機甲界の謎
俺とアヴァン、ヴァラットの話は続き、今度は【機甲界】の話になっていく。
「そうか・・・前線基地はいくつかは見つかっているのか」
「ああ・・・だが、その先がわからない」
【機甲界】は【アースヴェルト帝国】とかいうのが【機械兵】を使って各地への支配や弾圧を行っている世界だ。現状、プレイヤーは【機械兵】を倒して部品を回収、【兵器】を制作している。
ストーリー的に考えればプレイヤーの目的は【アースヴェルト帝国】の打倒というのが妥当だろう。・・・ダジャレはないぞ?
また、ストーリーに興味のないプレイヤーからしても、高品質の【兵器】を作るためにはよりレアリティの高い部品が必要なわけで、それだけ強力な【機械兵】を発見、撃破する必要があるわけだ。
だが現状、あのガン〇ンクもどきの巨大【機械兵】がボスをしている前線基地以上の【機械兵】がいる場所は見つかっていないらしい。
要するに停滞しているってことだ。
「てっきり宇宙基地とかがあると思ったんだがな・・・」
俺の言葉にアヴァンとヴァラットがうなずく。
これは俺たちを始め、【機甲界】をある程度プレイしているプレイヤーたちの共通認識だ。明言こそされていないが、俺たちが活動している場所はおそらく火星・・・そして【アースヴェルト帝国】の本拠地があるのが地球だと予想されている。
そして一部の【機械兵】は空から降ってくることも踏まえると・・・宇宙基地があるのだろうと考えられる。。
問題なのはその宇宙にまで行く手段がない、ということだ。単純に空を飛んで上昇していけば良い、ということではないらしい。
「私たち【ヴァーミリオン】もあちこち捜索しているのだがな・・・前線基地は見つかるのだが、宇宙にまで行く手段がない・・・もしや【クランメカロイド】がそうなのかと思ったのだが・・・違うようだ」
ヴァラットがアヴァンの方を見る。どうやら俺が来る前にも話をしていたらしい。
「そうなのか、アヴァン?」
「うむ・・・以前にアークカイザーに乗って試したことはあったのだが・・・ある程度まで上昇したところでバリアのようなもので阻まれるのだ」
「バリアだと?」
なにそれ? 地上から空を見てもそんな物、見えなかったが?
「それは私たちも確認している。ある程度の高度まで上昇すると半透明な壁のようなバリアがあってそれ以上進めないのだ。どの場所もそういった状態で、どうも星全体を包み込んでいるようだ」
・・・星全体をバリアで包み込むとはどんなスケールだ。ていうか、そのバリアって【機械兵】は入ってこれるのに、こっちからは出ることはできないってことだよな? それってもうバリアっていうより牢獄じゃないか?
「そのバリアは破れ・・・ないんだろうな」
それができるならそもそも苦労はないって話だろうし。
「うむ、アークカイザーの力を使って、我の【兵器】を総動員して突破を試みたのだ・・・が、ビクともしなかったのだ」
「こちらも【ヴァールハイト】や【ゲイルシュヴァイツァー】を始めとした【兵器】を使っても同じ結果だった」
そこまでやって駄目となると・・・突破は無理っぽいな。
「んー・・・となると別の方法があるってことだよな。問題はなぜそれが見つけられないかだが・・・ざっと思いつく可能性は三つだな。一つはもっと遠くの場所にある場合」
「うむ、多くのプレイヤーがそう考えて探しまわっているのだ」
「だが、このままだと星の裏側まで調査する必要が出てきそうだ」
このゲーム、広大すぎだな。だが宇宙に行くための施設となるとそれなりの物になるはずなのに、影も形も見つからないとなると・・・よほど遠くにあるのか、それとも・・・
「二つ目は、その方法っていうのがワープみたいな装置の場合」
「・・・【転移装置】のことなのだ?」
・・・おう、そういえばこのゲーム、【転移装置】という瞬間移動装置が標準だった。
「いや、多分【転移装置】とは別の装置だろうな。そのワープ装置で宇宙基地とも行き来ができるとか、な」
「なるほど、そのワープ装置なら地表にある施設に限らず、地下や街中にあってもおかしくはない・・・盲点だったかもしれん」
しかし、その場合・・・どうやって見つけるのかが問題だが。どこにあるのか、どんな形の装置なのか不明な状態で、ノーヒントで見つけるのは厳しい。
「最後は・・・単純に見えないだけなのかもしれん」
「見えない?」
