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闇 八

 その日、僕は学校を早退した。

 その理由は…、(ちょうど夏なので、すぐに乾くといえば乾くのであるが)自分の濡れた姿を教室中にさらすのが、あまりにも情けなかったからだ。

 しかし、そのまま家に帰ってしまったら、それはそれで家族の心配を受けるだろう。それこそ、僕の濡れた姿を見たら、家族はショックを受けるに違いない。

 というわけで僕は、通学路の近くの商店街の辺りを、ぶらぶらすることにした。

 前にも言ったが季節は夏。その商店街では、どこからでも陽炎が見える。また、その商店街は昔ながらのもので、最近郊外にできた大型デパートに客足を奪われかけている、いわゆる「シャッター商店街」だ。

 そして、蒸し暑いその日の湿度と裏腹に、僕がかけられた全身の水は、みるみるうちに乾いていく。その代わり、僕の体からは汗が、どんどん吹き出てくる。

 そんな状態の中、僕は特に目的地もなく、商店街を歩く。

 すると、近くを通り過ぎるおばさんたちから、声が聞こえて来る。

 「あの子、こんな昼間から何やってるんでしょう…?」

「確かあの子は、田所さん宅の…。」

「確か、あの子には人を不幸にする力がある、って聞いたことが…。」

 『やっぱり僕の悪口か。』

僕はそれを聞き、そう思った。

 そして、そんなの慣れっこになってもいいようなものだし、僕はそれらに慣れている、そう思っていたのだが…。

 こんな状況の時は、やっぱり、僕にはそれが耐えられない。

 『僕が、何か悪いことをしたわけでもないのに…。』

そう思うと余計に悲しくなって、情けなくなって、虚しくて…、

 僕の目からは、自然と涙がこぼれていた。

1度泣き始めるとそれはどんどん、どんどん大きな粒になり、こんなに汗が出ているのに、目からもこんなに水分が出るのか、と自分で呆れるほどであった。

 そして、仕方なく僕はその商店街の端っこにある、唯一現代的なコンビニのトイレにかけ込んだ。

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