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ブルーオーシャンの暴論

作者: 夢野ベル子

レッドオーシャンとブルーオーシャンという経済用語があるのをご存知だろうか。

レッドオーシャンとは競争者だらけの世界。

ブルーオーシャンとは競争者がいない世界。


どちらがよいとかわるいとかいうものではないが、わたしはブルーオーシャンを目指したいと思う。

単純に、何か新しいものの開拓者になるということが嬉しくもあるし、作り出したものがより読まれるには良い戦略だと言えるからだ。


逆に考えて――

レッドオーシャンを選択する作者様もいるだろう。

たとえば、いま一番流行りなのは『SSSランク』というキーワードのようだが、ランキング上位に軒並み『SSSランク』が名前を連ねている。


これは競争過多の状況であり、もちろん、ランキングに載っているので『すべて勝利者』といえるかもしれないが、こうなってしまうと『SSSランク』どうしでの競争が起こってしまう。


結果どうなるかというと、最もおもしろい作品以外は淘汰される。


この淘汰されるの意味が、べつに作品が削除されるとか、見向きもされなくなるという意味ではないので、そこは一定程度の集客が見こめる。現にランキング上位をとれば、それだけで大量の読者に読まれることを意味しているから、点数も多くつくだろう。


結果として、作者のファンが増えるので、悪い戦略ではない。


なろう小説の強みはコストがほとんどかからないというところである。つまり、読者の趣味に接着して、いま流行りのものをすぐに追いかけることができる。たとえば、それは『SSSランク』であろう。コストとして生じるのは、作者の創作時間くらいなものだ。


しかし、レッドオーシャン戦略は、品質とコストのジレンマに常に悩むことになる。


つまり、『高品質のものを安く』提供しなければならない。


ここで、高品質がどういう意味かは、すぐにわかるだろう。文章力やキャラクターの魅力など、その作品自体の質のことを指し、要するに競争の世界においては、よりおもしろい作品のほうが読まれるということを指している。おもしろいとはなんだとか考えても難しいが、とりあえず読者は無意識におもしろいものを選択しつづけるだろうし、多数決の理論を使えるので、多数に選択されるという意味で捉えれておけばいい。


では、安くは意味がないのだろうか。

レッドオーシャンでは品質とコストがトレードオフされる。

高品質になれば、コストはあがるし、コストを下げれば、低品質になる。


これは作品の質を高めるためには、作品にかける時間を多く費やさなければならないとしよう。


作品にかける時間を最も顕著に示すのは、文字数である。

なろう小説は難解な言い回しや、凝った技巧で押すカテゴリではなく、ライトノベルに近似するため、文字数こそが作品労働時間を指し示す。


ゆえに、『安さ』とは『作品の文字数が多いこと』と一応言えるだろう。


結果として、どういうことが起こるかというと、単純な話。


『高品質で安い』作品が勝つ。


高品質で安いというのは、『面白くて文字数が多い』作品のことである。




で、その戦略はとらないという話である。

面白くて文字数が多い作品を創り続けるのは、本当にしんどいことである。

創作は楽しいとは言うが、競争のなかで勝利をもぎ取るのは、面倒くささの極みだろう。


創作のなかぐらいスローライフしたい。わたしもスローライフしたいのだ。


で、ブルーオーシャンである。


こちらはこちらで難しい。

なぜなら、ブルーオーシャンとは、市場開拓であり、きわめて高い創造性を必要とするからだ。


ブルーオーシャンとは、既存の事業における常識を破壊することである。


それは結局のところ、削ること。つけくわえることの二点に集約される。


いくつかの例で説明しよう。



【削ること】


その業界の常識となっている要素から削ること。


例1 目的を削ってみた


→スローライフになりました。


生きる目的や、主人公の行動規範は小説のベクトルを決定するために必要とされてきたが、あえて省いてみた。

そうすると、案外書けることに気づいた。

問題はどうやって物語を着地させるかだが、最初はスローライフにしておいて、それから目的ができるというカタチでもいいだろう。うん。そうしよう。毎日更新できる点もいい。芋掘ったり、井戸掘ったりと、やることはたくさんあるわけだし、その面白さを表現できればいいんじゃないか。


例2 社会を削ってみた


→セカイ系になりました。


社会構造とか法律とかそういうの考えるの面倒くさいな。そもそも作者としてはボーイミーツガールが書きたいのであって、あるいは真理とかそういうのが書きたいのであって、社会みたいなブラックボックスに手を突っ込みたくない。


例3 主人公以外を削ってみた


→単独ダンジョン攻略系になりました。


まあ、これはジャンルとするには、相当な練度が必要だろう。

単独ダンジョン攻略系って、有名どころでは『蜘蛛ですが何か』だろうが、ほかがついてこれていない感じもする。


例4 主人公の倫理感を削ってみた


→サイコパス的な薄味主人公の誕生。


なんというか、目的意識の欠如にも似ているのだが、ある意味趣味に生きているともいえるそういう性格類型を誕生させた。







【つけくわえること】


例1 主人公に絶対無敵の能力を付加しよう


→チートになりました。


いまでこそみんなの共通認識であるチートだが、それがテンプレになる前は明らかに新しい概念だった。


例2 主人公に悪役というポジションを加えてみよう


→悪役令嬢もの。


例3 主人公を希少キャラにしよう。


→あべこべもの。


まあ属性持っていないとわかりにくいと思うので説明すると、男女比が極端に偏った世界に突如異世界転生/転移してしまう作品である。主人公(男)は男女比1対1000とかで、比率的にとても少ないレアキャラになり、ちやほやされる。


これ以外にもキャラの属性として付加する系統は無数にある。

ブルーオーシャンの中でも比較的創造性が少なくても創りやすい系統なのかもしれない。あべこべだけは社会構造自体を考えた点が新しかった。





【いまこそブルーオーシャンへ漕ぎ出すとき】


なのはいいんだが、まあこれについては実際にここでネタを書いてしまうと、ブルーじゃなくなっちゃうだろうから、書かないことにする。


新しい物語を皆様にお届けしたい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 寄稿系サイトではなく直接出版社に持っ…おや、(ry
[一言]  ブルーオーシャンに漕ぎ出でてみれば、遭難の危険も有りますがフロンティアスピリッツとは斯くあるべし、というところでしょうか。  新しい刺激が欲しいところですね。
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