「ああ・・・透明化装置を使っている、ということなのだ?」
そういうこと。アヴァンが作った小型メカ【スタッグ君】も透明になれるし・・・ああ、確かラグマリアも使っていたな、透明化装置・・・カクレンボに。
これなら案外近くにある可能性もある。ただ、この場合もどうやって発見するかが問題になるのだが・・・
「なるほど・・・各種センサーを備えた【兵器】の開発が必要だな」
ヴァラットが真剣な表情で考えている。
「アヴァン、確かカイザーはセンサーが付いてたよな?」
確か、前にダンジョン探索の時にカイザーがセンサーを使っていたはずだ。
「確かにそうなのだが・・・遠距離は無理なのだ。せいぜい100メートル程度なのだ」
うーむ、それは厳しいな。ダンジョン探索ならともかくオープンワールドの探索には向かないか。
・・・おっと、そういえばもう一つあったな。
「今思いついたが、他の世界に手掛かりがあるって可能性もあるな。【精霊図書館】とか」
【精霊図書館】は【精霊界】のみならず、各世界の情報が集まっている。当然【機甲界】の情報もあるはずだ・・・ただし、ネタバレになるような情報は閲覧できないから、望みうすかもしれんが。
「ふむ、以前に【精霊図書館】で調べたときは、なかったのだ・・・だがもう一度調べてみるのだ」
「こちらでも探してみよう」
こんな感じで俺たちは【機甲界】の話で盛り上がった。
ところで、だ・・・
「・・・!・・・!!・・・!!!」
・・・結構、話をしていたはずなのだが・・・シェリルさんはいまだにカイザーとラグマリアをパシャパシャ、スクショを撮っていた。
ああ・・・カイザーもラグマリアも表情が完全に無だ。
その様子を見る男三人。
「・・・彼女、いつもこんな感じなのか?」
「・・・なんかすまん」
一体、彼女はそんなにパシャパシャして何に使うつもりなのか。
「自分の【兵器】の参考だろう・・・ここだけの話、【ヴァールハイト】や【ゲイルシュヴァイツァー】の制作は彼女の尽力も大きいのだ」
「・・・ほう?」
どうやら彼女は俺が思っている以上に優秀っぽいな。
「武装面は主に私が担当したのだが、デザインや駆動面は彼女が担当してくれたのだ」
「・・・なるほどな。武装が強力なだけではなくデザインも精錬されているのはそういうことだったのか・・・」
俺が感心していると・・・
「そう! そうなのよ!! 貴方はよくわかってるわね!!」
「うおっ!?」
カイザーたちをパシャパシャしていたシェリルが突然迫ってきた。・・・さっきまで無口だったのに突然なに?
「この人はただ適当に武装していくだけで芸術性も何もないの! バランスも悪いし、見た目も悪い! あんなのでトーナメントに出ていたら【ヴァーミリオン】の名が落ちていたわ!!」
シェリルさんは急に饒舌に話し始めたと思ったら・・・ヴァラットに文句言い始めた。
当然、ヴァラットも言い返す。
「何を言っているのだ! お前が見た目が悪いとか言って外した武装がいくつあると思っているのだ!それを付けていたら勝敗は変わっていたのかもしれないのだぞ!!」
え? マジで? あれ以上の武装があったの? もしかして俺、この人に助けられた?
「なに言ってんの! 武装がかさばりすぎてろくに動くこともできなくなっていたじゃない! あんな状態じゃ瞬殺されていたわよ!!」
・・・なんだ、違うのか。この人が居なかったらもっと楽に勝ててたっぽい。
【兵器】っていうのは便利で使いやすいが、何でもかんでも積み込めば良いってもんでもない。バランスが大事だよなぁ。
と、言ってやりたいが、二人の剣幕に俺もアヴァンも口を出せずにいた。
周りのクランメンバーも誰も止めようとしない。多分この二人、普段からこんな調子なんだろうなぁ。
「・・・ふむ、話も一息ついたし・・・アヴァン! 後は任せた!!」
そう言って席から離れる俺。
「え? ちょっと、アルク! 待つのだ!!」
慌てたように俺を引き留めようとするアヴァン。
大丈夫。優秀な君ならどうとでもできるさ。俺は草葉の陰から応援してるよ(笑)
こうして俺は自由を求めて旅立ったのであった(笑)
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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