初日終了
「戻ったぞい・・・何をしておるんじゃ?」
「何があったんすか? アスター」
「いやぁ・・・ちょっとしたハニートラップ的なもの・・・かな?」
ガットもアシュラも戻ってきたが、今の俺はそれどころではなかった。アヴァンが録画した試合映像をアテナとアルマに見せながらなんとか誤解? を解いたところなのだ。
「・・・【ディアボロス】・・・恐ろしい連中だ」
「・・・多分、連中はそんなこと考えてもいないと思うのだ・・・」
レヴェーネの狡猾な罠? に引っ掛かりそうだったが、なんとか窮地を脱出した。俺たち【アークガルド】の絆はこれくらいでは壊れないのだ!・・・出店の食べ物奢らされたけど。
「ま、まあ、これで皆予選突破ですよね!!」
アスターが明るく振舞ってくれる。さすが空気の読める男。伊達にアシュラに振り回されてはいないな。
「・・・そうだな。そういえばみんな今回は時間かかったな。俺より遅かったし、やっぱり手ごわかったのか?」
俺が戻ってきた時は誰も戻ってはいなかった。少なくとも俺より試合時間が長かった事は間違いない。
「そうね。やっぱり一回戦、二回戦と試合の様子を見てたんだと思うけど・・・皆一斉に飛び掛ってきてちょっと怖かったわ」
俺が(奢って)あげたジェラートを口にしながらアテナが答えた。本人の話いわく試合開始と同時に相手プレイヤーたちが一斉に向かってきて、俺がやったように空中に逃れてから弓矢で狙い撃ちしたらしい。しかし、相手も三回戦まで勝ち抜いてきた猛者なだけあってそう簡単には倒しきれず、一人ずつ確実に倒していくのに時間がかかったらしい。
やっぱりこれまでの試合内容からある程度脅威認定されているのか。・・・あとどうでも良いが、リアルだったら腹壊しそうなほど山盛りにされたそのジェラート、少し寄越せ。
「私のときもそうですね。【魔法】の詠唱を阻止しようと接近戦に持ち込もうとする人が多くて苦労しました」
同じく俺が(買わされて)あげたお団子を頬張りながらアルマも答えた。・・・ちなみに団子3兄弟ではなく団子10兄弟だ。・・・重くないのか、それ?
純粋な魔法職であるアルマの場合、【魔法】さえ使わせなければ勝機があると思ったのだろう、試合開始と同時に戦士職を中心とした相手プレイヤーが突撃してきたらしい。対するアルマは【眷属】のフィオレを召喚、時間を稼いでもらいつつ、隙ができた所で高威力の【魔法】で一気に決めたらしい。
「ボクのときは・・・相手を捕まえるのに苦労したっす」
アシュラの場合、本人の戦闘スタイルからも分かるように一人一人に接近戦に持ち込んだらしい。一人一発で済めば直ぐに済んだんだろうがそうも行かずに時間がかかったらしい。・・・と言うのが本人の談。
試合を見ていたアスターの話によると、アシュラは試合開始と同時に相手プレイヤー達の群れの中に突撃、乱戦に持ちこみ敵を倒しつつ、敵の攻撃を別の敵を盾にしてやり過ごしたらしい。数が少なくなってくると弱腰になっていた相手にも容赦なく殴りかかっていた、と。
・・・本人の言ってる事と大分齟齬があるような気がするが・・・勝ったんだから良いよな。
ラング、ガットも似たような感じだったらしいが・・・
「・・・さすがに試合が進むごとにきつくなってきたよ」
「うむ、単純に武器やスキルを使いまわすだけでは追いつかなくなってきたわい」
ラングに関しては一応本人は戦闘職ではあるのだが、本人曰く、戦うよりデスクワークの方が得意、らしく純粋な戦闘職相手では苦戦するらしい。元々、ラングは情報を元に攻略法を立てて戦うタイプなので情報も何も無い相手と真正面から戦うのは稀なんだそうだ。それでも画一的な戦い方をする相手なら事前に用意していた対処法で勝つことも可能だが、工夫や応用までしてくる相手は厳しいそうだ。
