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「よし、よく言った」


 父は嬉しそうに言う。

 彼もまた心細かったのだろう。


「いやー、親子そろって恥ずかしい」


 母は苦笑いを浮かべている。


「そうと決まれば、早速応募するぞ。お母さん広報持ってきて」


 父はせっかちにも即行動へ移そうとする。


「はいはい」


 母は食卓の席から立ち上がった。

 すると、章はそっと持っていた広報を父に差し出した。

 三人はお互いに顔を見合わせ、その後ぎこちない笑いが起こった。


「まずは曲名か、俺は「銭形平次」かなぁ」


 と、応募要項を読みながら言う父。


「お父さん。宴会とか結婚式でその曲よく歌っているもんね」


 母は半端呆れかえった口調で言った。


「おう、十八番よ」


 父は得意気に言う。


「じゃあ、俺は「ガッチャマン」かなぁ」


 父がそう来たのならばと、章は自分のとっておきを言った。


「はぁ・・・章は華と(むすめ)の結婚式の披露宴で歌ったもんね。あー、思い出すと、これまた恥ずかしい」


 母はわざと恥ずかしそうに両手で顔を覆った。


「よし!これで決まりだ」


 父はパンっと柏手を打った。


「選曲理由も明確で、妹の結婚式で歌った思い出ソング・・・いいねぇ」


 章は自画自賛となり、顎をなで何度も頷いた。


「よし、善は急げ!早速応募だ!」


 父は棚の引き出しから、葉書きを数枚取り出した。


「待って!お父さん」


 母がストップをかける。


「これって、往復葉書きで応募するように書いてあるわ」


「ぬわあににににぃ!」


 章と父の機先が削がれた。


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