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相利共生  作者: カエル
第四章
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鎮守の沼にも蛇は棲む④

 伊那後秋吉は、その日もいつものように飼っている蛇達の世話をしていた。

「ビリー、ほら餌だぞ。マイク、今日は少し機嫌が悪いな。ジョンは少し拒食が続いているなぁ、餌を変えてみるか……」

 飼っている蛇達一匹、一匹を見ていく。これが伊那後秋吉の毎日の日課だった。

「んっ?」

 蛇の世話をしていた伊那後は、目の端に何かが動いたような気配を感じた。

 驚いてそちらを見るが……何もいない。

(気のせいか?)

 そう思っていると、今度は背後に気配を感じた。伊那後は後ろを振り向く。

 やはり何もいない。

何かがおかしい。

(まさか、逃げ出した?)

 飼っている蛇達のどれかが逃げ出したのではないかと不安になり、伊那後は慌てて全ての蛇がいるかどうか確認する。

 しかし、逃げ出した蛇は一匹もいなかった。

(おかしいな?)

 もしかして疲れているのだろうか?そういえば、ここの所ずっと仕事ばかりであまり寝ていないからな。

 そう思い、伊那後は何の気なしにふと天井を見た。


 巨大な白い蛇が天井に張り付き、上からじっと伊那後を見ていた。


「えっ?」

 見たこともないその蛇の出現に、伊那後は間の抜けた声を漏らす。すると、天井に張り付いていた巨大な白い蛇は伊那後めがけてボトリと落ちてきた。

「うあああ」

 その蛇に押しつぶされる形で伊那後は床に転がった。伊那後が倒れると、蛇はすさまじい速さで巻き付き、伊那後を縛り上げた。

「ぐ……がぁ……」

 苦しい、息が……息ができない。ボキッと全身の骨が砕ける嫌な音が耳に届いた。

「う……ああ……」

 苦しい、痛い、痛い、苦しい、助けて。

「ぐあ……ああ……」

 嫌だ。死にたくない。まだ、これからなのに。もっと、もっと書きたいことがあるのに。

せっかく俺の小説を面白いって言ってくれるファンが出来たのに。せっかく俺と一緒に小説を考えてくれる担当と出会えたのに。せっかく、小説のことを話せる仲間が出来たのに。


 嫌だ。死にたくない、死にたくない、死にたくない、死に……たくない、死に……たく……ない、死に……た……く……な……い。死……にた……く……な……い……、死……に……た……く……な…………………………………………………………………………。


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