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締めの挨拶

アテナとアルマによって捕獲された俺であったが、別に二人は俺を袋叩きにしようとしていたわけではないようだ。


単にそろそろ食材もなくなって来たし、時間的にも良い頃合だからということでぼちぼち解散しようかという話になったらしい。


それならそれで、じゃあ解散すれば? とは思ったが俺に締めの挨拶をやれ、とのこと。そのために俺を探していたそうだ。


「なんで俺が?」


「アンタが始めたことでしょ?」


・・・もう、その通り過ぎてぐうの音もでなかった。


というわけで、舞台まで連行される俺。左右からアテナとアルマにがっちりとロックオンされ、更に後ろからククリがついてきていて・・・逃げるに逃げられない状況である。


・・・おい、だれだ? 両手に花とか羨ましいとか言った奴は? 羨ましいんなら代わってくれ。今、代わってくれたら俺の代わりに母性のふくらみを堪能できるぞ!!


しかし、俺の願いとは裏腹に誰も俺を助けてくれるような事はなく、遠巻きに連行される俺を眺めるだけであった。なんとも薄情なヤツらである。


「お、やっと来たね」


「まったくどこに行っとったんじゃ」


舞台袖まで連行されてくると、そこにはラングとガットがスタンバっていた。アーニャたち他の【アークガルド】メンバーも、今回の宴で大量の料理を提供してくれた【アフェクシオン】のメンバーたちもいる。


ポロンやミューズもいるな・・・どうやら俺が最後、というか俺の到着を待っていてくれたらしい。ホント申し訳ない。


「いやー、悪い悪い。ちょっと裏で暗躍する悪の組織に追われててな・・・」


「なんなのよ、それ・・・」


言い訳がましいことを口にする俺と、ヤレヤレと言った感じの様子のアテナたち。・・・実はあながち間違いじゃなかったりもするんだがな(笑)。


観念した俺はマイクを持って舞台上に立つ。


それと同時にシーンを静まり返り、プレイヤーたちの視線が俺に集中するのがわかる。


『んじゃ、解散で』


「「「「「軽いっ!?」」」」」


別に良いじゃないか。ここに来て長々と話しなくても。サクッと終わらせて帰ろうよ・・・駄目? まったく・・・


『仕方無いな・・・お前ら! 存分に楽しんだか!?』


「「「「「おおーーー!!」」」」」


歓声が返ってくる。皆、やはりノリが良いな。


『美味いもん、腹いっぱい食ったか!?』


「「「「「おおーーー!!」」」」」


『普段知らない奴との話は弾んだか!?』


「「「「「おおーーー!!」」」」」


うむうむ。どうやら皆が満足できたようだ。


『トーナメントトップ勢に勝つ自信はついたか!?』


「「「「「・・・」」」」」


途端に黙り込む皆さん(笑)。アシュラの99人抜きとかを見て実力の差ってやつを思い知ったらしい。


しかし、それでは駄目だ。


『次にトーナメントが開催された時が活躍のチャンスだ! 俺も強くなるから、お前らも強くなれ!! そしてまた集まって騒ごうぜ!!!』


「「「「「おおーーーーーー!!!」」」」」


うんうん。皆、良い顔だ。ここから未来の強敵たちが何人現れるのか・・・楽しみだな。


『それじゃあ、解散だ! 料理が残ってる所は食い尽くすか、持って帰るかしろよ!! お残しはこの【アフェクシオン】の皆さんが許しまへんでー!!』


「「「「「アハハハハ!!」」」」」


某食堂のおばちゃんがごとく、お残しはするなと注意した・・・皆笑ってるけどマジだからな? リーダーのジョージさんや副リーダーのチトセさんを始めとした【アフェクシオン】のメンバーの目が光ってるからな?


彼らは高い料理スキルを持っている反面、プライドも高く自分たちの作った料理を無駄にすることは許さないのだ。・・・まあ、俺も食べ物を粗末にすることは許せないので彼らに同意する。


『この【レギオンガルド島】は明日一般開放するから、【インフォガルド】や【アイゼンガルド】に用がある奴は自由に来てくれ! 用がなくても、のんびりしに来るだけでも良いぞ! ただし!! マナーの悪い奴は俺たちが直々にオシオキしてやるからそのつもりでな!!』


