物騒な奴ら
途中で見つけた焼きトウモロコシにかぶりつきながら歩き回る。
・・・トーナメント優勝者である俺が歩き回ってるのに、案外注目されないもんだな。・・・いや、違うか。ほとんどが舞台の方に注目しているみたいだな。
・・・ふむ、アシュラの奴が20人抜きか。あっちはアイツに任せていれば大丈夫そうだ。
俺は安心して食べ歩き・・・なんだ、あれは。
「マグナムにガトリングガン、バズーカにスナイパーライフル、バンカー・・・ふむ、よくできているな。それに堅実に作られている」
「アルクの意見を参考にして作った物なのだ。現代兵器を参考にしてメイン、サブ、サポートをそれぞれ意識して作っているのだ。実際にアルクに使ってもらって、使い勝手をフィードバックしているのだ」
「なるほど・・・確かにあの男は【兵器】の扱いにも長けていたな。より実戦的な【兵器】ということか」
「そちらが作った【ヴァールハイト】や【ゲイルシュヴァイツァー】も凄かったのだ。あれだけの物を作るのにどれだけの素材と時間が必要になるのか・・・」
「察してくれて助かる。【ヴァールハイト】や【ゲイルシュヴァイツァー】も【兵器】としては強力だとは思うが量産に向かないのは欠点だな。当然、売りに出すこともできん。量産できる【兵器】としては・・・」
「ふむ、ハンドガンにライフル、ショットガン・・・よくできて・・・る物もあるのだが、それほどでもないものも混じっているのだ」
「クラン内でもスキルレベルやセンスに差があるからな。それらはまだ発展途上のプレイヤーが作った物だ。熟練者が作ったものはこっちだ」
「おお! グレネードランチャーにこれは・・・対戦車ライフル? ミサイルもよくできているのだ」
「ミサイルは威力は高いが使い捨てなのが難だな」
・・・そこにいたのはアヴァンと、ヴァラットを始めとする【ヴァーミリオン】の面々だった。
それは良い。それは良いんだが・・・話している内容が物騒すぎる。なんで【兵器】たちを並べているんですかねぇ。この一角だけ【兵器】の展示会になってますよ? 宴会の場には似合わな過ぎる。
「何をしとるんじゃ、お前らは」
そんなアヴァンたちに声をかける。
「おお、アルク! 何をと言われても・・・見ての通り、お互いの【兵器】を見せ合っているのだ」
それはわかるが、何故、今、この場でする?
「うむ。試合中はよく観察できなかったが、やはりアヴァン殿の【兵器】は細部まで作り込まれていてよくできている。我が【ヴァーミリオン】でもこれだけの【兵器】を作れるものはそうはいまい」
ヴァラットがアヴァンの【兵器】を見ながら品評している。アヴァンの【兵器】が優秀なのは俺が一番よくわかっているよ。というかお前、アヴァンをライバル視してたんじゃないのか? アヴァン殿ってなんだ殿って。
仲良くなれたのなら良いことなのだが・・・だからってこの場に【兵器】群を並べるなよ。ヴァラットが試合で着こんでいた【ヴァールハイト】はともかく、F1カー並みの大きさの【ゲイルシュヴァイツァー】まで。
・・・何気に他のクランの連中も見に来ているのがな・・・見世物だと思われているのか?
