闇 十一
僕は高校時代、女子にもいじめられたことがある。それは、靴を隠されたり、机や椅子に落書きされたり…とても陰湿なものだ。
しかし僕は、女子と連絡先を交換したことはない。これは…生まれて初めての経験だ。
『…待てよ?こんな僕が何もなしに、女子に連絡先を訊かれるなんてことあるわけがない。
これは…どこかに呼び出されて、またいじめを受けるのかな?』
僕は、疑心暗鬼になっていた。
そして、僕が(僕のことが話題になっている)講義室から出て、学内のコンビニに寄った時、
彼女、染谷さんから電話がかかってきた。
「もしもし、染谷です!さっきはありがとうございました!」
なおも彼女を疑いながら僕は電話に出る。
「いえいえ、それで、用件は…?」
「あ、和男くん、今時間ありますか?」
「は、はい…。」
「じゃあ大学の正門の、時計台の所まで来てくれません?」
「…分かりました。今すぐ行きます。」
「ありがとうございます!」
その声はとても嬉しそうで、弾んだものであった。
『染谷さん、悪い人には見えなかったけど…。』
では僕への用向きというのは何なのだろう?僕は、そのことを不思議に思いながら時計台へと向かった。




