トップ会談
「モンゴリアンチョップ!!」
「あいたっ!?」
未だに顔を赤くしながらブツブツ言っているアテナを正気に戻してやる為に気付けをしてやる俺。俺って優しいなぁ・・・ちなみにモンゴリアンチョップとは相手の鎖骨に左右から両手で手刀を放つ技のことである。
「いたたたた・・・ハッ!? ここは誰? 私はいつ?」
「そんな古いボケはいらん」
どうやらまだ正気に戻っていないようだな。クックック、仕方が無い、もう一度・・・
「モンゴ「ブレイジングチョップ!!」ゴフゥッ!?」
・・・もう一度、チョップを食らわせようとしたらアテナから逆襲されてしまった。ちなみにブレイジングチョップとは両手を合掌するように合わせた手刀を相手の首筋に放つ技である。
「ゴホッ! ゴホッ!・・・正気に戻ったのか、アテナ」
「ええ! おかげさまでね!!」
プリプリと起こった様子のアテナ。しかし、残念だったな。お前がほうけている間に料理は全部平らげてしまったぞ・・・主にククリが。
そのククリはというと・・・
「これが夫婦漫才ってやつなんだね!!」
・・・俺たちのやり取りを見てなんか喜んでいた。そのキラキラした瞳は見た目相応な子供のように思える。・・・実年齢は俺より上だろうけどな! 神様だし。
いや、それよりも・・・
「ククリ、一体だれからそんな言葉を教わったんだ?」
この純粋な子供(神)に間違った知識を植えつけた外道には説教してやらないとな。
「さっきのお坊さんだよ?」
「おい、なまぐさ坊主!・・・っていねぇ!!」
既に当のなまぐさ坊主の姿はどこにもなかった。・・・逃げ足速いな。
「犬に食われる前に退散するって言ってどこか行っちゃった!」
あの野郎、今度会ったらただじゃおかねぇ。
今はそれよりも・・・またあわあわしだしたアテナの方だな。
「おい、アテナ」
「はい!?」
・・・何故、目を逸らしながら返事をする。
「西側の端っこの方にアウルたちがいるから、ククリを連れて行ってやってくれ。ククリ、アウルたちと遊んでやってくれ。アイツらも喜ぶだろう」
「そ、そうね! わかったわ! 行きましょう! ククリちゃん!!」
慌てたようにくくりを急かすアテナ。いや、実際に慌ててんだろうなぁ。
「えー!? ククリは一人でも大丈夫だよ! だからおねえちゃんはおにいちゃんと・・・」
「い、いいからいいから! 早速行きましょう!!」
そう言ってククリの腕を取って強引に連れて行くアテナ
「はわわ!? わかったよー! また後でね! おにいちゃん!!」
「おー」
ひらひらと手を振って見送る俺。・・・ん? また後で?
・・・まあ、良いか。
こうして、また一人でぶらぶらしていると・・・ようやく探していたヤツラを見つけた。
ラーサーとベルバアルだ。ガットの奴もいる。
三人でテーブルに着いているが・・・なんだあの近寄りがたい雰囲気。まわりの連中も心なしか距離を置いているように見える。
一体何をしているんだ?
