魔法界の国々
「ここにいるメンバーは【魔法界】に精通しているという前提で話をするが・・・良いか?」
これだけ【魔法】に精通しているメンバーには言うまでもないことかもしれないが、ネタバレ禁止の意味を踏まえて一応確認する。俺の問いに四人は頷いてくれたので話を進める。
「俺が聞いた話では【人間】サイドは【聖王国】【教和国】【魔導国】の三つの国があるんだったよな」
「【魔族】サイドは【獣魔国】【幻魔国】【戦魔国】【業魔国】の四つでしたね」
俺とアルマで【魔法界】の国々を列挙する。
【聖王国】は文字通り【聖王】が治める国で【聖王】率いる騎士団が【魔族】と熾烈な戦いを繰り広げているとか。種族的には主に【人間】が多く集まる
【教和国】は国という体裁をとってはいるが王はおらず、代わりに【聖女】と呼ばれる者が代表をしているいわゆる宗教国家だとか。この国だけ種族的な差別がなく建前上は多くの種族がそろっているそうだ。
【魔導国】は【魔法】を極めんとする者たちが集まる国で、【賢者】と呼ばれる者たちで治めているとのこと。【魔法】の適性が高いエルフが特に多いのだとか
人間サイドはこの三つの国で均衡が保たれているらしい。
「私は主に【教和国】と【魔導国】を中心に活動していますね。まあ、【アマゾネス・プリンセス】は様々な場所で活動する女性プレイヤーの集まりですので、ほかの世界にも行ったりしていますが」
ふむふむ、エルザリートは【教和国】と【魔導国】と。【宝石魔法】のヒントはその辺りにありそうだな。
「私たち~【双星騎士団】は~【聖王国】ですね~。【武術界】にも行ったりしますが、【魔法界】はそこですねぇ。鍛えるにはもってこいなのよ~」
【双星騎士団】は【聖王国】で鍛えてるっぽいな。ラーサーが持つ【聖剣】とかはもろにそこにヒントがありそうだ。
対して【魔族】サイドはというと・・・
【獣魔国】は【獣魔王】が治める【獣人】たちの国。自然あふれる環境豊かな国なのだそうだ。
【幻魔国】は【吸血鬼】などの夜の住人が多く住んでいる国らしい。【幻魔王】という王様が治める国だそうだ。
【戦魔国】は【戦魔王】が治める国。好戦的な【魔族】が多く、人間側の国にちょっかいかけるのは大体この国らしい。
【業魔国】は【業魔王】が治める国・・・らしいのだが、ここだけ詳細不明らしい。領域内に入ってもいるのが【ゾンビ】やら【アンデッド】ばかりでろくな情報が得られないそうだ。というかそもそも会話が成立しないらしい。
以上、【魔族】サイドの【四大魔王】が治める国である。
「私どものクラン【ディアボロス】は【魔王】たちの治める国をあちこちまわっておりますわ。そしていつかは・・・」
・・・ベルバアルが新たな【魔王】になるってか。その場合、5人目の【魔王】になるのだろうか? それとも【四大魔王】のうちのだれかをその座から引きずり下ろすとか? それって国盗りってことじゃね?
どちらにせよ壮大だな。聞く限り大変そうだが頑張ってほしい。・・・【魔王】になるのを応援って人として大丈夫なのだろうか?
なお、【四大魔王】たちとアルマが【魔法神ウルザード】が試練として言い渡された【七大罪の悪魔】たちとの関係性は不明である。
このゲームでいう【魔王】というのは【悪魔】の王ではなく【魔族】たちの王という意味のようだから、【悪魔】とは関係ないみたいだ。
そういえば、アテナも【聖護神セラフィナ】から試練を受けていたな。試練の内容の【七大天使】は【聖王国】や【教和国】と関係ありそうだが・・・
・・・そういえばアテナの奴はどこ行ったんだ?
