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バハムートの謎

「・・・そんな事があったのね」


「大変でしたね、アーニャちゃん」


「さっすがアヴァンくん!【兵器】作りは天下一品っすね!!」


「そうだね。アヴァンくんの【兵器】には僕も助けられているしね」


俺たちの身に起こったことを話し、アテナとアルマがアーニャを、アシュラとアスターがアヴァンをそれぞれねぎらっている。


・・・あれ? 俺は?


「大変でしたけど楽しかったのです! アルクさんもアヴァンくんも頼もしかったのです」


「うむ、アルクの指示もあったし【眷属】たちの助けもあったから問題なかったのだ」


・・・アーニャ、アヴァン・・・俺のことを労ってくれるのは君たちだけだよ。俺の方こそ君たちには助けられたし感謝してるよ。


「なるほど・・・今回の緊急クエストは【バハムート】の体内と外で同時進行するタイプのクエストだったのですね」


・・・あ、俺の相手はロゼさんがしてくれるのね。相手っていうか事情聴取みたいになってるけど。


「そうだな・・・多分だが、元々はもっと大人数で行われるクエストだったんじゃないか? 大人数で【幻獣界】の海を探索中に、突然【バハムート】が現れて分断される。【バハムート】に食べられた連中は外への脱出を、外に残った連中は外部からの救出を、っていうのが元々のクエストの形式だったんじゃないかと思う」


【バハムート】の体内は少人数で探索するには広すぎるし、外の連中は言わずもがなだ。


今回はたまたま俺たちが少人数、かつ全員が【バハムート】に食べられてしまって、状況を外に知らせる人間が居なかったため、外にいたプレイヤーからしたら半端なクエストに見えたんだと思う。・・・それにしたってもうちょっと何か説明があっても良いと思うが。


一番の問題はクエスト発生のトリガー・・・つまり、なぜいきなり【バハムート】が現れたか、だが・・・・・・これだけは良くわからないな。


「トリガーの予想としては・・・一定数の海のモンスターの討伐か、一定時間海の中に潜っていることか・・・【兵器】を使って大きな音を出したとかもあるか? ああ、人数も関係するかもしれない。俺たち、【眷属】を入れてちょうど10人だったし・・・」


と色々考えられるが、どれもはっきりしない。これに関しては緊急クエストの説明にもなかったしな。もしかしたらレアモンエリアみたいに全くのランダムなのかもしれないし・・・その辺りは【インフォガルド】に調査を任せよう。


「なるほど・・・それでは私たちの方でも情報を進めてみますね。上手くすれば再び【バハムート】を呼び出す事ができるかもしれませんし・・・」


・・・ロゼさん、それってあの巨大魚に食われたいって言ってるようなものなんだが・・・中々のチャレンジャーだな。


「後は・・・現在の所、アルクさんたちしか【バハムート】体内の様子を知りえないので詳しくお聞かせ願いたいのですが・・・」


「それなら、我が録画しておいたのだ」


アヴァンが例によって便利な小型偵察メカ【ビートル君】と【ガタック君】を使って色々撮影を行っていたそうだ。あくまで探索できた範囲で、なのだが【バハムート】内部の様子もこれでばっちりだ・・・さすがアヴァン。


「ただ・・・アルクよ。実はあの場では言う暇が無かったのだが、【ビートル君】たちを使って出口を捜索していた際、出口では無かったのだが・・・重(・)要(・)そ(・)う(・)な(・)場(・)所(・)をいくつか見つけていたのだ」


「・・・なに?」


それは初耳だな。まあ、あの時は脱出優先で時間も無かったし、仮に聞いていたとしても寄り道している暇なんて無かったからどうしようもなかったが。


「これを見て欲しいのだ。【ビートル君】たちが送ってきた映像なのだ」


そう言ってアヴァンが会議室のスクリーンに映像を映し出す。


【バハムート】の胃にいくつも空いていた穴からありったけの【ビートル君】たちを送り出した時の映像だな。


その映像の一つ・・・トンネルのような道をどんどん進んでいき、やがて部屋のような場所にたどり着いた。そしてその場所には鎮座しているボスモンスターの姿があった。


【看破】でも確認できる。


【バハムート・クラーケン Lv.65】

体内の空気を浄化する肺を守る役割を持つボスモンスター。


そこにいたのは巨大なタコとイカを掛け合わせたようなモンスターだった。無数の触手がうねうね動いていて正直、気持ちが悪い。


当の【クラーケン】は【ビートル君】が飛んできていることに気が付いたのか・・・触手の一本が迫ってきて・・・映像が途切れた。【ビートル君】が破壊されてしまったようだ。