そうそう、気になることがもう一つ・・・
「・・・」
「・・・」
棒立ちのまま微動だにしないカイザーとラグマリア。
「・・・!・・・!!・・・!!??」
その二人を無言かつ興奮気味に観察しているシェリルさん。分厚い眼鏡で表情が分かりにくいが・・・かなり興奮気味のようだ。パシャパシャスクショを撮ったり、何かをメモしまくっている。・・・あのメモ、何が書かれているだろう。
「ああ、心配するな。シェリルはあくまで観察しているだけだ。勝手に分解などせんぞ?」
「当たり前だ、この野郎!」
カイザーとラグマリアに手を出したら容赦なくぶっ飛ばすぞ。
「シェリル嬢はロボットやアンドロイドに興味があるらしいのだ。なんでも人型ロボットを作るのを目標としているらしいのだ」
・・・どうやら彼女も同類のようだ。まあ、【ヴァーミリオン】の副リーダーをやってる時点で分かり切っていることだが。
「【兵器】も良いが、目の前にごちそうもあるだろうが・・・」
ここが飲み食いしながら話し合う場だというのを忘れないでほしい。交流している、という意味では間違っていないかもしれんが。
「そちらはそちらでありがたく頂いている」
そういうと、ヴァラットの元に何かが飛んできた。
「・・・ドローンか?」
それはプロペラで空を飛ぶ小型の機械。ロボットアームが生えていてその手にはジュースの入ったコップが握られていた。
ヴァラットはそれを受け取ると、ドローンは再びどこかへ飛んで行った。
「・・・便利なのが間違いないと思うが・・・それ、今必要なのか?」
ぶっちゃけ、数メートル先の料理テーブルから飲み物なり料理から取ってきてくれるだけだよな? どんだけ自分で動くのが億劫なんだ?
「先ほどやってきたラング殿が大量注文して行ったのだ」
「ここで宣伝するんじゃねぇ!」
確かに大量のプレイヤーたちが入り乱れるこの場所は良い宣伝場所かもしれんが・・・ここはそんな場所じゃあ・・・いや、間違ってはいないのか?
「しかし、このドローンもよくできているのだ」
「それは見てわかるが・・・」
精密な動き、かつ人にぶつからない高度で動き、それでいて誰かが操作しているわけではなく自動操作だ。・・・確かに【インフォガルド】の店でも使えるだろうな。
「そうなのだ。だから目の前の【兵器】たちが魅力的で目が離せないのもしょうがないのだ!」
・・・さいですか。まあ、別に文句言いたいわけでもないから別に良いんだけどな。メリハリって大事だと思うぞ?
というわけで近くにあったテーブルにアヴァンとヴァラットを座らせる。・・・シェリルさんにも声をかけたんだが・・・華麗にスルーされた。というかそもそも俺の声が耳に届いていないようだ。
「すまない・・・シェリルは一つの物に熱中すると他に目がいかなくなるタイプでな」
と、ヴァラットがフォローを入れてくるが・・・大丈夫だ、ヴァラット。俺が知ってる職人気質の生産者は大体、そんな感じだ。
「そもそもシェリルは基本的に引きこもりでな。滅多に外に出ない上に人見知りでクラン内でも限られた人間以外とはほとんどしゃべらん」
・・・訂正する・・・それは重症だな。というかそれでなんで【ヴァーミリオン】の副リーダーなんてやってんの?
「それなのによくこの場に来てくれたな」
引きこもりが来る場所としては・・・この場は賑やかすぎると思うが。
「正直、私も驚いた・・・まあ、交流が目的というより【アークガルド】の【兵器】や【クランメカロイド】、【ヴァルマキナ】に興味があるようだ。・・・元々シェリルは自分の興味のある分野では流暢に熱心に話すからな」
・・・なるほど、自分の欲望に忠実なタイプか。
「それで、話とはなんだ?」
おっとそうだった。
俺は先ほどエルザリートたちに提案した話をヴァラットに話した。
「ふむ、興味深い話ではあるが・・・正直、【機甲界】でのクエストではない限り、【兵器】の部品が手に入らないわけだから、【ヴァーミリオン】としての利は少ないな」
まあ確かに、こいつらは他所の世界のクエスト攻略には興味ないか。【兵器】開発には直接関係ないし。
「なら【機甲界】でのクエスト限定とかでも良い。あるいは【兵器】の性能テストとかな。俺もぎっちぎちに決めごとを作ろうとしているわけじゃない」
そもそもクランが違うんだからお願いすることはできても強制することはできない。
「堅苦しいのが嫌いなアルクらしいのだ。・・・しかし、他所のクランの手を借りようとするのはらしくない気がするのだ」
まあ、確かに自分のできることは自分でやるのが俺のモットーだが・・・
「・・・負けっぱなしで終わるのは悔しいからな」
「「ああー・・・」」
二人とも納得してくれたようだ。
俺は負けず嫌いだからな!
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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