「・・・アテナなら、おいしそうな匂いにつられてどこかへ行ってしまいました」
とアルマがこそっと教えてくれた。・・・あいつはほっとこう。
「ふむふむ、種族によって行きたい国が大きく制限されるみたいだな」
「そうみたいね~・・・ただ~【聖王国】は【魔族】サイドにスパイを放っているっていう噂もあるから絶対とはいかないみたいね~」
変装なりなんなりすれば潜り込むことはできるのだろうが・・・新しい【魔法】のスキルを学ぶのは厳しいだろうな。
「【教和国】は種族的な制限はないとの話ですが・・・【魔族】が入り込めるのかはわかりませんね。試したという人の話も聞きませんし」
まあ、【人間】と【魔族】は不仲らしいし、【人間】の国に堂々と【魔族】が入り込むのは問題なんだろうな。
正直、プレイヤーには関係ない設定な気がするが・・・いや、ファンタジー世界のストーリーとしては王道か。【魔王】率いる【魔族】と戦ったり、【人間】同士の国のいざこざに巻き込まれたり・・・
どうも、今後の【魔法界】攻略は、それぞれのお国柄も影響してくるようだ。
俺としては、可能なら【人間】サイド、【魔族】サイド関係なくすべての国をまわってみたいところだが・・・どうだろうな。今の俺の種族【人間】では難しいみたいだな。
「となると・・・やっぱり【神仏界】で【転生】かね」
【転生】システムを使えば【人間】から【魔族】に、またはその逆の種族になることができる。
「そうでしょうね。【人間】として【人間】サイドの国々をまわった後、【魔族】に【転生】すれば一応、すべての国々をまわることができるはずです。・・・まあ、時間はかかるでしょうが」
そう考えると【転生】システムっていうのは、単にレベルリセットやステータスアップだけではなく、そういう意味での使い道もあるっぽいな。まあ、レベルが1からの再スタートになるからそれはそれで大変なんだよなぁ・・・
ますますどの【種族】に【転生】するべきか悩むじゃないか。
「・・・おっと、肝心の話を忘れていた」
「肝心の話、ですの?」
「そう・・・まあクラン同士の連携みたいな話だな」
俺が提案したのは、主にレイドクエストなどの大人数クエストや強敵クエストにクラン同士で協力しないかという話である。
【精霊界】であった【緊急クエスト】のようなクラン対抗のクエストは別だが、人手が必要なクエストだとか、相手が強すぎて勝てないようなクエストに直面した時、よそのクランと合同で挑むようにできないか、というものだ。
「話は分かりますが・・・【アークガルド】には同盟クランがいるのでは?」
「【インフォガルド】や【アイゼンガルド】はそもそも戦闘系クランじゃないからな。高レベルの戦闘系レイドクエストに参加してもらうのは厳しいんだよ」
このゲーム、強さで言えばピンキリだしな。皆が皆、レベリングしているわけでもないし。
ちなみに俺が言う相手が強すぎて勝てないようなクエストというのは【ヤマタノオロチ】戦のことである。
レイドクエストの【ヤマタノオロチ】戦は一度クリアすれば次からはレベル選択式になる。当然、レベルが高い方が報酬が豪華になる。
俺たちはLv.55、Lv65までがクリアできたのだが。Lv.75以降がまったくクリアできなくなってしまった。そもそもプレイヤーのレベル上限がLv.70なので、相手が強すぎるわけなのだが・・・現時点でクリアしようと思ったら、レベル上限に達したプレイヤーの人数を揃えるしかないわけだ。
少なくとも【アークガルド】をはじめとした同盟クランだけでは人数が足りないのだ。
そして、その悩みは他のクランも抱えているはず、もしくはこれから直面する問題のはずだ。
「まあ、報酬なり時間なりが問題になりそうだが・・・まあ、その辺りの相談は別として、クラン同士で共闘する意思があるかどうか確認しておきたいんだ」
そう言って俺はエルザリート、シャンテ、レシトリーを見る。三人とも真剣に考えているようだ。
「・・・確かにこちらとしても利のある話、【アマゾネス・プリンセス】としては真剣に検討しますね」
「そうね~。ほかのクランとの共闘は良い刺激になると思うし、ラーサーとも話しておくわ~」
「【ディアボロス】は・・・ベルバアルなら否とはならないでしょうが、メンバーと相談してみますわ」
良かった。皆前向きに考えてくれるらしい。
この後、俺は【魔法界】について情報交換して席を後にしようとした。
「・・・あれ、そういえばタルトは?」
おかしいな? 俺は一切れしか食べてないのに・・・全部なくなっている。
16等分したから一人三切れくらい、いきわたるはずなんだが・・・
俺の言葉に女性陣は一斉に目をそらした。
・・・そういうことらしい。まあ、あのフルーツタルトが話を円滑に進めてくれた要因だってことで・・・諦めよう。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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