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精霊界の展望

各種フォンデュをたっぷり堪能した俺たちは近くの空いていた席に座る。


なお、アウルたちはアーニャたちの方・・・多分、お菓子目当てなんだろう・・・に向かって行った。お父さん、ちょっと悲しい。・・・だれがお父さんだ!(セルフツッコミ)


「【精霊】ってあんまり人気がないのか?」


俺はバトルトーナメントで【精霊】を連れているプレイヤーが少なかった事を同席したアスターやマックスに話していた。特にマックス率いる【GGGヒーローズ】は各世界で活動を行う人気No.1クランらしいからな。参考になるだろう。


「ふむ、確かにうちににも【精霊】を【眷族】にしている者は多くないが・・・人気がない、というよりは即戦力では無い、という認識のほうが正しいぞ!」


俺の話を聞いたマックスは、それは違うと言わんばかりに叫ぶ。だから声が大きいっての。


「アルクさん。それは僕も聞いたことがありますよ。モンスターの【眷属】は純粋に戦闘力を期待できますが、【精霊】の【眷属】というは基本的にプレイヤーの手助けをするものだ、という認識が一般的だそうです」


・・・そうだろうか? 現にアウルは単体でも十分すぎるほど強いし、ルドラだって・・・まあ、ミコトは支援特化だけど・・・


「だから、アルクくんたちの【精霊】は特別だ、という話だよ。普通の【精霊】はプレイヤーの支援や【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】によるプレイヤー強化が主だった力。つまり、ある程度地力のあるプレイヤー向けの【眷属】ということだ」


そう言われれば、そう・・・なのか?


アウルとの【精霊憑依(レイ・ポゼッション)】は【剣術】スキルが使い放題になるが、そもそも【剣術】スキルを覚えていなければ役に立たない。さらに【剣術】スキルの中でも、より上級であればあるほど高い効果を発揮する。


精霊憑剣セイバー・ポゼッション】や【精霊憑鎧アーマー・ポゼッション】も同じか。あれは【豪剣アディオン】や【功鎧アルドギア】という下地があって高い効果を発揮するのであって、貧弱な装備では大きな効果は期待できないだろう。


つまり、【精霊】の力を最大限に発揮しようと思ったら、まずはプレイヤー側が【武術】なり【魔法】なり装備なりをしっかり整える必要がある、と。


なるほど・・・そう言う意味では初心者向けの【眷属】ではないのかもしれない。


「生産系のプレイヤーたちからは人気だ。文字通り、自分たちの作業を支援してくれるのだからな。そういう意味では戦闘系プレイヤーには人気が無かったといえるかもしれん・・・今までは、だが」


確かにガットたちの【眷属】も生産系の【精霊】だった。随分、助けられていると聞くし・・・なるほど、需要の違いというわけか。


・・・ん?


「今までは?」


首をひねる俺にマックスが答える。


「先ほど言ったとおり、バトルトーナメントで君を始めとする【精霊】の【眷属】の活躍を見せてもらったからな! 新たなステージへのステップアップとして戦闘系プレイヤーから大注目されているのだよ!!」


なるほどねぇ。確かに【精霊】の力はプレイヤーの力をさらに強化してくれるからな。・・・まあ、それも自分に合った【精霊】を見つけることが出来れば、だけどな。


しばらくは【精霊界】もプレイヤーたちで賑わいそうだな。


「【精霊界】を探索するプレイヤーが増えれば、その分、情報も期待できそうです」


アスターは神様からの試練として【四大精霊】を探すように言われているからな。情報が入る事は大いに助かるだろう。今の所、情報は皆無らしいし。普通の【水の精霊】とか【火の精霊】とかなら一杯いるんだけどな。【大精霊】まで繋がらないそうだ。


「そうだ、マックスさん。【仙人】を見たことは無いですか?」


アスターももう一つの試練、【三大仙人】・・・こっちはさらに情報が無い。というか皆無だ。【仙人】のせの字も出てこないらしい。そもそも【精霊界】にいるのかすら疑わしいレベルだ。


