神仏界の神仏
ナユタが料理をおぼんに載せて戻って来た。
「よう、早かったな・・・しかも出来立てか? これ?」
ナユタが持ってきた料理は出来たてほやほやといった様子で湯気を立てている。それが余計に食欲をそそる事は言うまでもない。
「うむ。野外の調理場があってな。料理人たちが次々と料理を仕上げていた。彼らの技量とスピード・・・あの龍の絵に特の字があしらわれた料理服の者たち・・・只者では無いな」
「特○厨師!?」
多分、料理クラン【アフェクシオン】のメンバーなんだろうが・・・道理で美味いはずだ。もっと食べとこ(笑)。
ナユタが持ってきた料理を次々と並べ、それらをククリが喜んでたいらげる。
・・・ククリ、もうちょっと味わって食べようぜ。この分じゃあ、あっという間に追加の料理を持ってこなきゃいけなくなるぞ・・・ナユタが。
俺も麻婆豆腐をパクリ・・・うん、ピリ辛で美味しい!!
同じくナユタも、自らが持ってきたホイコーローを食べて満足げにしている。・・・仏に仕える者が肉食して良いのだろうか? やっぱり、なまぐさ坊主じゃん!
「・・・それで? 何故この場に神が?」
中華料理に舌鼓をうっていると、そのなまぐさ坊主から当然の質問が飛んで来た。
まあ、確かに疑問だだろうが・・・なぜ俺に聞く? 当人・・・もとい当神に聞けば良いのに。・・・恐れ多いのかな?
「細かい事は気にするな。・・・強いて言えばククリは神様の中でも特別らしいぞ?」
「・・・そうか」
あまり納得行っていない様子のナユタ。しかし、俺に文句言われても困るんだよなぁ。
と、ここで当のククリがナユタに話しかけた。
「そっちのお坊さん、とーなめんとでおにいちゃんと戦ってたよね! おにいちゃん相手にあそこまで戦えるなんてとっても強いねぇ! フドウさんも褒めてたよ!!」
「「フドウさん?」」
ククリよ・・・俺たちは君の交友関係はわからんのだから、俺たちが知らない名前を出されても・・・ってフドウさん?
「ククリ、もしかしてそのフドウさんって・・・【不動明王】のことか!?」
「そだよー」
・・・うーむ・・・先ほどの【天空神ホルス】と言い、ククリの交友関係が気になるな。そういえばククリの力を使えば全ての神々とも縁を結ぶことができるとか言っていたな。これもある意味でククリの力のなせる業ってことなのか?
「でもラセツさんは怒ってたかなー。修業が足りないって!」
ラセツさん・・・ナユタを鬼みてーにパワーアップさせた【羅刹天】のことか。自分の力を使ったのに負けたことが納得いかない、不甲斐ないといったところか?
「・・・精進します」
ナユタが反省したようにうな垂れるが・・・ナユタの実力は紛れもなく本物だったと思うぞ。負かした俺が言うのもなんだが、トーナメントの組み合わせ次第ではベスト16に入っていてもなんらおかしくなかった。
並み居る強豪クランのリーダーたちに迫るトップクラスの実力の持ち主である事は間違いないと思う。
そうそう、クランといえば・・・
「そういえばナユタ。お前ってどこかのクランに所属しているのか?」
お坊さんのクランなんてものは聞いたことがないが・・・
「いいや?・・・あいにく他人と足並みを揃えるのが苦手でな。そのような時間があるのなら自らの精進に時間を費やしたいと思っている」
つまり、典型的なソロプレイヤーというわけか。他人より自分優先というのはある意味で破戒僧っぽいな。
「ふぅーん。・・・なら、あんまり興味は無いかもしれないが・・・」
俺はこれまで話してきたように、レイドクエストなどへの協力の話をした。クランに所属していないといっても実力は確かだし、独特で強力なスキルを使うからな。是非、協力して欲しい所だ。
「ふむ。話は理解した。・・・が、正直な所あまり興味が無い。今言ったとおり、自らの修行が最優先なのでな」
・・・やっぱりか。まあ、プレイヤーの中にはコイツみたいに我が道を行くタイプの奴だっているだろうと思っていたし、無理強いさせようとも思っていない。気が向いたら協力してくれる程度で良いだろう。
俺はそう思ったのだが・・・
「縁は大切にしなきゃ駄目だよー?」
ここでまさかのククリから物言いが。
「縁を大切にすればー、知識が増えてー、見識が広められてー、誰かに助けられてー、誰かを助けられるようになってー、自分の成長に繋がるんだよ?」
おお! ククリが【縁結神】らしく良いことを言った! 文字通り、神様からのありがたい言葉だな! ・・・シュウマイを食べながらじゃなかったらより完璧だったけどな!!