「・・・どうやら次あたりで決着が着きそうじゃの。双方とも悔いのないようにのう」
「フハハハ! 無論だ」
「当然」
この緊迫した空気・・・ラーサーとベルバアルが向かい合って座っていて、それをガットが横から見ているような構図である。その様は、まるで二人の勝負を見届けようとしているかのようだ。
・・・まさか・・・
と、ここでベルバアルが両手を上げた。その手にはそれぞれ何かを持っていてラーサーに見せびらかすように掲げている。
「さあさあさあ! 選ぶが良い! 選択を誤れば貴様は地獄へと叩き落されることになるぞ!」
ラーサーを挑発するベルバアル。そのいかにもな悪人顔は確かに魔王らしい。
「・・・じゃあ、そっちで」
しかし、ラーサーはそんな挑発に乗るまでも無いと言わんばかりの済ました顔で、ベルバアルの右手を指差した。
その瞬間・・・ベルバアルの顔が歪んだ。なるで魔王から貧民へと叩き落されたかのような屈辱と絶望にまみれた顔だ。
ベルバアルは震える右手で持っていた物・・・トランプのカードをラーサーに差し出した。
ラーサーはそれを受け取ると・・・自分の持っていたカードと一緒にテーブル中央に捨てた。
「僕の勝ちだね」
「のおおおおお~~!!」
すまし顔で勝ち誇るラーサーと、頭を抱えるベルバアル。
同時にベルバアルが左手に持っていたカードがテーブルの上に落ちる。その絵柄はふざけたピエロ。つまり、ジョーカーだ。
つまり・・・
「ババ抜きじゃねぇか!?」
「む? アルクか?」
「む? じゃねぇよ! 真剣な顔して何やってんのかと思ったら! なんでババ抜き!?」
状況が理解できねぇよ。なんで周りが料理に舌鼓している中で、二人でババ抜きやってんだよ! それは料理を食べ終わって、退屈な時間ができた時にやるもんだろうが。お前ら、もう料理に飽きちゃったのか!?
「ふむ・・・ワシが来たときはすでにこんな状態じゃったんじゃが・・・何ゆえ、ババ抜きをしておったんじゃ? 二人とも?」
お前も知らずに座ってたのかよ、ガット。
「なに、そんな大したことじゃないよ」
本当に大したことじゃないと手を振るラーサー。
「・・・単に次の料理をどちらが持ってくるかを賭けていただけだ。この人数では少しでも席を外すとあっという間に埋まってしまいそうだったからな・・・というわけで行ってこよう」
そう言って立ち上がるベルバアル。本当に心底どうでも良い理由だった。そんなどうでも良い理由であれだけの殺気を垂れ流してたの? 普通に周りの連中、どん引きしてたよ? それだけで席を取られる心配、無かったんじゃない?
「・・・まあ、良いか。ついでに俺の分も頼むな、ベルバアル」
「ああ、ワシの分も頼むぞい」
ドサクサに紛れてベルバアルに頼む俺とガットである。
「・・・クッ! 仕方が無い。敗者は大人しく勝者に従うのだ」
そう言ってしぶしぶ席から離れるベルバアル。・・・別に俺とガットはお前と勝負したわけでも勝利したわけでもないんだが・・・
「・・・魔王を目指してると聞いたけど、その割りには人が良いね、彼」
「そうだな。それに良くヘタれるしな」
いまいち非道になりきれていないというか、押しが弱い魔王(仮)である。・・・でも最近はそんな魔王がいても良いんじゃないかと思えてきた不思議である。
「持ってきたぞ」
「「「はやっ!?」」」
ついさっき席を離れたばかりのベルバアルが直ぐに戻ってきた。その手には大きめの重箱のような入れ物が四段。中身は・・・
「・・・寿司か」
これまた豪華な握り寿司セットだった。それも季節感をガン無視した様々な寿司ネタ。見ただけで美味なのがわかる。
「【アフェクシオン】という料理クラン・・・すごいね」
「うむ、他にもまだまだあったぞ」
「これだけ手がこんだ物、よく作れるのう」
「他の場所にも色々あったぞ。BBQだの中華だのフォンデュだの・・・」
料理クラン【アフェクシオン】の名は伊達ではないということだな。
席についた俺たちはしばらくの間、豪勢な寿司を堪能した。
その間、俺たちは無言だった。それも無理も無いだろう。これだけの物を食べるのに言葉は無粋だ。ただただ無言でその味を堪能するのみ。
そしてあっという間に完食。
「・・・おかわりを持ってこよう」
そして、再び席を立とうとするベルバアル。待て待て待て。
「ちょっと待ってくれ。俺はそもそも話をしに来たんだよ。寿司三昧も悪くないが、このままじゃ話もせず無言で終わってしまいそうだ。先に話を済ませようぜ」
「・・・それもそうだね」
「致し方ない」
「そうするかのう」
・・・そんなマジで残念な顔しないでもらえるかな。話す気が失せる。
気を取り直して・・・この場にカオスを除いたバトルトーナメントのベスト4が勢ぞろいしている。まあ、カオスの代わりにガットがいるが・・・まあ、良い。
トップ会談といこうか。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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