「・・・予想はしていたが・・・俺たちが遭遇した奴以外にもボスモンスターがいたんだな」


【看破】による説明文を見る限り、この場所は【バハムート】の肺、か。そしてその場所を守るのが【クラーケン】とは・・・これは外れの道を選んでいたら確実にタイムオーバーだったな。


アヴァンが見せてくれた映像は他にもあった。他にもボス部屋らしき場所にたどり着いた【ビートル君】や【ガタック君】がいたようだが・・・どれも、部屋についた途端に破壊されたようで部屋の様子やボスモンスターの姿を確認することは出来なかった。


おそらくだが心臓や脳などの器官を守るボスモンスターがいたんだろうな。・・・そのことを教えてくれたアヴァンと【ビートル君】、【ガタック君】には感謝だな。


「つまり、俺たちは【バハムート】の体内を全然探索できていなかったというわけだな」


俺たちが行くことができなかった場所がまだまだあったらしい。


「大人数が必要というのはそういうことですね。大人数で【バハムート】体内に潜りこむことが出来れば、手分けをして各ボスモンスターを撃破することが出来るでしょう。そして全てのボスモンスターを倒すことで・・・」


「本当のクエストクリアになるってわけだ」


俺たちが受け取った報酬はあくまで途中経過を加味された結果なのだろう。


おそらくなのだが、【バハムート】体内の全てのボスモンスターを倒し、体外から【バハムート】に対して一定ダメージを与えると・・・【世界魚バハムート】を討(・)伐(・)できるんじゃないだろうか?


【バハムート】にはレベルも存在したし、倒せる存在であることは間違いないだろう。あれだけ巨大なモンスターを討伐するのなら段階を踏んでクエストをこなしていくようになっていてもおかしくない。


そしてそんな【世界魚バハムート】を討伐をしたときの報酬は・・・きっと超豪華な物になるだろうな。それが期待できるだけの大変さだ。


もっとも、現段階で俺が受け取った報酬も結構なものだったけどな。


【シーサーペントの牙 ☆10】や【シーサーペントの鱗 ☆10】、【海竜の牙 ☆10】【海竜の爪 ☆10】【海竜の鱗 ☆10】などなど・・・思わぬ所でドラゴンの素材が手に入った。アーテルの【転生】がまた一歩近づいたな。


おっと称号もあったな。


【バハムートとの遭遇者】

【世界魚バハムート】と遭遇した者に与えられる称号

【バハムート】体内でステータスアップ


【雨過天晴】

不利な状況を打ち破り、勝利を勝ち取った者に与えられる称号

HPの減少に応じてステータスアップ


ふむふむ、これは・・・またクエストに挑戦しろって言っているな。まあ使える称号である事には変わりないし、収穫は十分だな。


「私たちの方はこれでした」


そう言ってロゼさんに外にいた連中が貰った報酬を見せてもらった。


「【バハムートの鱗の欠片 ☆10】?・・・欠片って大きさか? これ?」


ロゼさんが取り出したのは人間大サイズの鱗・・・これでも欠片らしい。まあ、【バハムート】自体、超巨大だったからな。


外でクエストに参加したプレイヤーは皆手に入ったらしく、さっそく武器や防具に加工しようとしているそうだ。当然【アイゼンガルド】にも依頼が殺到して・・・頑張れ! ガット!!


とりあえず一通りの情報交換が終わったので今日の所は解散という運びとなった。


・・・最後のロゼさんに質問を一つ。


「ラングの奴はどうしたんだ? いつもなら真っ先に飛んでくるだろうに・・・」


「今日はリアル用事があってログインできないそうです。・・・フフフ、今日のことを話せばきっと泣いて悔しがるでしょうね」


・・・なんかロゼさんが黒い。最近の【インフォガルド】は大忙しだそうだし、鬱憤でも溜まってんのかね。


それにいくらラングが情報命でも泣きはしないだろ。・・・多分。


ま、まあ、今日のところは疲れたし、また明日にしよう。








・・・それにしても、【バハムート】のすぐそばで歌ってた奴は一体誰だったんだ?


あの歌声・・・アテナやアルマの声に似ていたような気がするが・・・気のせいか?


===ログアウト===>おつかれさまでした

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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