「・・・」
おお! ナユタが難しい顔して考えてる、考えてる。ギョウザに手を伸ばしながら考えてる!
・・・お前ら、ホントに真面目に話をする気あるのか?
「・・・そのお言葉、胸に響きました」
え? マジで?
「と、いうわけだアルク。拙僧にできることならば協力しよう」
うーむ・・・破戒僧を説き伏せるとはさすが神様。ちょーっとナユタが単純すぎる気がしないでもないが・・・案外真面目な性格なのかもしれない。
「まあ、時間やタイミングが合えば頼むよ。レイドクエストなんかはレベリングや素材集めに最適だしな。装備・・・はお前の場合、必要かどうかはわからんが、レベルを上げれば【転生】もしやすくなるだろう」
見たところ、ナユタの今の種族は俺と同じ【人間】。【転生】すればより強くなることができるはずだ。
「そうだな・・・そういえば決勝でお前と戦った男の【神人】という種族には興味がある」
あー、カオスの野郎の種族か・・・アイツの飛びぬけた力の一端だろうし、【真姿解元】とかいうとんでもスキルで変身までしやがったからな。文字通り神様に近い種族なんだろうな。
確かに俺も興味はあるが・・・あの変身がなぁ。ほとんど怪人みたいだったし・・・あれ、鎧とか着た状態だったらどうなったんだろうか?
「お主の方は【転生】する気はあるのか?」
「もちろん」
レベルキャップが解放されない以上、今以上に強くなる一番の方法は【転生】だろう。
問題はどの種族に【転生】するかなんだが・・・これが悩ましい。
種族によって意外と偏りがあるんだよなぁ・・・【武術】系が強ければ【魔法】系が弱い。あるいはその逆。もしくは【眷属】特化、【生産】特化などなど。
なにかに特化した種族にするのなら問題ないんだが、俺の場合、色んな方面に手を出しているからなぁ。戦闘に特化した上でバランスの取れた種族となると中々・・・
悩みどころではあるが【転生】自体は近いうちにする予定。悩んで先延ばしにしても良いことは無いし、【転生】も一回しか出来ないわけじゃないからな。失敗を恐れずチャレンジ精神って大事だよね。
勿論、アーテルやアウル、カイザーも【転生】させる予定だ。まあ、【眷属】たちには別の条件があるみたいだが・・・今以上に強くなれるのなら挑戦しない手は無い。・・・実は俺自身よりもアーテルたちがどんな姿になるかの方が気になるのはここだけの話である。
【転生】の話はこれぐらいで良いとして、ナユタにずっと気になっていた質問をしてみる。
「・・・ところでナユタ。お前のスキルって【八葉の峰】って場所に関係ある?」
「!?」
お、反応した。
ナユタはトーナメントで【真言】と【印】により仏様の力を使っていた。そして【八葉の峰】・・・高野山が【武術界】にあることを考えると・・・結びつけざるを得ないよな。
「・・・それは自らの目で確かめてみるが良い」
・・・もう、その反応が答えのような気がするが・・・まあ、確かにあとは自分で確かめるべきだよな。
しかし、このままでは俺が騙し討ちで情報を聞き出したみたいで気分が悪い。なので、こちらからもナユタが知りたがっているだろう【天凱十二将】の情報を教えてやる。とはいっても称号に関することくらいだが。
「・・・確かに拙僧が聞きたかったことだが・・・そのように簡単に教えても良いのか?」
同じ神様繋がりのスキルだからな。これでイーブンくらいだろ。情報を持っているからといって取得できるとは限らないし。逆に【天凱十二将】の情報があったら教えて欲しいし。
と、こんな感じで俺たちは情報を交換しあった。
なお、その間もククリは料理を食べ続け、アテナはいまだにブツブツ何かを言っていた。・・・いい加減、正気に戻りんさい。
まあ、それはともかくナユタから教えてももらった情報は貴重だし、協力を取り付けることもできた。これからがますます楽しみになって来たな!
そんな感じでテンションが上がっていると、ククリが・・・
「おにいちゃんたちが今以上に強くなれば、邪神や悪神が来ても安心だね!!」
「「・・・」」
と、言ってきた。
ククリよ・・・不吉な事を言うのはやめて欲しい。いくら俺たちでも神様を相手にするのは早すぎると思うぞ。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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