ガットに関しては本人が生産職なこともあるが、自分が作った色んな武器を使いながら戦っているらしい。・・・明らかにそれが手こずっている原因だと思うのだが、今回のトーナメントでは中々有効らしい。接近戦を警戒している相手には遠距離武器を、逆なら近距離武器、防御を固める相手には【魔法】といった具合に使い分けられるからだ。とはいえ、小手先の技が通じる相手も少なくなってきているらしい。
「つまり、明日以降の本選はより厳しくなるってことだな」
本選は予選を勝ち抜いた128名のプレイヤーによる1対1での対戦形式となる。
全員が何十人というプレイヤーを蹴散らしてきた猛者だ。しかも予選のような乱戦とは違い、1対1の真剣勝負。より実力差がはっきり出ることになるだろう。
・・・今行われている試合を見る限りだと、有名クランのリーダーたち、もしくはそれに準じる強さを持つメンバーは順調に勝ち残っているようだ。
そしてそんな連中と明日以降、ガチバトルする可能性が高い。
予選以上に気を引き締めないとな。
『・・・ただいまの試合を持ちまして、第三回戦の試合は全て終了となります』
お、今日の試合は全部終わったようだ。
『これで明日に進める選手が確定したわけですね~』
『ええ、明日からは1対1の試合形式となります。今日以上に選手一人一人に注目して試合を見ることが出来るでしょう』
・・・そうか、1対1の試合という事はそれだけ目立つという事でもあるのか。
『本日勝ち残ったプレイヤーの皆さんは明日の規定時間までにログインして試合会場までお越し下さい。何かトラブルなどあった場合は速やかに運営までご報告をお願いします』
『せっかく勝ち残ったんだから~、不戦敗とかしたくないわよね~』
『まあ、あくまでゲーム内のイベントですからね。運営としてもなるべく善処いたしますから連絡はお早めに』
サービスいいなあ、このゲーム。その分、運営は大変だろうに。
・・・何気に対戦相手をランダムじゃなく運営が決めると言ってるような気がするが・・・まあ、誰が相手だろうと勝ち進まなきゃいけないんだから一緒か。
『それでは本日の試合はこれで終了となります。あ、出店などは引き続き出店されているので是非楽しんでいってください』
『出店に関しては特に終了時間とかは無いみたいですよ~。試合会場も24時間出入りできますからね~』
・・・え、マジで? まさかの24時間営業?
『プレイヤーによっては今の時間にログインできなかったり、夜にしかログインできない方もいらっしゃいますからね。さすがに試合まで夜にずれ込むのは問題ですが、トーナメント期間中は会場自体はいつでも解放されています』
『だからと言って24時間ずっとログインしっぱなしとかは駄目ですよ。ゲームをする場合はルールと健康を守りながら楽しみましょう!!』
『あんまりやんちゃしちゃうと~出禁になっちゃいますよ~』
なるほど、今の時間にログインできなかった人向けか。配慮が行き届いてるな。・・・それでも廃ゲーマーになると可能な限りログインしっぱなしの奴とか出てきそうな気がするが・・・まあ、自己責任だよな。
『それでは我々もこの辺りで失礼します!』
『さよ~なら~』
『また明日お会いしましょう』
そう言って司会のポロン、ミューズ、室長さんたちも撤収していく。・・・司会者席ごとが空のかなたへ飛んでいったが、一体どこいったんだ?
「・・・さて、明日もあるし、僕らも早々に撤収するよ」
「そうじゃのう。アルクたちはどうするんじゃい」
早々に撤収するらしいラングたち。
「・・・そうだな。俺たちも同じだな。ホームに戻ってアーテルたちの様子を見た後、早々にログアウトするよ。明日も万全の状態で望みたいからな」
【アークガルド】メンバーも全員頷いたので早々に撤収する。・・・おっとアーテルたちへのお土産も忘れずにな。・・・試合が終わったからかすごい人数が出店のほうへ向かっていくな。
ま、明日も試合のある俺たちは早々に帰還するとしよう。
===ログアウト===>お疲れ様でした。
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