戦闘好き
ヘブンやフィリップから【人間界】についてのクエストを詳しく教えてもらい、その場を後にする。
・・・フィリップが、行かないでくれ、と言わんばかりの目をしていたがきっと気のせいだ。きっと今頃、ヘブンと仲良くおしゃべりしている事だろう(笑)。
というわけで俺はまた一人、ブラブラと歩いている。
「あ、アニキー! こっちっすー!!」
と、そこで声をかけられた。その声の方向を見ていると・・・BBQをしている集団がいた。その集団の中に、なぜか舞台の上で戦っているはずのアシュラの姿が。
「アシュラ? 舞台で戦ってたんじゃないのか?」
俺はアシュラに近寄りながら話しかける。
「タハハ・・・99人まで勝ち抜いたんすけどねぇ」
・・・99人抜きを達成したアシュラを褒めるべきか、それを止めたプレイヤーに感心すべきか、その99人が情けないのか、悩ましいところだ。
「で、100人目で彼と相討ちになったっす!」
「・・・」
そこには、アシュラと一緒になって肉を焼いている男の姿が。忍者クラン【星影】のリーダー、カゲロウだ。全身を忍者装束に身を包み、顔も覆面で覆い隠している。
なるほど、相手が最終戦まで勝ち残ったカゲロウなら納得だ。むしろ相打ちで良く健闘したというべきだな。
んで、そのまま退場した流れで一緒にBBQをしている、と。
よく見ると、この場にいる連中はみんな忍者の格好をしてるな。どうやら、このBBQ会場はクラン【星影】の集まりらしい。
・・・ところで、お前ら。その覆面でどうやって食い物を食うんだ?
疑問に思いながらも俺はアシュラとカゲロウのBBQに同席させてもらう。
「なるほどな・・・なら今の舞台はどうなってんだ?」
「マックスさんが来て交代して貰ったっす!」
マックスに代わってもらったのか・・・戦い詰めだったアシュラを気遣ったのかな?
遠目で舞台のほうを見てみると・・・マックスが高笑いを上げながら次々と挑戦者を叩き潰しているな。
・・・本人がノリノリで楽しそうだし、あっちは任せて大丈夫だろう。後でお礼言っておかないといけないな。
というわけで俺もアシュラたちに混じって肉を焼き始める。
・・・それはそれとして・・・
「・・・」
・・・カゲロウさんにめっちゃ見られてんですけど? 俺、何かしたっけ? 直接話したことは何度も無いはずなんだがな。トーナメントでもぶつかる事はなかったし。
どちらにせよ、すっごく食いづらい。
「・・・なにか言いたいことがあるんなら、ハッキリ言ったらどうだ?」
まったく話し始める様子がなく、覆面野郎に見つめられて食事をする趣味も無いので俺の方から切り出す。
カゲロウは俺の言葉を聞いて少し驚いた後、何かを考えるような仕草をしている。まあ、ほぼ覆面で顔を覆っているから表情は分からず、そんな雰囲気だってことなのだが・・・
しばらくするとカゲロウは意を決したように立ち上がって・・・
「ありがとうございます!!」
・・・なぜかお礼を言ってきた。当然ながら俺には何の話か分からない。ぶっちゃけ、コイツとの接点なんてほぼ皆無のはずなんだが・・・
「何のお礼なんだ、それは?」
わからないことは直接聞くに限る。
「【忍者】クラスを見つけてくれたのはアルクさんだと聞きました! さらにその情報の拡散を許可してくれたのもアルクさんだと・・・我々の今があるのはアルクさんのおかげです!!」
・・・あー、なるほど。
確かに【忍者の里】を見つけたのは俺だし、【忍者】クラスを最初に取得したのも俺だ。
その情報を情報クラン【インフォガルド】に売ったのも俺だし、その情報の拡散を許可したのも俺だ。
当時は、新たに発見された【忍者】クラスが大人気で、一時期は【忍者の里】が大変賑わっていたと聞く。多分、カゲロウたちも、その時に【忍者】クラスを取得したのだろう。
そして忍者クランを結成し、今に至る、と。
なるほど、確かに俺のおかげと言えるかも知れないが・・・
「・・・確かに【忍者】クラスを見つけたのは俺だが・・・そのクラスを取得したり、クランを結成できたのはお前達の頑張りだろ? 俺だけのおかげってことは無いだろうが」
ぶっちゃけ、俺は面倒な部分をラングに丸投げしているしな。詳細なクラスの取得方法の検証とか、移動手段とか。俺にならラングのほうに言って欲しい。
「いえ! それでもきっかけはアルクさんなのは間違いないので! いつかお礼を言いたいと思っていました!!」
・・・寡黙なキャラだと思ってたのに、めっちゃハキハキと良く喋るじゃん。正直、その忍者ルックと全然かみ合わないんですけど? コイツったこういうキャラなのだろうか?
