5年ずつ寿命をあげたい
私は68歳になるお婆のヌイ 子供の頃からここ田んぼと山に囲まれ育ってきた。私の子供となるワンのアルの二人暮しで一日一日年金で暮らしている。アルとの出会いは今から11年前、山に山菜を取りに行った時、崖の下の方から「ンーフウー」という声が「誰かいるのかあ?」私は声を張り上げ問いかけた。返事が返ってこない私は気のせいだと思い山の奥へ進んだ。山菜を取っての帰り道「ンーンー」と同じ場所から声が聞こえ「誰かいるなら返事をしてくれ」私は、耳をすました。「ンー」かすかに聞こえた。崖を慎重に降り始めると声がはっきり聞こえるでも姿は見えない「おーい誰かいるかあ」上の方から「バサバサ」と音とともに苦しそうで悲しそうな声がした。私は上を見たすると、網の中に枯葉に混じってイノシシか何か分らない動物が捕まっていた。私は家にそのまま帰った。可愛そうだけどしょうがない、みんなそれで生活をしているのだ、私はそう言い聞かせた。夜ご飯をすませ「ヨッコイショ」とお茶をすすって一息ついた。その時あの動物を思い出し、気が付いたとき、どうし様もない不安がよぎって私は、山に向かっていた。山の中は真っ暗で静まり不気味に感じ急いだ。「ンーンーンー」生きている。懐中電灯と月のあかりを頼りに木の枝で網を引っ張り下ろした。そっと中を見てみると犬で驚いた「ごめんよ ごめんよ」私は謝り続けそっと網から出してあげ様と体を持ち上げたとき「キャーン」すごく痛そうに泣いた。見てみると足にも刃がトキトキな、わながくっ付いていた。そっと外し犬を抱えて家に帰り手当てし暖めて一緒に眠った。この日からアルと一緒に暮らすようになり、何処に行くのも一緒掛け替えのない家族となった。アルもすごくいい子で私の手伝いもしてくれる、田んぼを耕したり、荷物を持ってくれたり、一番は一緒にいてくれ笑わせてくれ癒し寂しさもなくしてくれた。そんなアルが、倒れ歩けなくなり寝たきりに私は、ひと時も離れずアルと一緒にいた。「もう いいよ僕幸せだったよ もう眠りたい」私はアルの心の声が聞こえた。「神様あと5年、後5年寿命ください」