「「「「「はーーい!!」」」」」


うむ、良い返事だ。俺としてもマナーが悪く気分を害するようなプレイヤーには来て欲しくないのでホントにお願いしたい。


『それじゃあな、お前ら! また会おうぜ!!』


「「「「「おおーーーー!!」」」」」


そう言って俺は舞台から降りる。


こうして祝勝会兼交流会は幕を下ろしたのだった。


とは言っても、もうしばらくはこの会場は開放した状態にするつもりだ。まだまだ食い足りない、喋り足りない奴もいるみたいだし、それぞれで持ち込んだ機材とかの撤収とかもあるからな。


まあ、日付が変わるぐらいまでに解散してもらえれば大丈夫だろう。


「アルクさん! アルクさん!! せっかくですから、もっとお話しましょう!!」


と、ここにも一人、喋り足りない奴がいたようだ。まあ、ミューズなのだが。


「・・・そうだな。積もる話もまだまだあるしな」


「そうですね。こっちも話したいことがたくさんありますしね」


ポロンもか。まあ、久しぶりに旧友に会えたらこんなものだろう。


・・・問題は、アテナとアルマなのだが・・・


「それじゃあ、アルク。私たちはレオーネたちを回収してログアウトすることにするわ」


「私も、エルザリートさんたちに挨拶をしてから戻りますね」


しかし、予想に反してアテナもアルマも駄々をこねる事もなく、むしろ清清しい顔で別れようとしていた。・・・おかしいな? さっきの様子から察するに、この二人も絶対ついてくるものだと思ってたのに。


「・・・いくら私たちでも積もる話を邪魔するほど無粋じゃないわよ」


「それに・・・ミューズさんから()()()()お話は聞きましたからね」


・・・ちょっと待て、お話って一体何を聞いた?


「さあさあ、行きましょう! アルクさん!!」


そう言って俺の手を掴んで引っ張るミューズ。


それを笑顔で見送るアテナとアルマ。


何だ? 一体なんの話を聞いたんだ? まさか・・・昔のあの話か? それともあの話? それともまさか・・・あの話なのか!?


俺の疑問と不安に答えてくれる奴は・・・誰もいなかった。


ミューズに引っ張られ、ポロンに背を押されてその場を後にしようとした時・・・


「お兄ちゃん! おにいちゃん!!」


ククリに呼び止められた。俺はミューズたちに断りをいれて、ククリから話を聞くことにする。


「どうしたんだ? ククリ?」


「おにいちゃん! 【フツノミタマ】、ちゃんと持ってる?」


【フツノミタマ】というのは【戦闘神スサノオ】から貰った謎のアイテムだ。


「ああ、ちゃんと持ってるぞ」


そう言って俺は【収納箱(アイテムボックス)】から白い玉を取り出す。


この【フツノミタマ】は、現状ではまだ眠っている状態のため使うことが出来ないらしい。そしてどうすれば目覚めるのか、そもそもなんに使う物なのか、まるで不明な一品である。


この白い玉をなぜかアウルが気に入っており、たまにキャッチボールにして遊んでたりする(笑)。


ちなみに【フツノミタマ】の現在の覚醒率は・・・5%である。100%になるのが一体いつになるのやら、とても不安になる。


「良かった! 大事な物だからちゃんと肌身離さずもってなきゃ駄目だよ? それは()()おにいちゃんの役に立つ物だから!!」


・・・必ず役に立つ、ねぇ・・・まあ、捨てるつもりなんてないし、そこまで言うのなら大事に持っておこう。・・・とは言っても【収納箱(アイテムボックス)】の中に入れておくだけなんだけどね。


「それとおにいちゃん・・・お耳を貸して?」


「ん?」


なんだ? 内緒話か? 今まで堂々と元気良く大きな声で話してたのに・・・急にどうした?


俺がククリのそばでしゃがみこんで耳を傾けると・・・


「敵を見誤らないでください」


「・・・んん?」


急に口調が変わるククリ。これは以前に予言めいたことを言った【縁結神ククリヒメ】の口調だな。


だが、敵を見誤るなとはどういうことだ?


「貴方にとって何が敵で何がそうでないのか・・・自分の中の()をしっかり持っていてください」


「・・・」


俺にとっての敵、ねぇ。それはつまり俺の中の()がぐらつくような事が起こるってことか?


「・・・それだけ! それじゃあ、ククリはおねえちゃんたちの所に行くね!!」


「あ、おい!!」


そう言と、俺から離れて駆け出すククリ。


・・・うーん・・・俺の周囲で一番謎の存在って実はククリなのかもしれん。・・・今更だが。


俺はククリに言われたことを考えながらミューズたちと合流した。


そして、その後の近況を話し合った所で今日はお開きとなった。


===ログアウト===>お疲れ様でした


(*・ω・)*_ _)ペコリ


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