と、思ったがどうも周囲の反応を見る限り違うようだ。
アシュラは普段のカゲロウを知らないから特に感じる物はないようだが、他の【星影】のメンバーは唖然とした様子でカゲロウと俺を見ている。
ちなみに彼らも覆面で顔を隠していたが、BBQの肉を食うために口元を全開にしていたので唖然として口を開けっぱなしにしているのがわかった。その驚き具合から察するに・・・普段のカゲロウのキャラとは全然違うのだろう。
「・・・言いたいことは分かったから、もっと普通に、いつも通りにしてくれないか?」
【忍者】というクラスに魅力があるのはわかるし、義理堅いのも良いことなんだが・・・俺は別に誰かに感謝されたいわけではないのだ。皆が楽しめればそれで十分。
過剰に感謝されると逆に居心地が悪い。
そんな思いが伝わったのか・・・
「そうですか? それではいつも通りに・・・ゴホン! それではアルク殿! 拙者と勝負してくだされ!!」
・・・いつも通りになったっぽいが・・・より面倒くさくなったような気がするのは俺だけだろうか? 感謝のお礼から一転して勝負を求めるとは・・・どういう思考回路?
「・・・すいません」
「うおっ!?」
謎の思考回路を考察していると、急に背後から声をかけられた。
そこに居たのはやはり忍者・・・それも・・・なんというか・・・出る所は出ていて、引っ込む所は引っ込んでいるとても・・・グラマーなくの一だった。・・・なんでこの人の忍び装束、所々切れ目みたいなのが入ってるんだろうか? セクシーさが3割増しくらいになっていて実にけしからん。
「・・・これは姉御たちに報告しなきゃいけないっす・・・」
「すいません、止めてください」
アシュラ相手になぜか敬語で謝ってしまう俺。しかし、俺の脳裏に劫火で焼かれながら氷漬けにされる画が浮かんでしまったんだから仕方無いじゃないか。
・・・ま、まあそれは置いておいて・・・このくの一、この俺に気づかれずに背後を取るとは・・・できる!!
「・・・そんな取り繕ったように真面目な顔されても報告は止めないっすよ?」
いや、違うぞアシュラ。俺は今、本当に真面目にこのくの一に感心していただけだぞ? 決して見とれていたとか、そんなんじゃないぞ?
・・・ああ、もう。話が進まん。
「・・・んで? なにを謝ってんだ?」
気を取り直して俺は後ろに居たくの一に話しかける。
「・・・続けて良いんですか? カゲロウは基本的に戦いが大好きなので・・・忍者のクセに、忍ばず戦うことが多いのです」
・・・どうやらカゲロウもいわゆる戦闘狂のようだ。道理でアシュラと気があうわけだ。
「こら、ホウラン。アルク殿に余計な事を言う出ない」
「・・・申し訳ありません」
そう言ってくの一は姿を消した。
一瞬で姿を消す、その仕草は見事。
だが、できれば目を輝かせているお宅らのリーダーを引き取っていって欲しかった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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