だからこそ、活動範囲の広いマックスに質問しているのだろう。


「【仙人】・・・? すまないな。私のほうでも、そのような者は聞いたことが無い。役に立てなくてすまん!!」


「い、いえいえ・・・」


アスターだって駄目もとで聞いたんだろうが・・・謝られて恐縮してしまっている。別に責められているわけでもないのに・・・マックスの誠実さがうかがえるな。


「困っているのなら我がクランでも捜索してみよう! それで情報を手に入れたら君に連絡することを約束しよう!!」


・・・誠実なのは良いが、若干一人で突っ走り気味な気がする。


「い、いえ・・・わざわざ、そこまでしてもらわなくとも・・・」


軽い気持ちで聞いたのであろう、アスターの方が慌ててしまっている。


「はっはっは! 遠慮することは無い! 困った人がいれば助けるのが我らのクランなのだからな!!」


・・・アスターが困り顔で俺の方を見る。


俺たちは【インフォガルド】と同盟関係である関係上、なにかしらの情報には対価が必要だと考えている。対価、というと大げさかもしれないが、要は何かしら恩を受けたら恩返しをするっていうのが基本的な考え方だ。


だからマックスの言うような無償の善意というのが、逆に申し訳なく感じてしまうのだろう。むしろ対価を要求されたほうが気が楽なのである。


・・・仕方が無い。ここは俺がフォローをいれよう。


「マックス。あんまりアスターを甘やかさないでくれ。アスターが【仙人】の捜索を行っているのは神様からの試練・・・つまり、本人の修行の為だ。何でもかんでも人に頼っていては修行にならん。本人が協力を求めた時だけにしてくれ。無論、対価を払う形でな」


「む?・・・そうか、修行か! ならば仕方が無い! だが、我々はいつでも協力するからな! いつでも頼ってくれ! アスター君!!」


「は、はい・・・」


どうやら納得してくれたらしい。


正義感の強い奴は、たまーにその正義感を人に押し付けてくるからな。過剰に善意を押し付けてこないマックスはやはり良いヒーローなのだろう。人気が出るのも頷ける。


と、協力云々の話が出てきたのでついでにこれまでの連中にも話したクラン同士の共闘の話もしてみる。


「ハッハッハ! 勿論、OKだ!! 元々、うちはそういった依頼も受け付けているからな。プレイヤー同士が手を取り合い、強敵に立ち向かう! 実に素晴らしいではないか!!」


さすが、ヒーロー。こういう話が好きだと思ったよ。


「それにアルクくんたちの手を借りれば、私でも勝てなかった強敵を打ち破れるかもしれん」


・・・ほう? マックスでも勝てない敵か。バトルトーナメントで確かな実力者である事はわかっているが、そのマックスでも勝てないとなると・・・どこかのレイドクエストか?


「ほう、マックスでも勝てない相手か・・・どんな奴なんだ?」


興味本位で聞いてみる。


「うむ。私が初めて【精霊界】に行ったときのことなのだが・・・」


うん? 【精霊界】? あそこにそんな強力な敵っているのか? それに初めてって・・・まさか・・・


「初めて見る【世界樹】に感動してね。近くで見ようとしたら【ガーディアン】に襲われたのだよ。ちょうど緊急クエストにでてきたような・・・」


「説明、ちゃんと聞けよ!!」


【世界樹】近辺は高レベルの【ガーディアン】がうようよしてるから決して近寄らないように最初にギルドで説明されるはずなのに・・・きっとこの野郎、ギルドなんてスルーして【世界樹】に向かって行ったな?


「ハッハッハ! 他のメンバーにもそう怒られたよ! 人の話をちゃんと聞け、とね。しかし私としては経緯はともかく是非リベンジしたいのだよ!」


「多分、俺たちが協力しても無理だぞ?」


相手はLv.100オーバーのまさに怪物だぞ? 【ヤマタノオロチ】よりもずっとレベルが上なんだぞ? しかも一体じゃないんだぞ? Lv.70が限界の今の俺たちじゃあ、とてもじゃないが勝ち目無いだろうに・・・


「そんな事は無いさ! 皆が力を合わせたらきっと!!」


・・・いくら皆の力を合わせてもね? レイドボスが何十体もいるような場所の攻略は無理だから勇気と無謀を履き違えるなよ?


自分から言い出しておいてなんだが、こいつに共闘を持ち出した事をちょっぴり後悔した俺なのであった。


(*・ω・)*_ _)ペコリ


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