き足たっているから、注意しただけだ。」

と、とんでもない返答が返ってきた。

同時に俺はレティシアちゃんに申し訳なくなった。


まぁ、しょうがない。時間はかかるだろうから、気長に待とう。


ルカが自覚をするのはいつだろうか。自覚したルカがどうなるのか、俺はそれだけが楽しみだ。


ブックマークありがとうございます!


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